国内株式市場見通し:日米ともに大統領選を見守る展開に
[20/10/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■日経平均は8月以来の終値23000円台割れ
今週の日経平均は、欧米での新型コロナウイルスの感染再拡大が影を落として反落した。追加経済対策を巡る早期合意への期待が後退し23日のNYダウは小反落。一方、ハイテク株が買い直されてナスダック総合指数は続伸し、週初26日の日経平均は小幅高で始まった。上期業績の上方修正が好感された村田製作所<6981>などが上昇したものの、全般は買い手掛かり難が継続し日経平均は小反落で大引けた。東証1部の売買代金は1兆5929億円と8月24日以来の低水準だった。欧米で新型コロナウイルス感染が一段と拡大し、大統領選を巡る不透明感や追加経済対策の交渉行き詰まりも重なって26日のNYダウは650.19ドル安となり28000ドル台を割り込んだ。これを受けて27日の日経平均は一段安でスタート。ただ、朝方の売りが一巡とすると売り買いともに手控えムードとなり大引けの日経平均は前日比8.54円安にとどまった。個別では、今期業績予想を上方修正したキヤノン<7751>の大幅高が目立った。欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念や米大統領選を控えて27日のNYダウが大幅続落した流れから、28日の日経平均は3日続落した。ただ、直近で好決算を発表済みの日本電産<6594>やHOYA<7741>などが大幅に上昇したほか、22日以来となる日銀のETF(上場投資信託)買いもあり、大引けの日経平均は67.29円安にとどまった。押し目買いが広がった結果、東証1部の出来高は10月9日以来の10億株台を回復し、売買代金も2週間ぶりに2兆円を超えた。新型コロナウイルス感染拡大に伴う欧州株の急落を受けた28日のNYダウは943.24ドル安と下げ幅を拡げ9月24日以来となる27000ドル台割れとなった。29日の日経平均も前日比247.75円安で寄り付いたものの、この朝方の寄り付きを安値に下げ渋る展開となった。前日に市場予想を上回る決算と通期予想の増額を発表したソニー<6758>が東証1部売買代金トップで6%を超える上昇をみせたほか、日立製作所<6501>、大日本住友製薬<4506>など決算発表銘柄の一角が大幅高となったことが、市場心理の一段の悪化を防いだ。30日の日経平均は5日続落となり終日マイナス圏で推移した。29日のNYダウは7-9月期の国内総生産(GDP、速報値)が予想以上の回復を示し5日ぶりに反発したものの、決算発表の米アップルが時間外取引で下落し、米株価指数先物も下げていることが懸念され、東京市場は軟調スタート。米大統領選を前にした持ち高調整の売りも出て、後場に一段安となった日経平均は354.81円安の22977.13円と5日続落し、8月28日以来となる23000円割れで大引けた。10月は月間では3カ月ぶりの反落となった。
■米大統領選次第で上下に振らされる展開か
来週の日経平均は、一大イベントである11月3日の米国大統領選を目前に控え、このイベントの行く末に振らされる展開となりそうだ。どちらかの候補が圧勝して勝敗がはっきりした形に落ち着けば、日米ともに株式市場はあく抜け感から上値を試す展開が期待される。しかし、投票結果が僅差で結果判明に時間がかかる場合には、先行き不透明感が高まり、期待されている大型の追加経済対策の合意・実施も遠のくことからマーケットはリスクオフの展開になることが懸念される。その場合は、為替動向も焦点となってこよう。選挙結果が混乱するに伴いドル安・円高への警戒感が強まる恐れが拭い切れない。一方、各国の追加金融緩和政策には相場下支えの役割が期待される。対策の内容と規模感には不透明要素が残るものの、ECB(欧州中央銀行)定例理事会後の記者会見でラガルド総裁は12月に追加対策を講じる可能性を示唆した。また、大統領選直後の4日から5日にかけてFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。大きな政策変更は想定されていないが、大統領選の結果を巡る混乱で先行き不透明感が高まる場合には、5日のパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長会見において相場下支え要因となるような発言が聞かれる可能性もあろう。東京市場については、3日が文化の日の祝日で休場となるため、2日は、決算を受けた個別株物色以外では売り買いともに見送りムードに支配されることになるだろう。
■業績睨みの相場展開が継続、トヨタ決算に注目
物色面では、注目された29日に発表された米国の巨大IT企業GAFA(アルファベット、アマゾン、フェイスブック、アップル)の四半期決算において4社ともに市場の事前予想を上回る形で着地した。ただ、iPhoneの売上高が市場予想を下回ったアップルや7-9月期のユーザー数が減少したフェイスブックは、決算発表翌日に下落、好決算のアルファベットは上昇と株価の反応はまちまちの展開となっている。一方、東京市場ではソニー<6758>、パナソニック<6752>、ファナック<6954>など、増額修正や好業績見通しを発表した銘柄は素直に好感されている。物色的にはこうした業績睨みの相場展開が継続する見込みとなろう。今後の主な企業決算では、2日にNTTデータ<9613>、4日に伊藤忠<8001>、5日に任天堂<7974>、三菱商事<8058>、6日にトヨタ<7203>などが発表を予定している。直近の自動車販売の回復傾向の高まりを受け、やはりトヨタの決算が市場のセンチメントを左右してきそうだ。
■米大統領選、FOMC、米雇用統計
来週の主な国内経済関連スケジュールは、2日に10月自動車販売台数、衆議院予算委員会、3日は文化の日で東京市場休場、4日に10月マネタリーベース、9月16日、17日開催の日銀金融政策決定会合議事録、6日に9月家計調査、9月毎月勤労統計調査が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールは、2日に米10月ISM製造業景況指数、中国10月財新製造業PMI、3日に米大統領選挙投開票・上下両院選挙、米9月製造業受注、ユーロ圏財務相会合、4日にFOMC(5日まで)、米10月ADP雇用統計、米9月貿易収支、米10月ISM非製造業景況指数、5日にパウエルFRB議長会見、6日に米10月雇用統計、7日に10月の中国貿易統計が予定されている。
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今週の日経平均は、欧米での新型コロナウイルスの感染再拡大が影を落として反落した。追加経済対策を巡る早期合意への期待が後退し23日のNYダウは小反落。一方、ハイテク株が買い直されてナスダック総合指数は続伸し、週初26日の日経平均は小幅高で始まった。上期業績の上方修正が好感された村田製作所<6981>などが上昇したものの、全般は買い手掛かり難が継続し日経平均は小反落で大引けた。東証1部の売買代金は1兆5929億円と8月24日以来の低水準だった。欧米で新型コロナウイルス感染が一段と拡大し、大統領選を巡る不透明感や追加経済対策の交渉行き詰まりも重なって26日のNYダウは650.19ドル安となり28000ドル台を割り込んだ。これを受けて27日の日経平均は一段安でスタート。ただ、朝方の売りが一巡とすると売り買いともに手控えムードとなり大引けの日経平均は前日比8.54円安にとどまった。個別では、今期業績予想を上方修正したキヤノン<7751>の大幅高が目立った。欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大への懸念や米大統領選を控えて27日のNYダウが大幅続落した流れから、28日の日経平均は3日続落した。ただ、直近で好決算を発表済みの日本電産<6594>やHOYA<7741>などが大幅に上昇したほか、22日以来となる日銀のETF(上場投資信託)買いもあり、大引けの日経平均は67.29円安にとどまった。押し目買いが広がった結果、東証1部の出来高は10月9日以来の10億株台を回復し、売買代金も2週間ぶりに2兆円を超えた。新型コロナウイルス感染拡大に伴う欧州株の急落を受けた28日のNYダウは943.24ドル安と下げ幅を拡げ9月24日以来となる27000ドル台割れとなった。29日の日経平均も前日比247.75円安で寄り付いたものの、この朝方の寄り付きを安値に下げ渋る展開となった。前日に市場予想を上回る決算と通期予想の増額を発表したソニー<6758>が東証1部売買代金トップで6%を超える上昇をみせたほか、日立製作所<6501>、大日本住友製薬<4506>など決算発表銘柄の一角が大幅高となったことが、市場心理の一段の悪化を防いだ。30日の日経平均は5日続落となり終日マイナス圏で推移した。29日のNYダウは7-9月期の国内総生産(GDP、速報値)が予想以上の回復を示し5日ぶりに反発したものの、決算発表の米アップルが時間外取引で下落し、米株価指数先物も下げていることが懸念され、東京市場は軟調スタート。米大統領選を前にした持ち高調整の売りも出て、後場に一段安となった日経平均は354.81円安の22977.13円と5日続落し、8月28日以来となる23000円割れで大引けた。10月は月間では3カ月ぶりの反落となった。
■米大統領選次第で上下に振らされる展開か
来週の日経平均は、一大イベントである11月3日の米国大統領選を目前に控え、このイベントの行く末に振らされる展開となりそうだ。どちらかの候補が圧勝して勝敗がはっきりした形に落ち着けば、日米ともに株式市場はあく抜け感から上値を試す展開が期待される。しかし、投票結果が僅差で結果判明に時間がかかる場合には、先行き不透明感が高まり、期待されている大型の追加経済対策の合意・実施も遠のくことからマーケットはリスクオフの展開になることが懸念される。その場合は、為替動向も焦点となってこよう。選挙結果が混乱するに伴いドル安・円高への警戒感が強まる恐れが拭い切れない。一方、各国の追加金融緩和政策には相場下支えの役割が期待される。対策の内容と規模感には不透明要素が残るものの、ECB(欧州中央銀行)定例理事会後の記者会見でラガルド総裁は12月に追加対策を講じる可能性を示唆した。また、大統領選直後の4日から5日にかけてFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。大きな政策変更は想定されていないが、大統領選の結果を巡る混乱で先行き不透明感が高まる場合には、5日のパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長会見において相場下支え要因となるような発言が聞かれる可能性もあろう。東京市場については、3日が文化の日の祝日で休場となるため、2日は、決算を受けた個別株物色以外では売り買いともに見送りムードに支配されることになるだろう。
■業績睨みの相場展開が継続、トヨタ決算に注目
物色面では、注目された29日に発表された米国の巨大IT企業GAFA(アルファベット、アマゾン、フェイスブック、アップル)の四半期決算において4社ともに市場の事前予想を上回る形で着地した。ただ、iPhoneの売上高が市場予想を下回ったアップルや7-9月期のユーザー数が減少したフェイスブックは、決算発表翌日に下落、好決算のアルファベットは上昇と株価の反応はまちまちの展開となっている。一方、東京市場ではソニー<6758>、パナソニック<6752>、ファナック<6954>など、増額修正や好業績見通しを発表した銘柄は素直に好感されている。物色的にはこうした業績睨みの相場展開が継続する見込みとなろう。今後の主な企業決算では、2日にNTTデータ<9613>、4日に伊藤忠<8001>、5日に任天堂<7974>、三菱商事<8058>、6日にトヨタ<7203>などが発表を予定している。直近の自動車販売の回復傾向の高まりを受け、やはりトヨタの決算が市場のセンチメントを左右してきそうだ。
■米大統領選、FOMC、米雇用統計
来週の主な国内経済関連スケジュールは、2日に10月自動車販売台数、衆議院予算委員会、3日は文化の日で東京市場休場、4日に10月マネタリーベース、9月16日、17日開催の日銀金融政策決定会合議事録、6日に9月家計調査、9月毎月勤労統計調査が予定されている。一方、米国など海外主要スケジュールは、2日に米10月ISM製造業景況指数、中国10月財新製造業PMI、3日に米大統領選挙投開票・上下両院選挙、米9月製造業受注、ユーロ圏財務相会合、4日にFOMC(5日まで)、米10月ADP雇用統計、米9月貿易収支、米10月ISM非製造業景況指数、5日にパウエルFRB議長会見、6日に米10月雇用統計、7日に10月の中国貿易統計が予定されている。
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