来週の相場で注目すべき3つのポイント:国内感染者動向、中国1-3月期GDP、IMF世界経済見通し公表
[20/04/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限20500-下限18500円
来週の日経平均は、強弱感が対立するなか19000円台を固める展開となるかが焦点となる。安倍総理大臣が7日に7都府県を対象とした「緊急事態宣言」を発令したことを受けて、米国の新型コロナウイルスの感染者・死亡者数と東京都の感染者数の動向が、東京市場を左右する焦点となっている。米国では、ニューヨーク州クオモ知事や米国立アレルギー感染症研究所所長が新型コロナウイルス感染者数のピークアウトを示唆するなど、前向きな発言が出てNYダウは切り返しに転じている。一方、国内は東京都や都市部での感染が拡大する状況下、リスクオフになりやすい展開となっている。そのため、日経平均は戻り待ちの売りも出やすく、19500円近辺が20000円を前にした一つのフシとなり始めている。ここで戻りが止まると3月25日の戻り高値19564円に対する2番天井ともなってしまう懸念がある。先物市場では、ボラティリティの高い状況も続いているため、上値の重さを意識する展開が継続しそうだ。15日の米3月小売売上高、17日の中国1-3月期GDPなど、米中の主要経済指標の発表が相次ぐことも波乱要因だ。一方、日経平均は約1カ月半ぶりに25日移動平均線を7日に回復した。右肩下がりのチャート形成の中での上抜けのため、信頼性には欠けるものの1カ月ぶりにようやく点ったテクニカル上のサインでもある。需給面では、海外投資家の動向が注目される。東証が9日に発表した4月第1週(3月30日〜4月3日)の投資部門別売買動向では、海外投資家は現物と先物の合算で8週連続の売り越しを継続した。しかし、現物ベースの売越額は前週の9517億円規模から654億円と大幅に縮小している。海外投資家の売り圧力が弱まれば、日経平均は19000円台を固める展開となってこよう。弱気の見方は多いものの、相場はそうした弱気派を押し返す強さも見せ始めていることも確かだ。
個別では、13日から初診患者へのオンライン診療が開始するため、話題性から改めて注目される期待がある。15日には、衆院地方創生特別委員会でスーパーシティ構想の実現に向けた国家戦略特区法改正案が採決される。この構想は、人工知能(AI)やビッグデータなどの先端技術を活用した都市「スーパーシティ」を目指してキャッシュレス、遠隔医療などを実装した街づくりを目指すもの。改正案は衆院を通過後、今国会中に成立する見通しで、関連銘柄が出てくる可能性がある。
主な国内経済スケジュールは、15日に3月訪日外客数、一方、海外主要スケジュールは、15日に米3月小売売上高、米4月NY連銀製造業景気指数、米3月鉱工業生産・設備稼働率、米地区連銀経済報告、16日に米3月住宅着工件数、米4月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、G20財務大臣・中央銀行総裁会議、17日に中国1-3月期GDP、中国3月工業生産、中国3月小売売上高、IMF・世界銀行春季総会(19日まで、テレビ会議)が予定されている。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。欧米諸国での新型コロナウイルスの感染流行はピークアウトの兆しが出ているようだが、日本での感染拡大が警戒されており、市場関係者の一部はドル買い・円売りにつながる可能性があると見ている。米連邦準備制度理事会(FRB)の新たな緩和策もあり、3月中に大きく売り込まれた米国株式は反転していることから、一部でリスク選好的なドル買いが観測されている。ただ、都市部での経済封鎖が続いており、米国経済は悪化していることから、ウイルス感染が将来的に終息に向かってもすみやかな景気回復は難しいとの理由でリスク選好的なドル買いが大きく広がる可能性は低いとの見方も少なくない。
それでも、米連邦準備制度理事会(FRB)は、中小企業、州・自治体を支援するため、最大2.3兆ドルの融資提供を表明したことは、市場参加者の間で評価されている。トランプ政権による2兆ドル規模の大型経済対策も成立しており、米国経済の先行き不安はある程度緩和されつつあることから、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに広がる可能性は低いとみられる。
また、17日発表予定の中国の1-3月期国内総生産(GDP)も注目されている。経済成長率は大幅なマイナスとなる見込みだが、市場予想とおおむね一致した場合、中国経済の早期回復への期待が高まり、株高を通じてリスク選好的なドル買い・円売りを誘発する可能性もある。
■来週の注目スケジュール
4月13日(月):日・マネーストック、欧・英・独・仏・豪・NZ・南ア・スイス・香港・株式市場は祝日のため休場(イースターマンデー)、中・資金調達総額・マネーサプライ・元建て新規貸出残高など
4月14日(火):インドネシア中銀が政策金利発表、米・輸入物価指数、中・貿易収支、IMFが世界経済見通し(WEO)公表など
4月15日(水):日・訪日外客数、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数・小売売上高・鉱工業生産指数・設備稼働率・企業在庫、印・貿易収支、韓・総選挙、国際エネルギー機関(IEA)月報、北朝鮮・故金日成主席誕生日、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)など
4月16日(木):日・東京販売用マンション、中・新築住宅価格、豪・失業率、独・CPI、ユーロ圏鉱工業生産、米・住宅着工件数など
4月17日(金):日・鉱工業生産・設備稼働率、中・GDP・小売売上高・不動産投資、ユーロ圏新車販売台数、米・景気先行指数など
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予想レンジ:上限20500-下限18500円
来週の日経平均は、強弱感が対立するなか19000円台を固める展開となるかが焦点となる。安倍総理大臣が7日に7都府県を対象とした「緊急事態宣言」を発令したことを受けて、米国の新型コロナウイルスの感染者・死亡者数と東京都の感染者数の動向が、東京市場を左右する焦点となっている。米国では、ニューヨーク州クオモ知事や米国立アレルギー感染症研究所所長が新型コロナウイルス感染者数のピークアウトを示唆するなど、前向きな発言が出てNYダウは切り返しに転じている。一方、国内は東京都や都市部での感染が拡大する状況下、リスクオフになりやすい展開となっている。そのため、日経平均は戻り待ちの売りも出やすく、19500円近辺が20000円を前にした一つのフシとなり始めている。ここで戻りが止まると3月25日の戻り高値19564円に対する2番天井ともなってしまう懸念がある。先物市場では、ボラティリティの高い状況も続いているため、上値の重さを意識する展開が継続しそうだ。15日の米3月小売売上高、17日の中国1-3月期GDPなど、米中の主要経済指標の発表が相次ぐことも波乱要因だ。一方、日経平均は約1カ月半ぶりに25日移動平均線を7日に回復した。右肩下がりのチャート形成の中での上抜けのため、信頼性には欠けるものの1カ月ぶりにようやく点ったテクニカル上のサインでもある。需給面では、海外投資家の動向が注目される。東証が9日に発表した4月第1週(3月30日〜4月3日)の投資部門別売買動向では、海外投資家は現物と先物の合算で8週連続の売り越しを継続した。しかし、現物ベースの売越額は前週の9517億円規模から654億円と大幅に縮小している。海外投資家の売り圧力が弱まれば、日経平均は19000円台を固める展開となってこよう。弱気の見方は多いものの、相場はそうした弱気派を押し返す強さも見せ始めていることも確かだ。
個別では、13日から初診患者へのオンライン診療が開始するため、話題性から改めて注目される期待がある。15日には、衆院地方創生特別委員会でスーパーシティ構想の実現に向けた国家戦略特区法改正案が採決される。この構想は、人工知能(AI)やビッグデータなどの先端技術を活用した都市「スーパーシティ」を目指してキャッシュレス、遠隔医療などを実装した街づくりを目指すもの。改正案は衆院を通過後、今国会中に成立する見通しで、関連銘柄が出てくる可能性がある。
主な国内経済スケジュールは、15日に3月訪日外客数、一方、海外主要スケジュールは、15日に米3月小売売上高、米4月NY連銀製造業景気指数、米3月鉱工業生産・設備稼働率、米地区連銀経済報告、16日に米3月住宅着工件数、米4月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、G20財務大臣・中央銀行総裁会議、17日に中国1-3月期GDP、中国3月工業生産、中国3月小売売上高、IMF・世界銀行春季総会(19日まで、テレビ会議)が予定されている。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。欧米諸国での新型コロナウイルスの感染流行はピークアウトの兆しが出ているようだが、日本での感染拡大が警戒されており、市場関係者の一部はドル買い・円売りにつながる可能性があると見ている。米連邦準備制度理事会(FRB)の新たな緩和策もあり、3月中に大きく売り込まれた米国株式は反転していることから、一部でリスク選好的なドル買いが観測されている。ただ、都市部での経済封鎖が続いており、米国経済は悪化していることから、ウイルス感染が将来的に終息に向かってもすみやかな景気回復は難しいとの理由でリスク選好的なドル買いが大きく広がる可能性は低いとの見方も少なくない。
それでも、米連邦準備制度理事会(FRB)は、中小企業、州・自治体を支援するため、最大2.3兆ドルの融資提供を表明したことは、市場参加者の間で評価されている。トランプ政権による2兆ドル規模の大型経済対策も成立しており、米国経済の先行き不安はある程度緩和されつつあることから、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに広がる可能性は低いとみられる。
また、17日発表予定の中国の1-3月期国内総生産(GDP)も注目されている。経済成長率は大幅なマイナスとなる見込みだが、市場予想とおおむね一致した場合、中国経済の早期回復への期待が高まり、株高を通じてリスク選好的なドル買い・円売りを誘発する可能性もある。
■来週の注目スケジュール
4月13日(月):日・マネーストック、欧・英・独・仏・豪・NZ・南ア・スイス・香港・株式市場は祝日のため休場(イースターマンデー)、中・資金調達総額・マネーサプライ・元建て新規貸出残高など
4月14日(火):インドネシア中銀が政策金利発表、米・輸入物価指数、中・貿易収支、IMFが世界経済見通し(WEO)公表など
4月15日(水):日・訪日外客数、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数・小売売上高・鉱工業生産指数・設備稼働率・企業在庫、印・貿易収支、韓・総選挙、国際エネルギー機関(IEA)月報、北朝鮮・故金日成主席誕生日、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)など
4月16日(木):日・東京販売用マンション、中・新築住宅価格、豪・失業率、独・CPI、ユーロ圏鉱工業生産、米・住宅着工件数など
4月17日(金):日・鉱工業生産・設備稼働率、中・GDP・小売売上高・不動産投資、ユーロ圏新車販売台数、米・景気先行指数など
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