サンダース氏のリベンジに関心【フィスコ・コラム】
[19/02/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
2020年の次期アメリカ大統領選に向け、野党・民主党で指名候補争いの火ぶたが切られました。「人材難」が露呈されつつあるなか、前回善戦したバーニー・サンダース上院議員が参戦を決めたもようで、今後の行方に注目が集まりそうです。
現在までに名乗りを上げた候補者では、カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州)など女性議員が目立ちますが、いずれも前回のヒラリー・クリントン元国務長官に匹敵するほどの実績や知名度は持っておらず、ドングリの背比べのようです。いまだにバイデン元副大統領の動向が取りざたされるほどで、役者不足は否めません。反トランプのメディアも持ち上げる報道はみられず、盛り上がりを欠いています。
そうした状況に、再選を狙うトランプ大統領のツイッター投稿には余裕すら感じられます。ミネソタ州のエイミー・クロブチャー上院議員が大雪のなかで支持者を前に出馬宣言し地球温暖化対策に消極的なトランプ政権を暗に批判すると、トランプ氏は早速ツイッターで「タイミングが悪かった」と一笑に付し、演説中に雪が体に付着した同議員を「雪だるまのようだ」とからかっていました。
そのトランプ大統領は2月15日、メキシコ国境の壁を建設する費用を確保するため国家非常事態を宣言し、議会の承認なく国防関連予算などを捻出。予算編成の権限を持つ議会の了承が得られないケースに非常事態宣言を発動して予算を確保するのは異例です。野党が主張する「憲法を踏みにじる行為」ではありますが、民主党から自分を脅かす候補者は出ないとの見立てがそうさせているのかもしれません。
そうしたなか、前回2016年の民主党指名争いで泡沫候補として扱われながら善戦したバーニー・サンダース上院議員が今回も名乗りを上げました。同氏は行き過ぎた資本主義の是正を訴える政策を掲げて予想外に支持を集め、対立候補のヒラリー・クリントン元国務長官に終盤に肉薄。結局、クリントン氏に敗れましたが、その後の報道で指名争いで党内に不正行為があったことが明らかになっています。
サンダース氏はトランプ氏とはおよそタイプが異なるものの、「異端」という共通項を持っています。従来型の民主党候補でない分、無党派層にもアピールでき、正式候補となれば本選でトランプ氏を脅かす存在となるでしょう。しかし、民主党執行部がそうした候補者の擁立を許す気配はありません。トランプ・サイドから予想される「社会主義者」の大合唱を民主党としては避けたいためです。
民主党の指名候補争いはまだ始まったばかりですが、スター不在の現状ではトランプ再選を食い止めるのは難しいかもしれません。サンダース氏は前回の指名レース撤退後、独立候補として出馬を期待されながらそうせず、クリントンの応援に回りました。それに失望した一部の支持者はトランプ票に流れたとみられます。しかし、今回はどうでしょうか。民主党を「ぶっ壊す」などと同氏が主張したら、がぜん面白くなりそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
<SK>
現在までに名乗りを上げた候補者では、カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州)など女性議員が目立ちますが、いずれも前回のヒラリー・クリントン元国務長官に匹敵するほどの実績や知名度は持っておらず、ドングリの背比べのようです。いまだにバイデン元副大統領の動向が取りざたされるほどで、役者不足は否めません。反トランプのメディアも持ち上げる報道はみられず、盛り上がりを欠いています。
そうした状況に、再選を狙うトランプ大統領のツイッター投稿には余裕すら感じられます。ミネソタ州のエイミー・クロブチャー上院議員が大雪のなかで支持者を前に出馬宣言し地球温暖化対策に消極的なトランプ政権を暗に批判すると、トランプ氏は早速ツイッターで「タイミングが悪かった」と一笑に付し、演説中に雪が体に付着した同議員を「雪だるまのようだ」とからかっていました。
そのトランプ大統領は2月15日、メキシコ国境の壁を建設する費用を確保するため国家非常事態を宣言し、議会の承認なく国防関連予算などを捻出。予算編成の権限を持つ議会の了承が得られないケースに非常事態宣言を発動して予算を確保するのは異例です。野党が主張する「憲法を踏みにじる行為」ではありますが、民主党から自分を脅かす候補者は出ないとの見立てがそうさせているのかもしれません。
そうしたなか、前回2016年の民主党指名争いで泡沫候補として扱われながら善戦したバーニー・サンダース上院議員が今回も名乗りを上げました。同氏は行き過ぎた資本主義の是正を訴える政策を掲げて予想外に支持を集め、対立候補のヒラリー・クリントン元国務長官に終盤に肉薄。結局、クリントン氏に敗れましたが、その後の報道で指名争いで党内に不正行為があったことが明らかになっています。
サンダース氏はトランプ氏とはおよそタイプが異なるものの、「異端」という共通項を持っています。従来型の民主党候補でない分、無党派層にもアピールでき、正式候補となれば本選でトランプ氏を脅かす存在となるでしょう。しかし、民主党執行部がそうした候補者の擁立を許す気配はありません。トランプ・サイドから予想される「社会主義者」の大合唱を民主党としては避けたいためです。
民主党の指名候補争いはまだ始まったばかりですが、スター不在の現状ではトランプ再選を食い止めるのは難しいかもしれません。サンダース氏は前回の指名レース撤退後、独立候補として出馬を期待されながらそうせず、クリントンの応援に回りました。それに失望した一部の支持者はトランプ票に流れたとみられます。しかし、今回はどうでしょうか。民主党を「ぶっ壊す」などと同氏が主張したら、がぜん面白くなりそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
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