為替週間見通し:もみ合いか、米追加利上げをにらんで経済指標を見極める展開
[18/09/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
【先週の概況】
■ドル強含み、米中貿易協議再開への期待広がる
先週のドル・円は強含み。11日発表の7月JOLT求人件数は統計調査開始以降で最高を記録し、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測を背景にドル買いが先行した。8月の米生産者物価指数と米消費者物価指数は市場予想を下回ったことを嫌ってドル売りが一時優勢となったが、12日公表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、全米経済活動の緩やかな拡大継続や労働市場のひっ迫、物価上昇圧力の高まりなどが指摘され、リスク選好的なドル買いが再び活発となった。
中国商務省は13日、トランプ米政権が中国に協議再開を打診したとの一部報道を認めたこともドル買い材料となった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)の報道によると、ムニューシン米財務長官が中国側に協議再開を提案したもよう。数週間以内にワシントンまたは北京で閣僚級の会合が開かれる可能性がある。また、トルコ中央銀行による大幅利上げを受けて新興国通貨安への懸念が後退したこともドル買い・円売りを促した。
14日のニューヨーク外為市場では、8月米小売売上高が市場予想を下回ったことから、ドル・円は一時111円台後半まで下落したものの、その後発表された9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を上回る100.8に上昇し、米10年債利回りは一時3%に達したことを意識して、ドル・円は112円台に戻した。ドル・円の取引レンジ:110円85銭−112円17銭。
【今週の見通し】
■もみ合いか、米追加利上げをにらんで経済指標を見極める展開
今週のドル・円はもみ合いか。米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を来週25−26日に控え、米経済指標内容を慎重に見極める展開となりそうだ。市場は9月と12月の追加利上げを想定しているものの、トランプ米政権の貿易赤字削減に向けた通商政策は主要なテーマとなる。通商問題を巡る米中の対立はしばらく続くとみられており、安全逃避の円買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は今月25−26日開催のFOMCで6月以来3カ月ぶりとなる追加利上げに踏み切る公算だが、市場は年内2回の追加利上げをほぼ織り込んでいる。今後発表される経済指標が特に悪化しなければ、年4回の利上げシナリオ(あと2回の追加利上げ)は維持されるだろう。トルコ中央銀行が政策金利を17.75%から24.00%まで引き上げており、タカ派寄りのスタンスを示したことは、市場センチメントを改善させる効果があり、リスク選好的な円売りを促す可能性がある。
ただ、8月の米生産者物価指数と消費者物価指数はいずれも予想を下回った。また、FOMCメンバーの間では、「引き締めは不十分」(ブレイナードFRB理事)とのタカ派的な意見に対して、「金融引き締めは中立的な水準に到達」(セントルイス地区連銀のブラード総裁)と慎重な見方も出始めており、経済指標の悪化などで米国金利の先高観が後退した場合、ドル買い・円売りの流れは一服すると予想される。
一方、トランプ米政権は貿易赤字削減のため強硬な通商政策を推進する方針。米中貿易協議が再開された場合、貿易摩擦回避への思惑が広がり、円売りにつながるとの見方があるが、米中間の通商問題がすみやかに解決されるとの見方は現時点で少数にとどまっており、ドルの上値の重さが意識されるだろう。
【米・8月住宅着工件数】(19日発表予定)
19日発表の8月住宅着工件数(年率換算)は122.5万戸と、7月の116.8万戸を上回る見通し。住宅関連指標はやや弱さが目立つものの、8月実績が市場予想を上回った場合、住宅市況悪化への懸念は後退し、ドル買い材料になるとみられる。
【米・8月フィラデルフィア連銀景況調査】(20日発表予定)
20日発表の米8月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は15.0と予想される。8月の11.9からは回復の見通し。市場予想とおおむね一致すれば、景気拡大基調は維持されるとみられる。
予想レンジ:110円50銭−113円50銭
<FA>
■ドル強含み、米中貿易協議再開への期待広がる
先週のドル・円は強含み。11日発表の7月JOLT求人件数は統計調査開始以降で最高を記録し、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測を背景にドル買いが先行した。8月の米生産者物価指数と米消費者物価指数は市場予想を下回ったことを嫌ってドル売りが一時優勢となったが、12日公表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、全米経済活動の緩やかな拡大継続や労働市場のひっ迫、物価上昇圧力の高まりなどが指摘され、リスク選好的なドル買いが再び活発となった。
中国商務省は13日、トランプ米政権が中国に協議再開を打診したとの一部報道を認めたこともドル買い材料となった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)の報道によると、ムニューシン米財務長官が中国側に協議再開を提案したもよう。数週間以内にワシントンまたは北京で閣僚級の会合が開かれる可能性がある。また、トルコ中央銀行による大幅利上げを受けて新興国通貨安への懸念が後退したこともドル買い・円売りを促した。
14日のニューヨーク外為市場では、8月米小売売上高が市場予想を下回ったことから、ドル・円は一時111円台後半まで下落したものの、その後発表された9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は市場予想を上回る100.8に上昇し、米10年債利回りは一時3%に達したことを意識して、ドル・円は112円台に戻した。ドル・円の取引レンジ:110円85銭−112円17銭。
【今週の見通し】
■もみ合いか、米追加利上げをにらんで経済指標を見極める展開
今週のドル・円はもみ合いか。米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合を来週25−26日に控え、米経済指標内容を慎重に見極める展開となりそうだ。市場は9月と12月の追加利上げを想定しているものの、トランプ米政権の貿易赤字削減に向けた通商政策は主要なテーマとなる。通商問題を巡る米中の対立はしばらく続くとみられており、安全逃避の円買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は今月25−26日開催のFOMCで6月以来3カ月ぶりとなる追加利上げに踏み切る公算だが、市場は年内2回の追加利上げをほぼ織り込んでいる。今後発表される経済指標が特に悪化しなければ、年4回の利上げシナリオ(あと2回の追加利上げ)は維持されるだろう。トルコ中央銀行が政策金利を17.75%から24.00%まで引き上げており、タカ派寄りのスタンスを示したことは、市場センチメントを改善させる効果があり、リスク選好的な円売りを促す可能性がある。
ただ、8月の米生産者物価指数と消費者物価指数はいずれも予想を下回った。また、FOMCメンバーの間では、「引き締めは不十分」(ブレイナードFRB理事)とのタカ派的な意見に対して、「金融引き締めは中立的な水準に到達」(セントルイス地区連銀のブラード総裁)と慎重な見方も出始めており、経済指標の悪化などで米国金利の先高観が後退した場合、ドル買い・円売りの流れは一服すると予想される。
一方、トランプ米政権は貿易赤字削減のため強硬な通商政策を推進する方針。米中貿易協議が再開された場合、貿易摩擦回避への思惑が広がり、円売りにつながるとの見方があるが、米中間の通商問題がすみやかに解決されるとの見方は現時点で少数にとどまっており、ドルの上値の重さが意識されるだろう。
【米・8月住宅着工件数】(19日発表予定)
19日発表の8月住宅着工件数(年率換算)は122.5万戸と、7月の116.8万戸を上回る見通し。住宅関連指標はやや弱さが目立つものの、8月実績が市場予想を上回った場合、住宅市況悪化への懸念は後退し、ドル買い材料になるとみられる。
【米・8月フィラデルフィア連銀景況調査】(20日発表予定)
20日発表の米8月フィラデルフィア連銀景況調査(製造業景気指数)は15.0と予想される。8月の11.9からは回復の見通し。市場予想とおおむね一致すれば、景気拡大基調は維持されるとみられる。
予想レンジ:110円50銭−113円50銭
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