【FISCOソーシャルレポーター】さっかく:他人や指数と比較しない投資
[17/08/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家さっかく氏(ブログ「中長期投資家の独り言」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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※2017年8月27日16時に執筆
皆さまこんにちは。フィスコソーシャルレポーターのさっかくです。今回は投資において、“他人や他の物事と比較しないこと”の重要性について書かせていただきます。
☆禅の言葉
禅の世界には莫妄想(まくもうぞう)という言葉があります。これは“考えても仕方が無い”という意味であると同時に、“物事を対立して捉え、それで甲乙を判断すべきでない”という意味が含まれています。
投資の世界には凄まじい方々が多数存在します。そうした投資家と自分とを比較しすぎるのはあまり良くないと感じています。比較して思い悩み、そして自分のペースを乱すのではなく、第三の道としてあまり深く考えず、“そうした人もいる”と気楽に捉える事も時として重要なように思います。他の投資家と自分とを比較しすぎる事がよくない理由は、主に3つあります。
☆理由1、自分のペースとの関係
まず、他人とのベンチマーキングを行うと、他人のスタイルに影響を受けてしまいます。例えば、高いレバレッジを上手く効かせ、大きなドローダウンを避けつつ高いパフォーマンスを維持している、特殊能力を持つ投資家さん。そんな方の真似をしても、多くの投資家にとってはただただ危険である可能性が高いです。
確かに、徹底的にレバレッジとリスクについて訓練され、天賦の才能を持つ方には、そうしたポジションの取り方はリスクではないかもしれません。一方で、それ以外の大半の人にとっては同じ行動を取ることはリスクになるでしょう。「身の丈に合った投資」が大切なのです。このようなケースでは、マネをするかしないかの二者択一ではなく、第3の道として「高度なリスク管理能力」について学び、自分の手法に取り入れるという選択肢も残されています(様々な方から刺激を受けるのは大切なことですが、自分のスタイルを崩さない程度の適度な加減が大切だと感じます)。
☆理由2、副次的なリスク
インデックスや他人との比較は、どうしても投資の短期志向化に繋がってしまいます。投資とは「価値よりも安く買うこと」と思っていますが、安いからといって今日上がるわけではありません。他人と比べることで、アンダーパフォームしている期間に最高の銘柄を手放してしまうリスクもあるのです。気が付いていたらインデックスをアウトパフォームしていた。そうした状況が一番好ましいと思います。
また、インデックスとの比較はベンチマークに大きく負けている期間に高いリスクを取るインセンティブをもたらします。例えば、「8月になったのに指数に負けている。だからレバレッジをかけて逆転しよう」といった具合です。ですが、逆転を目指して勝てるほど相場は甘くなく、負けてしまうことがほとんどでしょう。仮に今回逆転できたとしても、そうした行動を取る投資家は、長い目で見た時には大敗し、相場から退場することになるのです。
☆理由3、モチベーションの維持
加えて、他人との比較は、さらに上を目指そうというモチベーションを低減させます。自分と他人との比較の上で成功を評価すると、他人に勝てれば喜びを感じるものの、努力を続けるというモチベーションが消えてしまいます。他人より良い成果を上げたのに、なぜこれ以上努力する必要があるのか考えてしまうのです。また、自分には遠く及ばない投資家を見つけた時、一気にモチベーションが低下してしまいます。このように、他人や外部のベンチマークを意識しすぎることによる、ネガティブな影響もあるのです。
一方で、“思考決定のプロセスを向上させる”、あるいは“判断を明確にする”、といった自分の内なるベンチマークに基づいて成功を評価すると、いつまでもモチベーションを保ち続け、大きなリスクを避け、長期にわたって好成績を上られる可能性が高まります。
☆まとめ
他人と比べずに自分と比べる。一年前の自分より、そして昨日の自分より優れた投資家になろうとする。それがモチベーションの面でも、ペースの面でも有効で、最高のパフォーマンスの源泉になると私は思うのです。あまり比較しすぎずに、自分なりに頑張ってみる。そうすると意外な解放感が得られて、パフォーマンスが向上することよくあります。不安定な相場環境であるからこそ、大切な考え方であると思います。
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執筆者名:さっかく
ブログ名:中長期投資家の独り言
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※2017年8月27日16時に執筆
皆さまこんにちは。フィスコソーシャルレポーターのさっかくです。今回は投資において、“他人や他の物事と比較しないこと”の重要性について書かせていただきます。
☆禅の言葉
禅の世界には莫妄想(まくもうぞう)という言葉があります。これは“考えても仕方が無い”という意味であると同時に、“物事を対立して捉え、それで甲乙を判断すべきでない”という意味が含まれています。
投資の世界には凄まじい方々が多数存在します。そうした投資家と自分とを比較しすぎるのはあまり良くないと感じています。比較して思い悩み、そして自分のペースを乱すのではなく、第三の道としてあまり深く考えず、“そうした人もいる”と気楽に捉える事も時として重要なように思います。他の投資家と自分とを比較しすぎる事がよくない理由は、主に3つあります。
☆理由1、自分のペースとの関係
まず、他人とのベンチマーキングを行うと、他人のスタイルに影響を受けてしまいます。例えば、高いレバレッジを上手く効かせ、大きなドローダウンを避けつつ高いパフォーマンスを維持している、特殊能力を持つ投資家さん。そんな方の真似をしても、多くの投資家にとってはただただ危険である可能性が高いです。
確かに、徹底的にレバレッジとリスクについて訓練され、天賦の才能を持つ方には、そうしたポジションの取り方はリスクではないかもしれません。一方で、それ以外の大半の人にとっては同じ行動を取ることはリスクになるでしょう。「身の丈に合った投資」が大切なのです。このようなケースでは、マネをするかしないかの二者択一ではなく、第3の道として「高度なリスク管理能力」について学び、自分の手法に取り入れるという選択肢も残されています(様々な方から刺激を受けるのは大切なことですが、自分のスタイルを崩さない程度の適度な加減が大切だと感じます)。
☆理由2、副次的なリスク
インデックスや他人との比較は、どうしても投資の短期志向化に繋がってしまいます。投資とは「価値よりも安く買うこと」と思っていますが、安いからといって今日上がるわけではありません。他人と比べることで、アンダーパフォームしている期間に最高の銘柄を手放してしまうリスクもあるのです。気が付いていたらインデックスをアウトパフォームしていた。そうした状況が一番好ましいと思います。
また、インデックスとの比較はベンチマークに大きく負けている期間に高いリスクを取るインセンティブをもたらします。例えば、「8月になったのに指数に負けている。だからレバレッジをかけて逆転しよう」といった具合です。ですが、逆転を目指して勝てるほど相場は甘くなく、負けてしまうことがほとんどでしょう。仮に今回逆転できたとしても、そうした行動を取る投資家は、長い目で見た時には大敗し、相場から退場することになるのです。
☆理由3、モチベーションの維持
加えて、他人との比較は、さらに上を目指そうというモチベーションを低減させます。自分と他人との比較の上で成功を評価すると、他人に勝てれば喜びを感じるものの、努力を続けるというモチベーションが消えてしまいます。他人より良い成果を上げたのに、なぜこれ以上努力する必要があるのか考えてしまうのです。また、自分には遠く及ばない投資家を見つけた時、一気にモチベーションが低下してしまいます。このように、他人や外部のベンチマークを意識しすぎることによる、ネガティブな影響もあるのです。
一方で、“思考決定のプロセスを向上させる”、あるいは“判断を明確にする”、といった自分の内なるベンチマークに基づいて成功を評価すると、いつまでもモチベーションを保ち続け、大きなリスクを避け、長期にわたって好成績を上られる可能性が高まります。
☆まとめ
他人と比べずに自分と比べる。一年前の自分より、そして昨日の自分より優れた投資家になろうとする。それがモチベーションの面でも、ペースの面でも有効で、最高のパフォーマンスの源泉になると私は思うのです。あまり比較しすぎずに、自分なりに頑張ってみる。そうすると意外な解放感が得られて、パフォーマンスが向上することよくあります。不安定な相場環境であるからこそ、大切な考え方であると思います。
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執筆者名:さっかく
ブログ名:中長期投資家の独り言
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