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為替週間見通し:下げ渋りか、8月米雇用統計への期待でドル再上昇も

注目トピックス 市況・概況
【今週の概況】
■安倍首相辞意表明で円売り縮小

今週のドル・円は弱含み。新型コロナウイルスのワクチン早期実用化への期待や、米国における有効な治療方法の承認を受けて、週前半はリスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を控えてリスク選好的なドル買いは一服したが、8月27日に発表された金融政策の新たな指針(戦略)で一時的に2%を超えるインフレが容認されたことから、米長期金利は上昇し、ドル買いが再び優勢となった。28日の東京市場でドル・円は106円95銭まで続伸したが、同日午後に「安倍首相が辞任する意向を固めた」と報じられたことを受けて日経平均は反落し、株安を嫌ってリスク回避的なドル売り・円買いが急速に広がった。

28日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時105円20銭まで下落した。安倍首相の辞任表明を受けた円買いが観測されたが、この日発表された7月米個人消費支出と7月コアPCE価格指数は市場予想を上回ったため、リスク回避的なドル売り・円買いは一服。ドル・円は105円74銭まで反発し、105円37銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:105円20銭−106円95銭。


【来週の見通し】
■下げ渋りか、8月米雇用統計への期待でドル再上昇も

来週のドル・円は下げ渋りか。安倍首相の辞任報道を受けてリスク回避的な円買いが観測されたが、すみやかな政権交代に直結する可能性は低いとみられている。経済支援策や金融緩和策の枠組みが大幅に変更される状況ではないとみられており、リスク回避的な円買いがさらに強まる可能性は低いとみられる。

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月27日、カンザスシティ連銀主催の国際経済シンポジウムで金融政策に関する新たなアプローチを発表した。完全雇用の復活とインフレを健全な水準に戻すことを目指し、長期間にわたり低金利を堅持する方針。一時的に2%超の物価上昇を容認する可能性があるため、インフレ期待の高まりによって米長期金利が上昇した場合、ドルを押し上げる可能性がある。また、緩和的な金融政策の長期化を背景に米国株式の上昇基調は変わらないとの見方が多いことは、ドル買い・円売り材料になるとみられる。

9月4日発表の雇用統計で、失業率が10%を下回るかどうかが1つの目安となろう。非農業部門雇用者数の動向も重要だが、失業率が10%を下回った場合、米国景気の早期回復への期待感が高まり、長期金利、株価、ドルの上昇が予想される。なお、一方、ドル高への回帰でユーロや豪ドルなど他の主要通貨が弱含みとなった場合、クロス円は軟調地合いとなっても不自然ではない。その場合、米ドル・円相場は多少圧迫される(円買いが強まる)可能性があるので注意したい。

【米・8月ISM製造業景況指数】(9月1日発表予定)
9月1日発表予定の米8月ISM製造業景況指数は54.4と、7月の54.2を上回る見通し。夏場以降は製造業の持ち直しが鮮明になっており、年末に向け経済の正常化に期待感が広がればドル買い要因に。

【米・8月雇用統計】(9月4日発表予定)
9月4日発表予定の8月雇用統計は、失業率9.9%(前回10.2%)、非農業部門雇用者数は前月比+151.8万人(同+176.3万人)、平均時給は前年比+4.5%(同+4.8%)と予想される。失業率が10%を下回った場合、雇用情勢の改善を意識してドル買いが強まる可能性がある。

予想レンジ:104円50銭−107円00銭




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