国内株式市場見通し:日経平均は米中協議睨みつつ上値を意識
[19/11/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■日経平均は3週ぶり反発、香港情勢が懸念材料
前週の日経平均は3週間ぶりに反発した。米中貿易協議の第一弾合意への期待が週前半高に寄与した一方、週後半は香港情勢が相場に影を落とす形となった。米中首脳の貿易協議を巡る前向きな発言を好感して22日のNYダウは4日ぶりに109ドル高と反発した。これを受けた週明け25日の日経平均は続伸した。香港株高なども支援材料となり、前引けにかけて前週末比234.30円高まで上昇する場面があったが、後場に入ると伸び悩んだ。売買代金は1兆6991億円と10月21日以来、およそ1カ月ぶりの低水準となった。中国が知的財産権を巡る問題で譲歩と報じられ、25日のNYダウは続伸。この流れを引き継いだ26日の日経平均も3日続伸となった。個別では、アナリストによる目標株価引き上げの動きが相次いでいる村田製作所<6981>の上昇が目立った。26日のNYダウが3日続伸し史上最高値を更新し、27日の日経平均も4日続伸。ただ、日中の上下の値幅は90円弱に留まり、こう着感の強い展開となった。28日朝方にトランプ米大統領が「香港人権・民主主義法」に署名したことが伝わると米中協議への警戒感が生まれ、日経平均は5日ぶりに反落した。為替相場やアジア株式市場の反応が限定的で下げ幅は小幅に留まったものの、米国市場が感謝祭による休場を控えていることから積極的な売買は敬遠されて東証1部の出来高は10月21日以来となる10億株割れに沈んだ。個別では、半導体事業からの撤退が報じられたパナソニック<6752>が大幅高となった。日経平均が一服した一方で、東証2部指数、マザーズ指数、ジャスダック平均は5日続伸し、物色の流れは中小型株に向かった。29日の日経平均は、手掛かり難のなかで小幅続落した。押し目買いが先行して始まったが、週末とあって買いが続かず日経平均はマイナスに転じた。なお、月間で見た日経平均は3カ月連続高となった。
■日経平均は堅調さ維持へ
今週の日経平均は、模様眺めムードが継続しつつも堅調な展開を維持しそうだ。トランプ大統領が「香港人権・民主主義法」に署名したことを受けて、米中貿易協議への悪影響が懸念されているものの、米中ともに過激な対応は出ていない。相場への影響が大きい米中の通商交渉に関してのニュースには、引き続き神経質な展開を強いられることになる。8日に香港民主派が大規模抗議集会を計画していることも気掛かりだ。米中通商協議フェーズ1の合意が不透明で、米国による12月15日の対中追加関税発動期限も接近しているが、米中交渉の進展期待が相場の下支えとして働いていることも事実だ。一方、29日朝方の寄り付き前に経済産業省が発表した国内10月の鉱工業生産は、事前の市場予想を下回る一方、ユーロ圏景況感指数は改善が伝えられて、内外の経済指標は強弱感が交錯している。6日の米11月雇用統計は日本時間同日夜の発表であり、株式市場への影響は翌週となる。こうしたなか、米ブラックフライデーの出足が低調過ぎる事態にでもならない限り、相場基調は崩れずに週明けを迎えることが出来そうだ。12月2日のサイバーマンデーへの期待も根強く、本格化入りする米クリスマス商戦の話題が日経平均をサポートしてこよう。1ドル=109円台半ばで安定的に推移している為替相場が、一段の円安になれば、下値抵抗を強めている日経平均は上値を一気に慕うこともありそうだ。限られた動きとなっていた海外勢のフローも翌週末13日のメジャーSQに向けて、動意を強める可能性がある。
■物色の関心は中小型株と新興市場に
物色的には、半導体関連を始めとする優良株と内需関連株に買い一巡感が漂い、大型株は一服ムードが継続しやすい。ただ、相対的な日本株の出遅れ感は意識されており売りも限られてこよう。こうしたなか、個人主体の中小型株・材料株物色に関心が一段と高まる方向にある。なかでも、12月のIPO(新規上場)ラッシュに加えて、季節性からマザーズやジャスダックなど新興市場銘柄の活躍期待が膨らんでいる。マザーズ指数、ジャスダック平均は29日に掛けて6日続伸と助走を開始している。このほか、米アップルが2日(日本時間3日早朝)にメディア向けイベントを開催する。新製品の発表はなく、今年人気のアプリとゲームを表彰の観測があるが、手掛かり材料となる期待もある。また、2日から6日にかけて開催されるNATO(北大西洋条約機構)が主催するサイバー防衛演習「サイバー・コアリション2019」に、日本の防衛省が公式に初参加する。サイバーセキュリティ関連に関心が向く可能性があるほか、ファーストリテ<9983>の11月国内ユニクロ売上高が3日に発表され、消費関連株にもスポットが当たるだろう。
■サイバーマンデー、米雇用統計、中国貿易統計
主な国内経済関連スケジュールとして、2日は7-9月期法人企業統計、11月自動車販売台数、3日は11月マネタリーベース、6日は10月毎月勤労統計調査、10月家計調査、10月の景気動向指数の発表が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールとしては、2日に米11月ISM製造業景況指数、米サイバーマンデー、4日に米11月ADP雇用統計、5日に米10月貿易収支、米10月製造業受注、ユーロ圏7-9月期GDP確定値、6日に米11月雇用統計、8日に中国11月貿易統計が予定されている。
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前週の日経平均は3週間ぶりに反発した。米中貿易協議の第一弾合意への期待が週前半高に寄与した一方、週後半は香港情勢が相場に影を落とす形となった。米中首脳の貿易協議を巡る前向きな発言を好感して22日のNYダウは4日ぶりに109ドル高と反発した。これを受けた週明け25日の日経平均は続伸した。香港株高なども支援材料となり、前引けにかけて前週末比234.30円高まで上昇する場面があったが、後場に入ると伸び悩んだ。売買代金は1兆6991億円と10月21日以来、およそ1カ月ぶりの低水準となった。中国が知的財産権を巡る問題で譲歩と報じられ、25日のNYダウは続伸。この流れを引き継いだ26日の日経平均も3日続伸となった。個別では、アナリストによる目標株価引き上げの動きが相次いでいる村田製作所<6981>の上昇が目立った。26日のNYダウが3日続伸し史上最高値を更新し、27日の日経平均も4日続伸。ただ、日中の上下の値幅は90円弱に留まり、こう着感の強い展開となった。28日朝方にトランプ米大統領が「香港人権・民主主義法」に署名したことが伝わると米中協議への警戒感が生まれ、日経平均は5日ぶりに反落した。為替相場やアジア株式市場の反応が限定的で下げ幅は小幅に留まったものの、米国市場が感謝祭による休場を控えていることから積極的な売買は敬遠されて東証1部の出来高は10月21日以来となる10億株割れに沈んだ。個別では、半導体事業からの撤退が報じられたパナソニック<6752>が大幅高となった。日経平均が一服した一方で、東証2部指数、マザーズ指数、ジャスダック平均は5日続伸し、物色の流れは中小型株に向かった。29日の日経平均は、手掛かり難のなかで小幅続落した。押し目買いが先行して始まったが、週末とあって買いが続かず日経平均はマイナスに転じた。なお、月間で見た日経平均は3カ月連続高となった。
■日経平均は堅調さ維持へ
今週の日経平均は、模様眺めムードが継続しつつも堅調な展開を維持しそうだ。トランプ大統領が「香港人権・民主主義法」に署名したことを受けて、米中貿易協議への悪影響が懸念されているものの、米中ともに過激な対応は出ていない。相場への影響が大きい米中の通商交渉に関してのニュースには、引き続き神経質な展開を強いられることになる。8日に香港民主派が大規模抗議集会を計画していることも気掛かりだ。米中通商協議フェーズ1の合意が不透明で、米国による12月15日の対中追加関税発動期限も接近しているが、米中交渉の進展期待が相場の下支えとして働いていることも事実だ。一方、29日朝方の寄り付き前に経済産業省が発表した国内10月の鉱工業生産は、事前の市場予想を下回る一方、ユーロ圏景況感指数は改善が伝えられて、内外の経済指標は強弱感が交錯している。6日の米11月雇用統計は日本時間同日夜の発表であり、株式市場への影響は翌週となる。こうしたなか、米ブラックフライデーの出足が低調過ぎる事態にでもならない限り、相場基調は崩れずに週明けを迎えることが出来そうだ。12月2日のサイバーマンデーへの期待も根強く、本格化入りする米クリスマス商戦の話題が日経平均をサポートしてこよう。1ドル=109円台半ばで安定的に推移している為替相場が、一段の円安になれば、下値抵抗を強めている日経平均は上値を一気に慕うこともありそうだ。限られた動きとなっていた海外勢のフローも翌週末13日のメジャーSQに向けて、動意を強める可能性がある。
■物色の関心は中小型株と新興市場に
物色的には、半導体関連を始めとする優良株と内需関連株に買い一巡感が漂い、大型株は一服ムードが継続しやすい。ただ、相対的な日本株の出遅れ感は意識されており売りも限られてこよう。こうしたなか、個人主体の中小型株・材料株物色に関心が一段と高まる方向にある。なかでも、12月のIPO(新規上場)ラッシュに加えて、季節性からマザーズやジャスダックなど新興市場銘柄の活躍期待が膨らんでいる。マザーズ指数、ジャスダック平均は29日に掛けて6日続伸と助走を開始している。このほか、米アップルが2日(日本時間3日早朝)にメディア向けイベントを開催する。新製品の発表はなく、今年人気のアプリとゲームを表彰の観測があるが、手掛かり材料となる期待もある。また、2日から6日にかけて開催されるNATO(北大西洋条約機構)が主催するサイバー防衛演習「サイバー・コアリション2019」に、日本の防衛省が公式に初参加する。サイバーセキュリティ関連に関心が向く可能性があるほか、ファーストリテ<9983>の11月国内ユニクロ売上高が3日に発表され、消費関連株にもスポットが当たるだろう。
■サイバーマンデー、米雇用統計、中国貿易統計
主な国内経済関連スケジュールとして、2日は7-9月期法人企業統計、11月自動車販売台数、3日は11月マネタリーベース、6日は10月毎月勤労統計調査、10月家計調査、10月の景気動向指数の発表が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールとしては、2日に米11月ISM製造業景況指数、米サイバーマンデー、4日に米11月ADP雇用統計、5日に米10月貿易収支、米10月製造業受注、ユーロ圏7-9月期GDP確定値、6日に米11月雇用統計、8日に中国11月貿易統計が予定されている。
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