米国株式市場見通し:FOMCに注目、年内の利上げは困難との見方
[15/07/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
週初は、主要企業の好決算を受けて買いが先行。ギリシャ政府が欧州中央銀行(ECB)保有の国債償還で42億ユーロを支払ったほか、国際通貨基金(IMF)に対しても滞納分の20億ユーロを返済し、欧州株が上昇したことで米国株も堅調推移となった。週半ばに入り、ハイテク大手など主要企業の決算が相次ぎ冴えない内容となったことが嫌気され、軟調推移となった。NY原油先物相場で1バレル50ドルを下回ったことも売り圧力となった。週末にかけては、主要企業決算や軟調な住宅指標が嫌気されたほか、原油や商品相場の下落が続いていることも重しとなり、軟調推移。7月の中国製造業購買担当者景況指数(PMI)が5ヶ月連続で景気判断の分岐点となる50を下回ったことで世界経済の減速懸念が拡大し、下げ幅を拡大した。結局、週を通じて主要株価は下落した。
携帯端末のアップルは好決算を発表したものの、iPhoneの販売台数が一部予想を下振れたことや、7-9月期に慎重な売上高見通しを示したことで下落。ソフトウェアのマイクロソフトは、ノキアから買収したデバイス事業の償却などで赤字決算となり軟調推移。半導体のクアルコムは、事業再編計画によって最大4.5億ドルのコスト増となることを発表し売られた。一方でオークションサイト運営のイーベイは、電子決済サービスのペイパルのスピンオフ(分離)を完了し、両社とも上昇。また電子商取引のアマゾンは、予想外の黒字となる決算を発表して大幅上昇。
今週は28-29日に連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されている。15-16日に開催されたイエレンFRB議長の議会証言は年内の利上げ開始を強調する内容となったほか、ギリシャ情勢や中国株式相場などの海外リスク要因が軽減されたことでFRBは利上げへの自信を強めていると考えられる。今後は年内の利上げを目指して経済指標を慎重に吟味する期間となるが、6月小売売上高が予想を下振れたことや足元の原油や商品相場の下落を受けて、年内の利上げは困難との見方もあり、FRBの足元の景気判断が焦点となるだろう。
7月24日時点のファクトセット社の集計によるとS&P500構成銘柄の187社が決算発表を終了し、76%が利益、54%が売上高のアナリスト予想を上回った。S&P500全体では、先月末時点で4.5%の減益となる可能性が指摘されていたが、2.2%の減益見通しへと改善している。AT&Tやベライゾンの決算を受けて、通信サービスが先月末時点の予想を上回る利益成長となったほか、エネルギーセクターも下げ幅を縮小したことが要因だ。
ピークは通過したものの、多数の企業決算の発表が予定されている。ダウ構成銘柄では、製薬のメルク(28日)やファイザー(28日)、エネルギーのシェブロン(31日)やエクソン(31日)、化学製品のデュポン(28日)、家庭用品のプロクター&ギャンブル(30日)などの決算発表が控えている。その他の主要企業では、交流サイトのフェイスブック(29日)、運輸のUPS(28日)、短文投稿サイトのツイッター(28日)、口コミサイトのイェルプ(28日)、決済ネットワークのマスターカード(29日)、通信のTモバイルUS(30日)などの決算発表が予定されている。TモバイルUSは4-6月期の契約者数増加を発表しており、好決算が予想される。一方で、衛星放送のディッシュ・ネットワーク(DISH)との合併交渉が難航しているとの報道もあり、追加情報に注目したい。
経済指標では、6月耐久財受注(27日)、7月消費者信頼感指数(28日)、4-6月期GDP速報値(30日)などの発表が予定されている。5月の耐久財受注は全体で減少したものの、航空機を除いたコア資本財が増加したことから企業の設備投資が改善されていることが示された。6月も引き続き製造業活動の安定化が示されるかどうかが注目される。4-6月期GDP速報値では悪天候で下落した1-3月期から反動が見られるかどうかが焦点となる。
(Horiko Capital Management LLC)
<FA>
携帯端末のアップルは好決算を発表したものの、iPhoneの販売台数が一部予想を下振れたことや、7-9月期に慎重な売上高見通しを示したことで下落。ソフトウェアのマイクロソフトは、ノキアから買収したデバイス事業の償却などで赤字決算となり軟調推移。半導体のクアルコムは、事業再編計画によって最大4.5億ドルのコスト増となることを発表し売られた。一方でオークションサイト運営のイーベイは、電子決済サービスのペイパルのスピンオフ(分離)を完了し、両社とも上昇。また電子商取引のアマゾンは、予想外の黒字となる決算を発表して大幅上昇。
今週は28-29日に連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されている。15-16日に開催されたイエレンFRB議長の議会証言は年内の利上げ開始を強調する内容となったほか、ギリシャ情勢や中国株式相場などの海外リスク要因が軽減されたことでFRBは利上げへの自信を強めていると考えられる。今後は年内の利上げを目指して経済指標を慎重に吟味する期間となるが、6月小売売上高が予想を下振れたことや足元の原油や商品相場の下落を受けて、年内の利上げは困難との見方もあり、FRBの足元の景気判断が焦点となるだろう。
7月24日時点のファクトセット社の集計によるとS&P500構成銘柄の187社が決算発表を終了し、76%が利益、54%が売上高のアナリスト予想を上回った。S&P500全体では、先月末時点で4.5%の減益となる可能性が指摘されていたが、2.2%の減益見通しへと改善している。AT&Tやベライゾンの決算を受けて、通信サービスが先月末時点の予想を上回る利益成長となったほか、エネルギーセクターも下げ幅を縮小したことが要因だ。
ピークは通過したものの、多数の企業決算の発表が予定されている。ダウ構成銘柄では、製薬のメルク(28日)やファイザー(28日)、エネルギーのシェブロン(31日)やエクソン(31日)、化学製品のデュポン(28日)、家庭用品のプロクター&ギャンブル(30日)などの決算発表が控えている。その他の主要企業では、交流サイトのフェイスブック(29日)、運輸のUPS(28日)、短文投稿サイトのツイッター(28日)、口コミサイトのイェルプ(28日)、決済ネットワークのマスターカード(29日)、通信のTモバイルUS(30日)などの決算発表が予定されている。TモバイルUSは4-6月期の契約者数増加を発表しており、好決算が予想される。一方で、衛星放送のディッシュ・ネットワーク(DISH)との合併交渉が難航しているとの報道もあり、追加情報に注目したい。
経済指標では、6月耐久財受注(27日)、7月消費者信頼感指数(28日)、4-6月期GDP速報値(30日)などの発表が予定されている。5月の耐久財受注は全体で減少したものの、航空機を除いたコア資本財が増加したことから企業の設備投資が改善されていることが示された。6月も引き続き製造業活動の安定化が示されるかどうかが注目される。4-6月期GDP速報値では悪天候で下落した1-3月期から反動が見られるかどうかが焦点となる。
(Horiko Capital Management LLC)
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