米国株式市場見通し:雇用統計に注目、ギリシャ交渉も最大の焦点
[15/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
週初は、ギリシャが新たな財政改革案を債権団に提出したことで、デフォルト(債務不履行)を回避できるとの期待感が強まり、買いが先行。5月中古住宅販売件数が2009年11月以来の高水準となり予想を上ぶれたことも好感され、堅調推移となった。ナスダック総合指数は史上最高値を更新。週半ばに入り、ギリシャと欧州連合(EU)が週内にも合意に至るとの期待が広がったものの、ギリシャが提出した改革案を債権団の一部が拒否したことが明らかになると、不透明感から軟調推移となった。週末は、スポーツ用品のナイキが好決算を発表したことが好感されたものの、ユーロ圏財務相会合がギリシャと債権団の合意がないまま閉会したほか、国際通貨基金(IMF)が、金融支援交渉の進捗状況にかかわらず、債務返済期限を延ばすことはないと述べたことで、デフォルト懸念が強まり下げ幅を拡大した。結局、週を通じて主要株価は下落した。
医療保険のエトナは、ヒューマナに買収提案を行ったとの報道を受け、堅調推移。住宅建設会社のレナーは決算内容が好感され買われた。連邦最高裁判所が、低所得者の医療保険加入に対する補助金支給は合法との判決を下したことで、ユニバーサル・ヘルス・サービスなどの医療施設運営会社が上昇。エンターテイメントのウォルト・ディズニーは、年間配当を15%引き上げるほか配当を年2回実施すると発表し、買われた。種子メーカーのモンサントは好決算を発表したものの、6-8月期決算に弱気な見通しを示し下落。事務用品小売のステープルズは同業オフィスデポに対する63億ドルの買収案が株主に承認されたものの、食品メーカーのシスコが当局の反対によりUSフーズ社の買収を断念したことで、事務用品小売の統合も独占禁止法に抵触するとの懸念から売られた。
7月3日(金)は独立記念日の振替休日となるため米国株式市場は休場となる。月初となるため、雇用統計をはじめ経済指標の発表が多数予定されている。6月16-17日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、イエレンFRB議長が引き続き、相当期間に渡って利上げのペースが緩やかなものになるとの見解を示す一方で、年内の利上げ実施は妥当とも発言した。7月下旬にもFOMCが予定されており、経済指標の内容次第では、9月又は12月の利上げ観測の見通しが変化する可能性もあるだろう。
引き続きギリシャへの金融支援を巡る交渉が最大の焦点となる。合意に至るとの見方が優勢となっていたものの、ギリシャ首相が債権団の要求に反発しており、25日の協議が物別れに終わった。債務返済期限である30日を控えて、欧州連合(EU)とギリシャは27日に再度会合を開き、債務不履行(デフォルト)回避に向けた最後の交渉に臨むが、合意が得られなければ、預金の取り付け騒ぎが発生し、資本規制が導入されるとの見方もある。但し、株式相場は何よりも不透明感を嫌気しており、結果にかかわらず30日の期限を通過することで、不透明感の払拭が好感される可能性もあるだろう。
経済指標は、6月シカゴ購買部協会景気指数(30日)、6月消費者信頼感指数(30日)、6月ISM製造業景況指数(1日)、6月ADP雇用報告(1日)、6月雇用統計(2日)などの発表が控えている。先週発表された1-3月期GDP確定値が上方修正されたものの、今週の各種指標で引き続き景気改善を確認できるかが焦点となるだろう。雇用統計では失業率5.4%へ低下、非農業部門雇用者数は22万5千人増が予想されている。
主要企業決算は殆ど予定されていないが、4-6月期が終了したことで、7月中旬から本格化する決算発表を前に、業績修正の発表が飛び出し易い時期となることには注意が必要だ。また、来週は月次統計の発表に注目が集まる。自動車のフォードによる6月新車販売台数(1日)や航空大手のデルタ・エアラインズによる6月財務実績(2日)などが予定されている。
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