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為替週間見通し:ドルは下げ渋りか、米FRB議長の講演内容を見極める展開

注目トピックス 市況・概況
■ドル伸び悩みもリスク回避のドル売りは一段落

先週のドル・円は伸び悩み。北朝鮮の国営メディアは15日、米領グアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射計画について、金正恩委員長が「アメリカの行動をもう少し見守る」と述べたと報じたことから、ミサイル発射に対する市場の警戒感は低下し、ドルは一時110円92銭まで買われた。

しかしながら、トランプ米大統領は16日、製造業諮問委と戦略・政策フォーラムの解散を発表したことや、同日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(7月25-26日開催分)には「多くのメンバーがインフレは2%割れで予想より長期間推移すると予想」との記述が含まれていたことから、12月追加利上げ観測は大きく後退し、ドル売り・円買いが活発となった。米トランプ政権の信任低下や米国株の下落を嫌気した円買いも観測されており、ドル・円は18日の欧米市場で一時108円60銭まで下落した。

ただ、18日発表の米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は97.6に上昇し、市場予想の94.0を大幅に上回ったことや、トランプ大統領がスティーブン・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問を更迭との報道を受けてリスク回避のドル売り・円買いは一段落。米長期金利の下げ止まりや米国株の下げ幅縮小を意識してドルを買い戻す動きが広がった。18日のニューヨーク市場でドル・円は一時109円60銭まで反発し、109円20銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:108円60銭-110円92銭。

■ドルは下げ渋りか、米FRB議長の講演内容を見極める展開

今週のドル・円は下げ渋りか。トランプ米大統領は側近であるスティーブン・バノン首席戦略官兼大統領上級顧問を更迭し、差別主義者との強い批判を交わす姿勢を見せた。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続方針に対する市場の懐疑的な見方は変わっていないものの、カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムでのイエレンFRB議長の講演内容を点検し、利上げ継続の方針が改めて表明された場合、ドルに対する弱気な見方は多少払拭されると予想される。トランプ政権内のキーパーソンが相次いで辞任したが、トランプ大統領がバノン氏を更迭したことによって経済政策停滞への懸念は多少和らぐとの見方も浮上している。

市場関係者の多くは、今週24-26日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催の年次シンポジウムに高い関心を寄せている。シンポジウムではイエレンFRB議長やドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁など主要国の金融当局者が講演を行う予定となっている。イエレン議長は25日に金融安定に関して講演する予定だが、市場関係者の間では金融政策の詳細には踏み込まず、緩やかな利上げ継続とバランスシートの9月縮小開始などの方針を強調するとの思惑が広がっているようだ。

ドラギECB総裁も講演を行うが、資産買入れプログラムの縮小などの金融緩和策縮小に関する言質を与えないとみられている。17日公表されたECBの7月議事要旨によると、金融当局者は過度のユーロ高リスクを懸念していることが判明しており、ドラギECB総裁が金融政策について具体的に言及しなかった場合、ユーロ売り・米ドル買いが広がり、この影響でドル・円の取引でもドル買いがやや優勢となる可能性がある。

【米韓合同軍事演習】(21日開始、31日までの予定)
米国と韓国の連合司令部は18日、両国の合同軍事演習を21日から実施すると北朝鮮側に通告した。報道によると、今回の合同軍事演習は実戦形式ではなく、北朝鮮からの攻撃を想定して、主にコンピューターを使って指揮命令系統の連携などを確認する。オーストラリア、カナダ、コロンビア、デンマーク、ニュージーランド、オランダ、英国も軍事演習に参加する。なお、北朝鮮は昨年行われた合同軍事演習の期間中(演習開始の2日後)にSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を発射している。

【米・7月新築住宅販売件数】(23日発表予定)
23日発表の米7月新築住宅販売件数は61.0万戸と予想されており、6月実績の61.0万と同水準になる見通し。高水準での推移が続いており、市場予想を上回った場合は国内総生産(GDP)などへの波及が期待されるため、ドル買い材料となる。

【ジャクソンホール年次シンポジウム】(24-26日開催予定)
米ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催の年次シンポジウム。イエレンFRB議長やドラギECB総裁など主要国の金融当局者が出席する予定で、9月以降の金融政策の方針が注目される。

【米・7月耐久財受注】(25日発表予定)
25日発表の米7月耐久財受注は前月比-5.8%と、6月の+6.5%を大幅に下回る見通し。予想ほど悪化していなければ製造業の回復が見込まれ、ドル買い材料になりそうだ。輸送機を除いたコア指数は6月の+0.1%からどの程度改善するか注目される。

予想レンジ:108円00銭−111円00銭




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