後場に注目すべき3つのポイント〜「米株荒れても日本株こう着」の背景
[20/10/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
27日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。
・日経平均は続落、「米株荒れても日本株こう着」の背景
・ドル・円は弱含み、リスクオフのドル買い後退
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がTDK<6762>
■日経平均は続落、「米株荒れても日本株こう着」の背景
日経平均は続落。65.64円安の23428.70円(出来高概算4億7000万株)で前場の取引を終えている。
週明け26日の米株式市場でNYダウは大幅に続落し、650ドル安となった。欧米で新型コロナウイルス感染が一段と拡大し、欧州では規制再強化の動きも広がり、世界経済の先行き懸念が強まった。また、大統領選を巡る不透明感や追加経済対策の交渉行きもこうした流れを引き継いで117円安からスタートすると、朝方には一時23232.31円(262.03円安)まで下落。ただ、売り一巡後は下げ渋り、前場中ごろからは小安い水準でもみ合う展開が続いた。
個別では、ファーストリテ<9983>やトヨタ自<7203>が小安い。日本電産<6594>は2%弱の下落。前日発表した決算に対する評価は良好だが、事前の期待も高かったため、利益確定の売りが出ているようだ。三越伊勢丹<3099>やJフロント<3086>といった百貨店株は新型コロナ再拡大が警戒されてか軟調ぶりが目立つ。また、決算発表を延期したネットワン<7518>はストップ安水準での売り気配となっている。一方、ソフトバンクG<9984>やソニー<6758>はしっかり。任天堂<7974>、ZHD<4689>、エムスリー<2413>といった「ウィズコロナ」関連のグロース(成長)株の堅調ぶりが目立つ。今期業績予想を上方修正したキヤノン<7751>は6%を超える上昇。また、ヤマト<1967>やセック<3741>が東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、鉱業、ゴム製品などが下落率上位。半面、その他製品、精密機器、情報・通信業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の62%、対して値上がり銘柄は31%となっている。
前日のNYダウは、欧米での新型コロナ再拡大、追加経済対策の早期成立に対する期待後退などを背景に、600ドルを超える大幅下落となった。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は32.46(+4.91)と大きく上昇している。直近のVIX先物の投機筋による持ち高推移を見ると、買い持ち高が減少する一方、売り持ち高が横ばいで推移し、差し引き10万枚超のショート(売り越し)となっていた。一方でVIXは30近辺までじりじり上昇する場面が多くなり、VIXの一段の上昇とともに一波乱起きそうな予兆というものはあったわけだ。米系大手証券による直近の機関投資家調査では、大統領選が法廷闘争に発展するとみる向きが6割を超えており、いわゆる「テールリスク(発生確率は低いが、発生した際の影響が大きいリスク)」への警戒感が強まっているようだ。
一方、東京市場はというと積極的に持ち高を傾ける動きは限られる。前日のNYダウが-2.29%だったのに対し、日経平均の前場終値は-0.28%にとどまり、値動きの乏しさが鮮明だ。日経ダブルイン<1357>の純資産総額の推移を見ると、直近ピークだった1日の3432億円から26日には2901億円まで減少。日経レバETF<1570>はというと、もともと2000億円前後と日経ダブルインほど多くなかったためか、減少傾向こそ見られないが、大きく増加しているわけでもない。米大統領選後の方向感が見極めづらく、持ち高を整理しておこうという個人投資家の思惑が透けて見える。
海外勢も同様だ。大阪取引所の日経平均先物(12月物)の売買高(日通し)は19日の53238枚に対し、26日は28692枚まで減少。直近数日の先物手口でも大幅な買い越しや売り越しは見られない。もちろん「テールリスク」に備える動きは見られる。足元で日経平均オプションのプット(売る権利)は23000円を下回る権利行使価格帯の売買が増えており、昨晩などは20000円あたりの売買も多かった。ただ、これは機関投資家がその水準まで目線を下げているというより、あくまで「テールリスク」への備えであるため、まだ購入コストの低い価格帯が選好されやすい結果と考えられる。結局のところ、機関投資家も米大統領選やその後のシナリオにまだ確信を持てていないのだろう。
本日は東証株価指数(TOPIX)が0.41%の下落で前場を折り返したため実施されないだろうが、日銀による上場投資信託(ETF)買いは薄商いのなかで相場の下支え効果が大きい。また、欧米での新型コロナ再拡大は懸念すべき事態だが、米長期金利の反落と「ウィズコロナ」意識の高まりでエムスリーなどのグロース株や新興株がやや持ち直している。これが個人投資家のセンチメント改善につながる可能性もありそうだ。前日に決算発表したマザーズの弁護士コム<6027>は朝安後に大きく切り返し。以前当欄で述べた「決算発表後の新興株見直し」シナリオを後押ししてくれている。
大統領選を前に米国株が多少荒れ模様でも、日本株はこう着ムードが続きそうだ。決算発表が本格化したことで、個別対応中心の相場展開となるだろう。
■ドル・円は弱含み、リスクオフのドル買い後退
27日午前の東京市場でドル・円は弱含み。米株式先物のプラス圏推移を手がかりに前日のリスクオフによるドル買いは後退し、104円後半でやや値を下げた。欧州やオセアニアの通貨も対ドルで値を上げ、ドル売りが目立つ。ただ、アジア株安を受け、リスク選好の円売りは抑制されているようだ。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は104円69銭から104円89銭、ユーロ・円は123円69銭から123円90銭、ユーロ・ドルは1.1806ドルから1.1825ドル。
■後場のチェック銘柄
・極東産機<6233>、シーズメン<3083>など、3銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がTDK<6762>
■経済指標・要人発言
【要人発言】
・米上院
「バレット氏の最高裁判事指名を承認」(報道)
【経済指標】
・NZ・9月貿易収支:-10.17億NZドル(予想:-10.13億NZドル、8月:-2.82億NZドル←-3.53億NZドル)
<国内>
特になし
<海外>
特になし
<HH>
・日経平均は続落、「米株荒れても日本株こう着」の背景
・ドル・円は弱含み、リスクオフのドル買い後退
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がTDK<6762>
■日経平均は続落、「米株荒れても日本株こう着」の背景
日経平均は続落。65.64円安の23428.70円(出来高概算4億7000万株)で前場の取引を終えている。
週明け26日の米株式市場でNYダウは大幅に続落し、650ドル安となった。欧米で新型コロナウイルス感染が一段と拡大し、欧州では規制再強化の動きも広がり、世界経済の先行き懸念が強まった。また、大統領選を巡る不透明感や追加経済対策の交渉行きもこうした流れを引き継いで117円安からスタートすると、朝方には一時23232.31円(262.03円安)まで下落。ただ、売り一巡後は下げ渋り、前場中ごろからは小安い水準でもみ合う展開が続いた。
個別では、ファーストリテ<9983>やトヨタ自<7203>が小安い。日本電産<6594>は2%弱の下落。前日発表した決算に対する評価は良好だが、事前の期待も高かったため、利益確定の売りが出ているようだ。三越伊勢丹<3099>やJフロント<3086>といった百貨店株は新型コロナ再拡大が警戒されてか軟調ぶりが目立つ。また、決算発表を延期したネットワン<7518>はストップ安水準での売り気配となっている。一方、ソフトバンクG<9984>やソニー<6758>はしっかり。任天堂<7974>、ZHD<4689>、エムスリー<2413>といった「ウィズコロナ」関連のグロース(成長)株の堅調ぶりが目立つ。今期業績予想を上方修正したキヤノン<7751>は6%を超える上昇。また、ヤマト<1967>やセック<3741>が東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、鉱業、ゴム製品などが下落率上位。半面、その他製品、精密機器、情報・通信業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の62%、対して値上がり銘柄は31%となっている。
前日のNYダウは、欧米での新型コロナ再拡大、追加経済対策の早期成立に対する期待後退などを背景に、600ドルを超える大幅下落となった。「恐怖指数」とされる米株の変動性指数(VIX)は32.46(+4.91)と大きく上昇している。直近のVIX先物の投機筋による持ち高推移を見ると、買い持ち高が減少する一方、売り持ち高が横ばいで推移し、差し引き10万枚超のショート(売り越し)となっていた。一方でVIXは30近辺までじりじり上昇する場面が多くなり、VIXの一段の上昇とともに一波乱起きそうな予兆というものはあったわけだ。米系大手証券による直近の機関投資家調査では、大統領選が法廷闘争に発展するとみる向きが6割を超えており、いわゆる「テールリスク(発生確率は低いが、発生した際の影響が大きいリスク)」への警戒感が強まっているようだ。
一方、東京市場はというと積極的に持ち高を傾ける動きは限られる。前日のNYダウが-2.29%だったのに対し、日経平均の前場終値は-0.28%にとどまり、値動きの乏しさが鮮明だ。日経ダブルイン<1357>の純資産総額の推移を見ると、直近ピークだった1日の3432億円から26日には2901億円まで減少。日経レバETF<1570>はというと、もともと2000億円前後と日経ダブルインほど多くなかったためか、減少傾向こそ見られないが、大きく増加しているわけでもない。米大統領選後の方向感が見極めづらく、持ち高を整理しておこうという個人投資家の思惑が透けて見える。
海外勢も同様だ。大阪取引所の日経平均先物(12月物)の売買高(日通し)は19日の53238枚に対し、26日は28692枚まで減少。直近数日の先物手口でも大幅な買い越しや売り越しは見られない。もちろん「テールリスク」に備える動きは見られる。足元で日経平均オプションのプット(売る権利)は23000円を下回る権利行使価格帯の売買が増えており、昨晩などは20000円あたりの売買も多かった。ただ、これは機関投資家がその水準まで目線を下げているというより、あくまで「テールリスク」への備えであるため、まだ購入コストの低い価格帯が選好されやすい結果と考えられる。結局のところ、機関投資家も米大統領選やその後のシナリオにまだ確信を持てていないのだろう。
本日は東証株価指数(TOPIX)が0.41%の下落で前場を折り返したため実施されないだろうが、日銀による上場投資信託(ETF)買いは薄商いのなかで相場の下支え効果が大きい。また、欧米での新型コロナ再拡大は懸念すべき事態だが、米長期金利の反落と「ウィズコロナ」意識の高まりでエムスリーなどのグロース株や新興株がやや持ち直している。これが個人投資家のセンチメント改善につながる可能性もありそうだ。前日に決算発表したマザーズの弁護士コム<6027>は朝安後に大きく切り返し。以前当欄で述べた「決算発表後の新興株見直し」シナリオを後押ししてくれている。
大統領選を前に米国株が多少荒れ模様でも、日本株はこう着ムードが続きそうだ。決算発表が本格化したことで、個別対応中心の相場展開となるだろう。
■ドル・円は弱含み、リスクオフのドル買い後退
27日午前の東京市場でドル・円は弱含み。米株式先物のプラス圏推移を手がかりに前日のリスクオフによるドル買いは後退し、104円後半でやや値を下げた。欧州やオセアニアの通貨も対ドルで値を上げ、ドル売りが目立つ。ただ、アジア株安を受け、リスク選好の円売りは抑制されているようだ。
ここまでの取引レンジは、ドル・円は104円69銭から104円89銭、ユーロ・円は123円69銭から123円90銭、ユーロ・ドルは1.1806ドルから1.1825ドル。
■後場のチェック銘柄
・極東産機<6233>、シーズメン<3083>など、3銘柄がストップ高
※一時ストップ高(気配値)を含みます
・値下がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位がTDK<6762>
■経済指標・要人発言
【要人発言】
・米上院
「バレット氏の最高裁判事指名を承認」(報道)
【経済指標】
・NZ・9月貿易収支:-10.17億NZドル(予想:-10.13億NZドル、8月:-2.82億NZドル←-3.53億NZドル)
<国内>
特になし
<海外>
特になし
<HH>