国内株式市場見通し:日経平均は強含みで推移か、金融政策決定会合に注目
[18/07/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■日経平均は3週連続高、TOPIXも浮揚力高める
前週の日経平均は上昇した。小幅ながらも週間ベースでは3週連続の上昇と下値を切り上げている。週明けの日経平均は朝方の外為市場で1ドル110円台後半までの円高を嫌気するとともに、日銀が30、31日の日程で開く金融政策決定会合で、「利回り目標の柔軟化を検討する可能性」などを報じられて前週末比300円安と3日続落して始まった。その後は米国株の上昇と中国・人民元相場や上海総合指数の落ち着きから、日経平均は続伸と買い戻しが先行する形となった。日銀によるETF購入配分の見直しが伝わったことで海外ヘッジファンドによる225先物売りが観測され、週末にかけては上値が重い展開も見られたが、27日の日経平均は高値引け、TOPIXは4日続伸で終えた。物色的には、金融緩和策の見直しが利ザヤの改善につながるとの判断から、メインバンクに買いが先行したほか、好決算のアドバンテスト<6857>が買われた。対象的に日経平均寄与度の高いファーストリテイリング<9983>やソフトバンクG<9984>、アルツハイマー治療薬の試験結果を受け米バイオジェンの急落を受けたエーザイ<4523>が波乱の展開となった。一方、トランプ米大統領による対中輸入品への課税強化や米国とイランの対立激化で地政学リスクの強まりといった警戒感などから3日続落で始まったNYダウは、検索大手アルファベットなど主要企業の好決算などから26日にかけて3日続伸し、この間で480ドル強の上昇をみた。しかし、27日はツイッター、インテル、エクソン・モービルの決算が嫌気されてNYダウは4日ぶりに反落した。
■日銀のアナウンスに関心
今週の日経平均は強含みでの推移が予想される。外部環境には不透明感が残るものの、30日から2日間の日程で開催される日銀の金融政策決定会合で、ETF(上場投資信託)などによる資産買い入れ手法の柔軟化(ETFの購入対象における日経平均連動型の比率見直し)など、緩和姿勢の修正に対してどのようなアナウンスメントが行われるかが焦点となってこよう。31日15時30分(予定)からの黒田日銀総裁の会見内容も注目される。ETF配分見直し報道を受けて、NT(日経平均/TOPIX)の修正を織り込むうごきが始まっており、ファーストリテイリング<9983>など日経平均寄与度の大きな銘柄にはマイナスだが、すでに先行して株価は調整している。対象的に出遅れている時価総額が大きなトヨタ<7203>などにとってはプラスとみられる。このほか、需給的には好転の兆しが見えてきている。海外投資家が7月第3週(17日から20日)現在で2週連続の買い越しの一方、個人投資家は2週連続の売り越しと需給整理を進めた。積極的な上値買い材料に欠ける中、日経平均は一段の売り込み材料も乏しくなっている。5月の戻り高値23050.39円を更新できずに日経平均が伸び悩んでも、27日にかけて4日続伸しているTOPIXが6月13日以来となる1800ポイント回復に向けた動きを見せることが期待される。
■業績相場とバリュー株見直しが並走
日銀による金融政策の変更観測に端を発した機関投資家のポートフォリオ見直しによる銘柄入れ替えや長期金利の上昇で先週はメガバンクを筆頭に金融株が動意づいた。この流れが大手商社株や海運株といった出遅れバリュー株に広がる期待も膨らんでいる。そしてなによりも、決算発表本格化による業績相場がより強く反映される展開となりそうだ。31日は412銘柄と8月10日の577銘柄に次ぐ決算発表のヤマ場を迎える。30日は三井住友FG<8316>、TDK<6762>、31日はソニー<6758>、任天堂<7974>、村田製作所<6981>、8月1日はエーザイ<4523>、2日は新日鉄住金<5401>、三菱商事<8058>、3日はトヨタ<7203>、三井不動産<8801>などが発表を予定している。なかで、5月からの株価上昇3カ月目の村田製作所は20000円近辺でのもちあいから抜け出して1999年最高値25610円奪還に動き出すかが注目されよう。
■3日に米7月雇用統計控える
今週は日米ともに重要な金融政策イベントが控え、経済指標発表も目白押しとなる。国内経済関連スケジュールでは、30日に日銀金融政策決定会合(31日まで)、31日に黒田日銀総裁会見、日銀展望レポート、6月労働力調査・有効求人倍率、6月鉱工業生産、7月消費動向調査。8月1日には7月新車販売台数、3日に6月開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、GPIF4-6月期運用報告が予定される。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、31日にFOMC(米連邦公開市場委員会、8月1日まで)、米6月個人所得・個人支出、米7月シカゴ購買部協会景気指数、米7月CB消費者信頼感指数、中国7月製造業PMI、ユーロ圏6月失業率、ユーロ圏4-6月期GDP、1日に米7月ADP雇用統計、米6月建設支出、米7月ISM製造業景況指数、2日に英国金融政策発表、3日に米7月雇用統計、米6月貿易収支、米7月ISM非製造業景況指数がそれぞれ発表される。このほか、30日から8月4日までの日程でASEAN地域フォーラム、30日に清田瞭JPX最高経営責任者会見がある。なお、7月31日から8月1日にかけて開催されるFOMCについては終了後に政策金利が発表されるが、前回の政策金利1.75%から2.00%が据え置かれる見込み。
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前週の日経平均は上昇した。小幅ながらも週間ベースでは3週連続の上昇と下値を切り上げている。週明けの日経平均は朝方の外為市場で1ドル110円台後半までの円高を嫌気するとともに、日銀が30、31日の日程で開く金融政策決定会合で、「利回り目標の柔軟化を検討する可能性」などを報じられて前週末比300円安と3日続落して始まった。その後は米国株の上昇と中国・人民元相場や上海総合指数の落ち着きから、日経平均は続伸と買い戻しが先行する形となった。日銀によるETF購入配分の見直しが伝わったことで海外ヘッジファンドによる225先物売りが観測され、週末にかけては上値が重い展開も見られたが、27日の日経平均は高値引け、TOPIXは4日続伸で終えた。物色的には、金融緩和策の見直しが利ザヤの改善につながるとの判断から、メインバンクに買いが先行したほか、好決算のアドバンテスト<6857>が買われた。対象的に日経平均寄与度の高いファーストリテイリング<9983>やソフトバンクG<9984>、アルツハイマー治療薬の試験結果を受け米バイオジェンの急落を受けたエーザイ<4523>が波乱の展開となった。一方、トランプ米大統領による対中輸入品への課税強化や米国とイランの対立激化で地政学リスクの強まりといった警戒感などから3日続落で始まったNYダウは、検索大手アルファベットなど主要企業の好決算などから26日にかけて3日続伸し、この間で480ドル強の上昇をみた。しかし、27日はツイッター、インテル、エクソン・モービルの決算が嫌気されてNYダウは4日ぶりに反落した。
■日銀のアナウンスに関心
今週の日経平均は強含みでの推移が予想される。外部環境には不透明感が残るものの、30日から2日間の日程で開催される日銀の金融政策決定会合で、ETF(上場投資信託)などによる資産買い入れ手法の柔軟化(ETFの購入対象における日経平均連動型の比率見直し)など、緩和姿勢の修正に対してどのようなアナウンスメントが行われるかが焦点となってこよう。31日15時30分(予定)からの黒田日銀総裁の会見内容も注目される。ETF配分見直し報道を受けて、NT(日経平均/TOPIX)の修正を織り込むうごきが始まっており、ファーストリテイリング<9983>など日経平均寄与度の大きな銘柄にはマイナスだが、すでに先行して株価は調整している。対象的に出遅れている時価総額が大きなトヨタ<7203>などにとってはプラスとみられる。このほか、需給的には好転の兆しが見えてきている。海外投資家が7月第3週(17日から20日)現在で2週連続の買い越しの一方、個人投資家は2週連続の売り越しと需給整理を進めた。積極的な上値買い材料に欠ける中、日経平均は一段の売り込み材料も乏しくなっている。5月の戻り高値23050.39円を更新できずに日経平均が伸び悩んでも、27日にかけて4日続伸しているTOPIXが6月13日以来となる1800ポイント回復に向けた動きを見せることが期待される。
■業績相場とバリュー株見直しが並走
日銀による金融政策の変更観測に端を発した機関投資家のポートフォリオ見直しによる銘柄入れ替えや長期金利の上昇で先週はメガバンクを筆頭に金融株が動意づいた。この流れが大手商社株や海運株といった出遅れバリュー株に広がる期待も膨らんでいる。そしてなによりも、決算発表本格化による業績相場がより強く反映される展開となりそうだ。31日は412銘柄と8月10日の577銘柄に次ぐ決算発表のヤマ場を迎える。30日は三井住友FG<8316>、TDK<6762>、31日はソニー<6758>、任天堂<7974>、村田製作所<6981>、8月1日はエーザイ<4523>、2日は新日鉄住金<5401>、三菱商事<8058>、3日はトヨタ<7203>、三井不動産<8801>などが発表を予定している。なかで、5月からの株価上昇3カ月目の村田製作所は20000円近辺でのもちあいから抜け出して1999年最高値25610円奪還に動き出すかが注目されよう。
■3日に米7月雇用統計控える
今週は日米ともに重要な金融政策イベントが控え、経済指標発表も目白押しとなる。国内経済関連スケジュールでは、30日に日銀金融政策決定会合(31日まで)、31日に黒田日銀総裁会見、日銀展望レポート、6月労働力調査・有効求人倍率、6月鉱工業生産、7月消費動向調査。8月1日には7月新車販売台数、3日に6月開催の日銀金融政策決定会合議事要旨、GPIF4-6月期運用報告が予定される。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、31日にFOMC(米連邦公開市場委員会、8月1日まで)、米6月個人所得・個人支出、米7月シカゴ購買部協会景気指数、米7月CB消費者信頼感指数、中国7月製造業PMI、ユーロ圏6月失業率、ユーロ圏4-6月期GDP、1日に米7月ADP雇用統計、米6月建設支出、米7月ISM製造業景況指数、2日に英国金融政策発表、3日に米7月雇用統計、米6月貿易収支、米7月ISM非製造業景況指数がそれぞれ発表される。このほか、30日から8月4日までの日程でASEAN地域フォーラム、30日に清田瞭JPX最高経営責任者会見がある。なお、7月31日から8月1日にかけて開催されるFOMCについては終了後に政策金利が発表されるが、前回の政策金利1.75%から2.00%が据え置かれる見込み。
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