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参院選の投票率は回復に向かうか【フィスコ・コラム】

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7月21日に行われた第25回参院選は、投票しなかった有権者の数が過去最高に達したもようです。低投票が続けば少数意見はかき消され、民主主義の崩壊は避けられません。そうしたなかで出現した型破りな政党は、閉塞感を打ち破ることができるでしょうか。


21日の参院選の投票率は48.8%で、50%を割り込んだのは阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生した1995年以来となりました。この時に投票しなかった人(比例)は5370万人に上りましたが、被災状況を考えれば無理もありません。一方、今回は参院選の投票率としては過去2番目の低さですが、投票を棄権した人は95年を150万人超も上回る5527万人に達しました。


選挙を棄権する理由を考えてみると、(1)仕事や家事で余裕がない、(2)レジャーで忙しい、(3)政治批判の意思表示、(4)関心がなく面倒、の4タイプに分類できそうです。選挙権を得て以来30年あまりの間、一度も投票したことがない製薬メーカー(1部上場)勤務の知人がいます。理由を尋ねると、「投票制度が悪い」との答えが返ってきました。もっともらしい言い訳ですが、明らかに(4)のタイプでしょう。


投票に行かなかった5527万人のほとんどがこのように無関心だとしたら、民主主義の意味がありません。ただ、このうちの何割かでも投票するようになれば、選挙結果はかなり変わるでしょう。今回の参院選で自民党と公明党の両党を合わせた得票数は計2424万票でしたが、棄権した人の半数にも満たない数字です。政治への不信感があるのなら投票行動で示さないと、結果的に「支持」となってしまいます。


もっとも、低投票で困るのは野党だけではありません。自公の得票数から考えると支持は有権者の4人に1人、自民単独なら10人に1人強といったレベルです。しかも、今の自民党は組織票だけでなく、大都市圏の無党派層に支えられる面もあります。かつて森喜朗元首相は選挙前に有権者が投票に行かず「寝ていてくれれば」などと発言し失笑と非難を浴びましたが、そんなのん気に構えていられなくなったようです。


日本の政治は旧民主党の自滅により二大政党の仕組みがあっさり崩れ、少数政党が乱立する時代に入りました。現在のように弱すぎる野党が自公をアシストする構図が続けば、少数意見はますます無視されてしまうでしょう。そうしたなか、今回の参院選で「れいわ新選組」や「NHKから国民を守る党」といったユニークな新興勢力が初の国政選挙に臨み、議席を獲得するという躍進を見せました。


一見風変わりなそれらの政党が弱者の声を代弁し、旧来型の政治が見過ごしてきた政策の実現を訴えれば無関心層にもインパクトを与えるのではないでしょうか。れいわの山本太郎代表が言うように政治を、あえて「見世物」にするのです。「自公VSその他の弱小野党グループ」の戦いは今後も続きますが、斬新な発想で殻を突き破った政党の主張は大政党も無視できなくなるかもしれません。

(吉池 威)

※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。




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