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米国株式市場見通し:決算シーズン入り、金融決算に注目

注目トピックス 市況・概況
決算シーズン入りで特に銀行決算に注目が集まる。事業体制に対する各行トップの発言にも注目したい。ウイルスパンデミック危機の影響が最も反映すると見られる第2四半期の銀行決算は金融危機以来で最悪の結果が警戒されている。低金利が響き金利収入が減るほか、貸付損失で収益が圧迫され前年比で55%から69%近くの減益が見込まれている。さらに、今期の決算はパンデミックで会計処理法が修正されており、今後予想される損失を一部前倒しで計上しなければならず、より圧迫される。トレーディングなどの資本市場での収益が弱く、低金利による損失を相殺できなかった銀行を警戒する必要がある。

ただ、今回のリセッションは2008年の金融危機のように金融に端を発したものではない。10年前とは違い、銀行はストレスを乗り越えられるバランスシートを構築しており、ウェルズファーゴを除く大手行は配当計画も維持している。一部のアナリストは決算を受けて銀行株が下落した場合、長期的にみると絶好の買い場になると推奨している。今四半期が最悪の結果で、今後は改善が期待されるほか、決算が警戒されたほど悪化しなかった場合には逆に相場にプラスに働くと見られる。

経済指標では、6月消費者物価指数(CPI)(14日)、6月輸入物価指数(15日)、7月ニューヨーク連銀製造業景気指数(15日)、6月設備稼働率・鉱工業生産(15日)、6月小売売上高速報(15日)、5月企業在庫(16日)、7月NAHB住宅市場指数(16日)、5月ネット長期TICフロー(16日)、7月住宅着工件数・建設許可(17日)、7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報(17日)などが発表予定。米国経済に重要な消費の回復動向を判断するため6月小売売上高速報に特に注目したい。財政支援などが奏功すると見られるが、感染再燃は消費にさらなる打撃を与えた可能性は懸念される。また、FOMCの政策判断の材料になるベージュブック(地区連銀経済報告)が公表予定。ウイルス感染の再燃が経済活動の再開を遅らせ、景気回復が停滞する可能性をFRB高官は懸念している。市場はFRBが資産購入プログラムを拡大するとの見方を強めつつあり、株式などリスク資産の価格上昇要因のひとつとなっている。

企業決算では、金融大手でJPモルガンチェース(14日)、シティバンク(14日)、ウェルズファーゴ(14日)、ゴールドマンサックス(15日)、バンクオブNYメロン(15日)、バンクオブアメリカ(16日)、モルガンスタンレー(16日)、ブラックロック(17日)などが予定されている。その他、飲料メーカーのペプシコ(13日)、航空大手デルタ航空(14日)、ヘルスケアではユナイティッドヘルス(15日)、ジョンソン・アンド・ジョンソン(16日)、アボットラボ(16日)、アルミニウムのアルコア(15日)、動画配信サービスのネットフリックス(16日)が予定されている。

ウェルズ・ファーゴは2020年の後半に数千人規模の人員削減を検討しているほか、FRBのストレステストの結果を受け減配を強いられた。金利低下で銀行を取り巻く収益環境は厳しく、コストを減らし景気後退の長期化に備えている。

(Horiko Capital Management LLC)




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