【市場をにぎわす5大テーマ】(1)働き方改革〜繰り返される過労死が社会の関心を呼ぶ
[17/12/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
IT(情報通信)やAI(人工知能)、バイオやゲームといった華やかな物色テーマからすると、「働き方改革」テーマは地味にとらわれがちだ。しかし、このテーマは国策として奥が深く関連分野の裾野も広がっていて、侮れない。株式上場を準備しているある企業の経営幹部は「取引所の審査でも、従業員の勤務時間など労務管理部門のチェックが結構厳しい。内部統制ともからみIPO準備の課題になっている」とぼやく。各メディアで大きく取り上げられた、2015年12月に起きた大手広告代理店社員の過労死が、働き方改革の大きなきっかけとなったことは間違いない。
いまさらながらだが、2012年12月に誕生した安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」。その政策の「3本の矢」とされる「金融政策」「財政政策」「成長戦略」。このうちの成長戦略のなかに「1億総活躍」の全員参加の成長戦略、世界に勝てる若者(教育、人づくり)、女性が輝く日本が明示されている。これが「働き方改革」の原点と言っても、過言ではないだろう。衆議院選挙期間中に約21年ぶりの高値水準に到達した日経平均を前にして、2017年月7に発表された6月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)が2004年の調査開始以来、初となる1倍超えとなった。幅広い業種で人手不足がおこり、各企業が正社員の求人を増やしていることが背景にある。
しかし、それでも企業の現場では「人手不足」となっており、製造業の現場ではロボットなどの省力化投資、開発部門では、サービス業や事務分野では派遣サービスを活用することとなり、株式市場ではこうした企業の株価上昇や新規上場(IPO)が近年はこれが継続し、さらに現在進行系となっている。今年1月27日の「未来投資会議」では、産業競争力強化のための重点施策、つまり企業の稼ぐ力を高める方策が議論された。日本企業の労働生産性の低さには、長時間労働などの旧来型慣行や正規・非正規といった構造的問題が以前から指摘されている。今後いかにして、ここを改革できるかが、日本の労働市場改革のテーマとなっている。
そして、働き方改革テーマの重要キーワードのつ1に「女性の活躍」がある。女性の活躍、またその実現のための待機児童対策と幼児教育の無償化、そして、これらは根本的な少子化対策にもつながってくる。その政策は動き始めたばかりであり、相場的な果実の取り込みもこれからと予想される。金銭解雇ルールなども含めた「労働市場改革」は、海外機関投資家の関心も強い投資テーマだが、政治的なハードルは高いので、まだまだ改革の余地と課題は残る。ただ、株式市場では、国内外の機関投資家の間で重視され始め、その投資額は世界で2500兆円に達したとも言われている「ESG(環境・社会・企業統
治)投資」の観点からも、この「働き方改革」の物色人気は今後も、息の長いテーマとなってきそうだ。
※本コンテンツは、FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう〜第4次産業革命後の世界〜より一部抜粋したものです。
<WA>
いまさらながらだが、2012年12月に誕生した安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」。その政策の「3本の矢」とされる「金融政策」「財政政策」「成長戦略」。このうちの成長戦略のなかに「1億総活躍」の全員参加の成長戦略、世界に勝てる若者(教育、人づくり)、女性が輝く日本が明示されている。これが「働き方改革」の原点と言っても、過言ではないだろう。衆議院選挙期間中に約21年ぶりの高値水準に到達した日経平均を前にして、2017年月7に発表された6月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)が2004年の調査開始以来、初となる1倍超えとなった。幅広い業種で人手不足がおこり、各企業が正社員の求人を増やしていることが背景にある。
しかし、それでも企業の現場では「人手不足」となっており、製造業の現場ではロボットなどの省力化投資、開発部門では、サービス業や事務分野では派遣サービスを活用することとなり、株式市場ではこうした企業の株価上昇や新規上場(IPO)が近年はこれが継続し、さらに現在進行系となっている。今年1月27日の「未来投資会議」では、産業競争力強化のための重点施策、つまり企業の稼ぐ力を高める方策が議論された。日本企業の労働生産性の低さには、長時間労働などの旧来型慣行や正規・非正規といった構造的問題が以前から指摘されている。今後いかにして、ここを改革できるかが、日本の労働市場改革のテーマとなっている。
そして、働き方改革テーマの重要キーワードのつ1に「女性の活躍」がある。女性の活躍、またその実現のための待機児童対策と幼児教育の無償化、そして、これらは根本的な少子化対策にもつながってくる。その政策は動き始めたばかりであり、相場的な果実の取り込みもこれからと予想される。金銭解雇ルールなども含めた「労働市場改革」は、海外機関投資家の関心も強い投資テーマだが、政治的なハードルは高いので、まだまだ改革の余地と課題は残る。ただ、株式市場では、国内外の機関投資家の間で重視され始め、その投資額は世界で2500兆円に達したとも言われている「ESG(環境・社会・企業統
治)投資」の観点からも、この「働き方改革」の物色人気は今後も、息の長いテーマとなってきそうだ。
※本コンテンツは、FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう〜第4次産業革命後の世界〜より一部抜粋したものです。
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