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為替週間見通し:米利上げペース加速への思惑が強まる可能性も

注目トピックス 市況・概況
■米長期金利上昇を受けてドル・円は109円台に続伸

先週のドル・円は堅調推移。米長期金利の上昇を意識してリスク選好的なドル買いが活発となった。重要な節目とみられていた1ドル=108円を突破したことでストップロスのドル買いが執行された。地政学的リスクの増大に対する警戒感が低下したこともドル買い材料となった。

北朝鮮は核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を中止し、核実験場を廃棄すると表明した。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領は27日に行われた首脳会談で、朝鮮半島の完全な非核化を共通目標として取り組んでいくことを確認する共同宣言に署名した。

なお、日本銀行は27日公表の展望レポートで、2019年ごろとしていた物価2%の達成時期を削除した。日銀の黒田総裁は会合後の会見で、2%達成見通しの時期を削除した理由について、「これまでの記載が達成期限ではなく、見通しであることを明確にするため、記述の仕方を見直すこととした」、「見通しの先送りが政策変更につながると誤解される恐れがあり、変更した」と述べた。

27日のニューヨーク外為市場でドル・円は、109円54銭まで上昇後、一時108円98銭まで反落し、109円09銭でこの週の取引を終えた。米国の1-3月期国内総生産(GDP)速報値が予想を上回り、ドル買いが優勢となったが、米国株が伸び悩んだことや米長期金利の低下を受けてドル買いはやや縮小した。ドル・円の取引レンジ:107円63銭−109円54銭。

■米利上げペース加速への思惑が強まる可能性も

今週・来週(4月30日-5月11日週)のドル・円はやや底堅い動きとなりそうだ。日米金利差拡大、米長期金利の上昇を手がかりとしたドル買いは継続し、心理的に重要な節目となる110円台を再度目指す展開となりそうだ。5月1−2日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利の据え置きの公算だが、米国経済は雇用情勢、インフレなど力強さが目立ち、米利上げペース加速への期待が再燃する可能性もある。米10年債利回りは節目の3.00%台を一時上回った。米長期金利が再び3%台に上昇した場合、短期筋などのドル買いが活発となる可能性がある。

一方、欧州中央銀行(ECB)は足元の経済指標の弱さを認めたことで、早期引き締め期待は大幅に後退した。また、5月9-10日開催の英中央銀行金融政策委員会(MPC)では、予想に反してハト派寄りの政策決定となる可能性がある。好調な米国経済を意識してドル選好地合いが強まる展開となりそうだ。また、早ければ5月中に行われる可能性がある米朝首脳会談に向け、北朝鮮の非核化実現に期待が高まれば、リスク回避の円買いは縮小する可能性が高い。

【米・4月ISM製造業景況指数】(5月1日発表予定)
5月1日発表の米4月ISM製造業景況指数は58.5と、3月の59.3を下回る見通し。ただし、先日発表された4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は予想に反して堅調だったことから、市場コンセンサスを上回る可能性がある。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(5月1-2日開催予定)
日本時間5月3日3時にFOMC声明が発表される。政策金利は据え置きの公算だが、最近の経済指標は拡大基調を示しており、声明内容次第では利上げペース加速への期待が高まる可能性がある。

【米・4月雇用統計】(5月4日発表予定)
5月4日発表の米4月雇用統計は、失業率4.0%、非農業部門雇用者数は前月比+18.5万人、平均時給は前年比+2.7%程度が市場コンセンサス。前回の大幅下振れの反動で、堅調な内容になる見通し。

【米・4月消費者物価コア指数(CPI)】(5月10日発表予定)
5月10日発表の4月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+2%台の上昇となる見込み。3月のコアPCEは2%程度の上昇が予想されており、FRB目標の+2.0%を上回ることから、市場予想と一致した場合、利上げペース加速の思惑が強まりそうだ。

予想レンジ:107円00銭−111円00銭




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