来週の相場で注目すべき3つのポイント:日電産決算、ECB定例理事会、米・独・ユーロ圏PMI
[19/10/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限23000-下限22450円
来週の日経平均は22500円レベルでの底固めを進めるなか、昨年10月以来となる23000円台を視界にとらえるかが焦点になってくる。米中貿易協議の部分合意に加え、EUと英国のEU離脱案合意と外部環境は大きく好転してきた。一部の予想を下回る米経済指標やジョンソン英首相がEUと合意した離脱案が議会で否決される警戒感、「香港人権法案」に絡んだ中国問題、トルコを含む中東問題と懸念材料は残るものの、市場心理は弱気に傾いていたセンチメントの巻き戻しが継続しやすい状況にある。18日のNYダウは過去最低を更新した中国7-9月期GDPの伸びを嫌気して下落し、週明けはその影響も東京市場に出てくるだろう。ただ、日本、米国、中国ともに、今週はマーケットに影響の大きい経済指標の発表は見当たらない。こうしたなか、株式市場の関心は企業決算に一段とシフトしてくることが見込まれる。米IBMなど一部企業については市場コンセンサスを下回ったことが嫌気されているが、モルガン・スタンレーなどの主要企業ではおおむね堅調な決算が相次ぎ、買い安心感に繋がっている。今後、米国では、22日にP&G、マクドナルド、テキサス・インスツルメンツ、23日にキャタピラー、ボーイング、マイクロソフト、フォード、24日にインテル、ビザ、アマゾンがそれぞれ決算発表を予定している。日本でも主要企業の決算発表が始まり、23日に日本電産<6594>、24日に中外製薬<4519>、東京製鐵<5423>、25日に信越化学工業<4063>、エムスリー<2413>などが決算発表を控えている。一部で注目されている「7-9月期が業績のボトム」で「10-12月期から回復期入り」というシナリオが描けるかかが、年末高に向けたポイントとなってくる。いずれにせよ、物色的には決算発表で一喜一憂する展開が強まってくることになると予想される。また、出遅れ感の強いマザーズ銘柄など中小型株にも関心が向いてくることに期待したいが、中小型株ファンドからの資金流出が伝わるなど回復機運が高まっている状況とは言いづらい。幕間つなぎ的な物色にとどまる可能性がある。
一方、週後半にかけては、10月29日から30日にかけての米連邦公開市場委員会(FOMC)に関心が向くことになりそうだ。日本時間31日午前3時に声明発表、同3時半に記者会見が予定されている。11月のFOMC開催はなく、年内はこの10月と12月10日から11日までの2回の開催を残すのみとなっている。米9月小売売上高が今年2月以来となる前月比マイナスと予想外に落ち込み、10月の利下げ確率が高まっていることが、相場の下支えとして働いてこよう。
主な国内経済関連スケジュールは、21日に9月貿易統計、8月全産業活動指数の発表、22日は即位礼正殿の儀で東京市場休場などが予定されている。このほか、24日に欧州中央銀行(ECB)定例理事会(ドラギ総裁記者会見)、東京モーターショー(11月4日まで)などが開催される見込みだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦公開市場委員会(FOMC)を翌週(10月29−30日)に控え、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ継続の思惑から、ドル売りが先行する可能性がある。16日に発表された米国の9月小売売上高は予想外の低調な内容となり、景気減速への警戒感が広がっている。24日発表の10月マークイット製造業PMIは低調な内容となる可能性もあるため、景気減速懸念からFRBの利下げ観測を後押しする可能性があろう。
ただ、ドイツの景気刺激策や英国の円滑なEU離脱などへの期待感で欧州通貨買い・円売りの取引は増える可能性がある。この影響でドル・円の取引でもドル買い・円売りは継続し、ドル・円は下げ渋る見通し。また、日本銀行の黒田総裁は18日、日本の金融緩和余地はまだあると指摘し、「2%の物価目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れがある時は、当然、金融緩和をする」との見解を伝えている。次回の金融政策決定会合で何らかの追加緩和策が導入される可能性は残されており、リスク回避の円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられている。
なお、英議会の審議でEUからの新離脱協定案が否決された場合、ジョンソン首相は離脱期限の延期をEUに申請することが法律で義務付けられている。EU各国が延期を承認する可能性は高いとみられており、英国が10月末時点で合意なきEU離脱を選択する可能性は極めて低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
10月21日(月):日・貿易収支、中国新築住宅価格など
10月22日(火):株式市場は祝日のため休場(即位礼正殿の儀)、米国中古住宅販売件数、ブ・拡大消費者物価指数など
10月23日(水):日電産決算、米MBA住宅ローン申請指数、米FHFA住宅価格指数、米マイクロソフト決算など
10月24日(木):日・製造業PMI、米・独・ユーロ圏PMI、トルコ・インドネシア中銀が政策金利発表など
10月25日(金):日・工作機械受注、ロシア中銀が政策金利発表、ECB専門家調査報告、独IFO企業景況感指数など
10月27日(日):中・工業利益、アルゼンチン・ウルグアイ大統領選挙第1回投票(決選投票の場合11月24日)
<SK>
予想レンジ:上限23000-下限22450円
来週の日経平均は22500円レベルでの底固めを進めるなか、昨年10月以来となる23000円台を視界にとらえるかが焦点になってくる。米中貿易協議の部分合意に加え、EUと英国のEU離脱案合意と外部環境は大きく好転してきた。一部の予想を下回る米経済指標やジョンソン英首相がEUと合意した離脱案が議会で否決される警戒感、「香港人権法案」に絡んだ中国問題、トルコを含む中東問題と懸念材料は残るものの、市場心理は弱気に傾いていたセンチメントの巻き戻しが継続しやすい状況にある。18日のNYダウは過去最低を更新した中国7-9月期GDPの伸びを嫌気して下落し、週明けはその影響も東京市場に出てくるだろう。ただ、日本、米国、中国ともに、今週はマーケットに影響の大きい経済指標の発表は見当たらない。こうしたなか、株式市場の関心は企業決算に一段とシフトしてくることが見込まれる。米IBMなど一部企業については市場コンセンサスを下回ったことが嫌気されているが、モルガン・スタンレーなどの主要企業ではおおむね堅調な決算が相次ぎ、買い安心感に繋がっている。今後、米国では、22日にP&G、マクドナルド、テキサス・インスツルメンツ、23日にキャタピラー、ボーイング、マイクロソフト、フォード、24日にインテル、ビザ、アマゾンがそれぞれ決算発表を予定している。日本でも主要企業の決算発表が始まり、23日に日本電産<6594>、24日に中外製薬<4519>、東京製鐵<5423>、25日に信越化学工業<4063>、エムスリー<2413>などが決算発表を控えている。一部で注目されている「7-9月期が業績のボトム」で「10-12月期から回復期入り」というシナリオが描けるかかが、年末高に向けたポイントとなってくる。いずれにせよ、物色的には決算発表で一喜一憂する展開が強まってくることになると予想される。また、出遅れ感の強いマザーズ銘柄など中小型株にも関心が向いてくることに期待したいが、中小型株ファンドからの資金流出が伝わるなど回復機運が高まっている状況とは言いづらい。幕間つなぎ的な物色にとどまる可能性がある。
一方、週後半にかけては、10月29日から30日にかけての米連邦公開市場委員会(FOMC)に関心が向くことになりそうだ。日本時間31日午前3時に声明発表、同3時半に記者会見が予定されている。11月のFOMC開催はなく、年内はこの10月と12月10日から11日までの2回の開催を残すのみとなっている。米9月小売売上高が今年2月以来となる前月比マイナスと予想外に落ち込み、10月の利下げ確率が高まっていることが、相場の下支えとして働いてこよう。
主な国内経済関連スケジュールは、21日に9月貿易統計、8月全産業活動指数の発表、22日は即位礼正殿の儀で東京市場休場などが予定されている。このほか、24日に欧州中央銀行(ECB)定例理事会(ドラギ総裁記者会見)、東京モーターショー(11月4日まで)などが開催される見込みだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦公開市場委員会(FOMC)を翌週(10月29−30日)に控え、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ継続の思惑から、ドル売りが先行する可能性がある。16日に発表された米国の9月小売売上高は予想外の低調な内容となり、景気減速への警戒感が広がっている。24日発表の10月マークイット製造業PMIは低調な内容となる可能性もあるため、景気減速懸念からFRBの利下げ観測を後押しする可能性があろう。
ただ、ドイツの景気刺激策や英国の円滑なEU離脱などへの期待感で欧州通貨買い・円売りの取引は増える可能性がある。この影響でドル・円の取引でもドル買い・円売りは継続し、ドル・円は下げ渋る見通し。また、日本銀行の黒田総裁は18日、日本の金融緩和余地はまだあると指摘し、「2%の物価目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れがある時は、当然、金融緩和をする」との見解を伝えている。次回の金融政策決定会合で何らかの追加緩和策が導入される可能性は残されており、リスク回避の円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられている。
なお、英議会の審議でEUからの新離脱協定案が否決された場合、ジョンソン首相は離脱期限の延期をEUに申請することが法律で義務付けられている。EU各国が延期を承認する可能性は高いとみられており、英国が10月末時点で合意なきEU離脱を選択する可能性は極めて低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
10月21日(月):日・貿易収支、中国新築住宅価格など
10月22日(火):株式市場は祝日のため休場(即位礼正殿の儀)、米国中古住宅販売件数、ブ・拡大消費者物価指数など
10月23日(水):日電産決算、米MBA住宅ローン申請指数、米FHFA住宅価格指数、米マイクロソフト決算など
10月24日(木):日・製造業PMI、米・独・ユーロ圏PMI、トルコ・インドネシア中銀が政策金利発表など
10月25日(金):日・工作機械受注、ロシア中銀が政策金利発表、ECB専門家調査報告、独IFO企業景況感指数など
10月27日(日):中・工業利益、アルゼンチン・ウルグアイ大統領選挙第1回投票(決選投票の場合11月24日)
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