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米国株式市場見通し:高値探る展開か、アップル、テスラ株式分割後値動きに注目

注目トピックス 市況・概況
FRBのインフレ目標修正を受けて、当初想定されていた以上に長期間に渡りゼロ金利政策が維持される可能性が意識されており、株式相場を一段と押し上げる要因となりそうだ。トランプ政権が9月の新学期を控え全米で新型コロナウイルス検査を拡大するほか、ウイルス感染件数の減少、治療薬やワクチン開発の順調な進捗も支援材料となる。携帯端末のアップル、電気自動車メーカーのテスラは31日に株式分割を計画しており、手頃な株価が個人投資家の投資意欲を高めることも期待される。ダウ構成銘柄の入れ替えも同日実施される予定だ。

金融政策決定で鍵を握る労働市場動向を探るため、8月雇用統計にも注目したい。ダラス連銀のカプラン総裁は、FRBが容認する緩やかなインフレの過熱はおそらく、2.25%−2.5%前後だろうとしている。コアPCEが2.5%前後をつけたのは2006年頃で、この水準のインフレ回復は容易ではない。パンデミック以前、FRBが最大雇用として考えていた3.5%の失業率でも結局インフレは生まれず、利上げの必要性も浮上しなかった。現在の週次失業保険申請件数は100万件台で、労働市場の回復も遅い。8月雇用統計では失業率が9.8%と、7月の10.2%から低下が予想されているが、依然として高水準だ。様々な企業が業績悪化で新たな雇用削減計画を発表しており、失業率の低下には時間がかかりそうだ。インフレ目標を変更しようがしまいが目標達成には程遠く、インフレ急伸に対応する利上げの必要性が期近に浮上する可能性は、現在のところ非常に少ない。

経済指標では、8月ダラス連銀製造業活動(31日)、8月製造業PMI、8月ISM製造業指数、7月建設支出(9月1日)、8月ADP雇用統計、7月製造業受注、7月耐久財受注(2日)、8月ISM非製造業指数、4−6月期非農業部門労働生産性、新規失業保険申請件数、7月貿易収支(3日)、8月雇用統計(4日)が予定されている。そのほか、FRBは2日に地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表する予定。この結果は次回FOMCでの金融政策決定における基礎資料となる。また、パウエル議長と並びFOMCの中で影響力があるクラリダ副議長がオンライン討論会参加予定で、インフレを押し上げる手段やフォワードガイダンス変更などのヒントに注目したい。

企業決算ではビデオ会議システムを手掛けるズームビデオ(31日)、税務サービスのH&Rブロック(1日)、アパレルのPVH、百貨店大手メーシーズ(2日)、半導体のブロードコム、電子署名ドキュサイン、食品メーカーのキヤンベル、銃器メーカーのスミス&ウェッソン(3日)などが予定されている。パンデミックの影響で落ち込んでいた小売りも中国の需要回復や米国経済活動再開で回復の兆しが見られるが、カルバンクラインやトミーヒルフィガーなどのブランドを傘下に持つPVHの決算では、アパレル業界でも業績回復傾向が確認できるか注目したい。スミス&ウェッソンは全米の社会不安拡大で拳銃の売り上げが伸びており、良好な結果が期待される。一方でパンデミックによる外出規制で売り上げが急伸していたキヤンベルは逆に、消費者の買い溜めがひと段落し、活動再開に伴い見通しを引き下げる可能性が警戒される。

(Horiko Capital Management LLC)




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