欧米為替見通し:2016年はドル高・円安継続か、“トランプ大統領”なら反転
[15/12/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
2016年は引き続きドル高・円安の基調と予想する。米連邦準備制度理事会(FRB)は年4回の利上げペースを堅持するとの見方や日銀の追加金融緩和への期待が背景。ただ、11月に予定される米大統領選がリスク要因となろう。共和党で支持率の高いトランプ氏が大統領に選出された場合、ドル・円は急落する可能性が指摘される。
2016年のドル・円相場は円高、円安、見方が拮抗している。円高支持派は、FRBによる再度の利上げ観測があるにもかかわらずドルは主要通貨に対して下落しており、必ずしも金融政策は為替の値動きの要因にはなりにくいとの見方だ。これに対し、邦銀のある外為ディーラーは、2015年同様に金融政策が重要な手がかりとし「FRBが市場コンセンサスである年4回の利上げペースを守る姿勢を示せば、ドル高・円安基調は続く」と指摘する。また、日銀が17-18日の金融政策決定会合で決定した補完措置に関しては「今後に向けた日銀の地ならし」とし、2016年に追加金融緩和に踏み切ると円安方向への期待感を示す。
一方、リスク要因は米大統領選とみられている。直近の米国内の世論調査によると、共和党内では支持率で首位を維持するトランプ氏が大統領になった場合、共和党支持層の間では「誇らしい」との回答は44%にのぼり、「恥ずかしい」の20%を大きく上回った。ある邦銀関係者は「トランプ氏は相当に保守的な考え方を持っており、中国や日本に対し批判的で人民元高や円高に誘導する政策を進める可能性がある」とみている。また、先の外為ディーラーは2016年のドル・円のレンジを115円-130円としたうえで、11月の大統領選までドル買いが続き125円付近に上昇するが、“トランプ大統領”なら「市場はネガティブに反応し、ドル・円は急落する」とみている。
【今日の欧米市場の予定】
・23:00 米・10月S&Pケース・シラー住宅価格指数(前年比予想:+5.60%、9月:+5.45%)
・24:00 米・12月消費者信頼感指数(予想:93.8、11月:90.4)
・03:00 米財務省5年債入札(350億ドル)
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