国内株式市場見通し:大納会控えて「掉尾の一振」に期待
[20/12/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■日経平均は一時26900円台も、薄商いのなかコロナ変異種などが重しに
今週の日経平均は、高値圏でもみあうなか反落した。前週末18日のNYダウは下げたものの、与野党が追加経済対策で大筋合意に達したことを好感して、週初21日の日経平均は上昇して始まった。一時前週末比142.28円高の26905.67円と年初来高値を更新したが、英国で新型コロナウイルスの変異種が感染拡大していることなどが警戒され朝方以降は下げに転じた。しかし、11月18日以来となる日銀のETF(上場投資信託)買いもあって、大引けにかけては下げ幅を縮小。モデルナによるワクチン接種の開始や追加経済対策の合意を好感した買いが支えとなり21日のNYダウは小反発。一方、22日の日経平均は、英国で広がる感染力の強いウイルス変異種への警戒が一段と強まり、全面安商状のなか3日続落となった。前日に続き日銀のETF買いがあったものの、年末特有の節税狙いの損出し売りや年末年始の空白期間を嫌った換金売りが出て下げ幅は352.76円安まで拡がる場面があった。22日のNYダウは事前予想を下回る経済指標などを嫌気して反落したものの、ナスダック総合指数は3日ぶりに反発。23日の日経平均は、買い戻しが先行する朝高からマイナスに転じる場面もあったが、米ハイテク株高の流れが支えとなり4日ぶりに反発した。ただ、東証1部の売買代金は2兆円を約2か月ぶりに割り込むなど、薄商いのなか膠着感の強まる動きとなった。米ファイザーによる新型コロナワクチンの追加供給や、英国とEU(欧州連合)間の貿易交渉の合意に対する期待を支えに23日のNYダウは反発。この流れを受けて24日の日経平均は続伸し、一時は前日比239.74円高まで上昇した。クリスマス休暇で海外投資家の売買が減るなか東証1部の売買代金は1兆6122億円と前日以上に減少し、後場の日経平均は狭いレンジでの小動きに終始した。24日のNYダウは英国とEUがFTA(自由貿易協定)で最終合意したことなどが好感されて続伸。この米国株高を受けて25日の日経平均も堅調スタートとなったものの、新型コロナ感染拡大による経済への悪影響が引き続き懸念され、前日終値を挟んで狭いレンジの中で推移した。大型株は模様眺めムードが一段と強まり東証1部の出来高が大幅に減少するなか、値上がり銘柄数は1300銘柄超と値下がり数を上回り、TOPIX(東証株価指数)も終日プラス圏を維持して3日続伸した。日経平均は前日比11.74円安の26656.61円と小幅ながら3日ぶりに反落して大引けた。
■コロナ変異種や米国政治情勢で年明けは波乱か
来週と年明け第1週の日経平均は、コロナ変異種の感染動向のほか、米国の政治情勢や海外での経済指標の結果などに振らされる展開となりそうだ。足元の日経平均は、テクニカル的には、上昇する25日移動平均線と下降している5日移動平均線の乖離が狭まってきている。5日線が25日線を割り込んでくるようだと、地合いの悪化が意識されてきそうだ。ただ、22日、23日と日経平均はこの25日線を割り込む場面では下げ渋る動きを見せており下値抵抗力は維持している。また、需給動向にも注目だ。12月第3週(14日〜18日)の投資主別売買動向によれば、海外投資家は現物株を7週連続で買い越してきており、長期目線の投資家による買いも入っている様子が窺える。クリスマス休暇で薄商いとはいえ、足元の需給環境は良好だろう。下値では日銀のETF買いが支える構図に変化がないなか年末の一段高を期待する声も依然として強く、「掉尾の一振」が実現する期待も高まる。一方、年明け4日の大発会から8日までの日経平均については、2019年、2020年と2年連続で大幅安の波乱スタートとなった経緯があるだけに警戒が必要だ。今回も、合意に至ったばかりの米国の追加経済対策について直後にトランプ氏が修正を求めるなど、最悪の場合、政府機関の閉鎖を強いられかねないような動きがクリスマス前後ではみられている。また、5日に予定されているジョージア州の上院決選投票の結果、万が一、上院も民主党主導になった場合、ブルーウェーブのシナリオが再燃し、米長期金利の上昇のほか増税や規制強化といったリスクが台頭しグロース・ハイテク株への重しとなるシナリオも。一方、予想通りに上下議会でねじれが生じれば安心感から株高につながる可能性もある。こうした米国での政治情勢やコロナ変異種の感染動向のほか、年明け1月初めには12月米ISM製造業景況指数や12月米雇用統計といった重要な経済指標の発表も控えている。コロナ感染動向、米国政治情勢、経済指標、これら3つの動きが相場の大きな方向性を左右しそうだ。
■直近IPO、国策関連へ物色集中か
立会日数が3日間に限られることから、物色の方向性は見出しにくく、個別物色が主体となるだろう。28日、29日にはIPO(新規上場)が1銘柄ずつある。足元のマザーズの売買代金上位は直近IPO銘柄で占められており、全般の商いが減少する中では、これらIPO銘柄へ短期狙いの資金が集中する動きが継続することが予想される。このほか、2050年の脱炭素社会の実現に向けた日本政府の政策が報じられたことを受け、「環境関連」を中心とした個別物色が高まるなど、「国策に売りなし」に沿ったテーマ物色も続きやすいだろう。
■大納会、米ISM製造業景況指数、米雇用統計
年明け1月8日までの主な国内スケジュールは、28日に12月17・18日開催の日銀金融政策決定会合「主な意見」、11月鉱工業生産速報値、12月末の配当・優待権利付き最終売買日、30日に東証大納会、年が替わり1日に日英EPA発効予定、4日に東証大発会、7日に12月マネタリーベース、11月毎月勤労統計調査、8日に11月景気先行指数(CI)速報値、11月全世帯家計調査・消費支出が予定されている。一方、米国など海外では、28日にボクシングデー(振替休日)で英・豪は休場、29日に米10月S&PコアロジックCS住宅価格指数、30日に米12月シカゴ購買部協会景気指数、31日に米前週分新規失業保険申請件数、中国12月コンポジットPMI、中国12月製造業PMI・非製造業PMI、英国のEU離脱移行期間が終了、年明け1日はニューイヤーで米国など主要市場休場、4日に米・EU12月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値、5日に米12月ISM製造業景況指数、6日に米12月ADP雇用統計、米11月製造業新規受注、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨、7日に米12月ISM非製造業景況指数、米11月貿易収支、米前週分新規失業保険申請件数、EU11月小売売上高、EU12月消費者物価指数、8日に米12月雇用統計が予定されている。
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今週の日経平均は、高値圏でもみあうなか反落した。前週末18日のNYダウは下げたものの、与野党が追加経済対策で大筋合意に達したことを好感して、週初21日の日経平均は上昇して始まった。一時前週末比142.28円高の26905.67円と年初来高値を更新したが、英国で新型コロナウイルスの変異種が感染拡大していることなどが警戒され朝方以降は下げに転じた。しかし、11月18日以来となる日銀のETF(上場投資信託)買いもあって、大引けにかけては下げ幅を縮小。モデルナによるワクチン接種の開始や追加経済対策の合意を好感した買いが支えとなり21日のNYダウは小反発。一方、22日の日経平均は、英国で広がる感染力の強いウイルス変異種への警戒が一段と強まり、全面安商状のなか3日続落となった。前日に続き日銀のETF買いがあったものの、年末特有の節税狙いの損出し売りや年末年始の空白期間を嫌った換金売りが出て下げ幅は352.76円安まで拡がる場面があった。22日のNYダウは事前予想を下回る経済指標などを嫌気して反落したものの、ナスダック総合指数は3日ぶりに反発。23日の日経平均は、買い戻しが先行する朝高からマイナスに転じる場面もあったが、米ハイテク株高の流れが支えとなり4日ぶりに反発した。ただ、東証1部の売買代金は2兆円を約2か月ぶりに割り込むなど、薄商いのなか膠着感の強まる動きとなった。米ファイザーによる新型コロナワクチンの追加供給や、英国とEU(欧州連合)間の貿易交渉の合意に対する期待を支えに23日のNYダウは反発。この流れを受けて24日の日経平均は続伸し、一時は前日比239.74円高まで上昇した。クリスマス休暇で海外投資家の売買が減るなか東証1部の売買代金は1兆6122億円と前日以上に減少し、後場の日経平均は狭いレンジでの小動きに終始した。24日のNYダウは英国とEUがFTA(自由貿易協定)で最終合意したことなどが好感されて続伸。この米国株高を受けて25日の日経平均も堅調スタートとなったものの、新型コロナ感染拡大による経済への悪影響が引き続き懸念され、前日終値を挟んで狭いレンジの中で推移した。大型株は模様眺めムードが一段と強まり東証1部の出来高が大幅に減少するなか、値上がり銘柄数は1300銘柄超と値下がり数を上回り、TOPIX(東証株価指数)も終日プラス圏を維持して3日続伸した。日経平均は前日比11.74円安の26656.61円と小幅ながら3日ぶりに反落して大引けた。
■コロナ変異種や米国政治情勢で年明けは波乱か
来週と年明け第1週の日経平均は、コロナ変異種の感染動向のほか、米国の政治情勢や海外での経済指標の結果などに振らされる展開となりそうだ。足元の日経平均は、テクニカル的には、上昇する25日移動平均線と下降している5日移動平均線の乖離が狭まってきている。5日線が25日線を割り込んでくるようだと、地合いの悪化が意識されてきそうだ。ただ、22日、23日と日経平均はこの25日線を割り込む場面では下げ渋る動きを見せており下値抵抗力は維持している。また、需給動向にも注目だ。12月第3週(14日〜18日)の投資主別売買動向によれば、海外投資家は現物株を7週連続で買い越してきており、長期目線の投資家による買いも入っている様子が窺える。クリスマス休暇で薄商いとはいえ、足元の需給環境は良好だろう。下値では日銀のETF買いが支える構図に変化がないなか年末の一段高を期待する声も依然として強く、「掉尾の一振」が実現する期待も高まる。一方、年明け4日の大発会から8日までの日経平均については、2019年、2020年と2年連続で大幅安の波乱スタートとなった経緯があるだけに警戒が必要だ。今回も、合意に至ったばかりの米国の追加経済対策について直後にトランプ氏が修正を求めるなど、最悪の場合、政府機関の閉鎖を強いられかねないような動きがクリスマス前後ではみられている。また、5日に予定されているジョージア州の上院決選投票の結果、万が一、上院も民主党主導になった場合、ブルーウェーブのシナリオが再燃し、米長期金利の上昇のほか増税や規制強化といったリスクが台頭しグロース・ハイテク株への重しとなるシナリオも。一方、予想通りに上下議会でねじれが生じれば安心感から株高につながる可能性もある。こうした米国での政治情勢やコロナ変異種の感染動向のほか、年明け1月初めには12月米ISM製造業景況指数や12月米雇用統計といった重要な経済指標の発表も控えている。コロナ感染動向、米国政治情勢、経済指標、これら3つの動きが相場の大きな方向性を左右しそうだ。
■直近IPO、国策関連へ物色集中か
立会日数が3日間に限られることから、物色の方向性は見出しにくく、個別物色が主体となるだろう。28日、29日にはIPO(新規上場)が1銘柄ずつある。足元のマザーズの売買代金上位は直近IPO銘柄で占められており、全般の商いが減少する中では、これらIPO銘柄へ短期狙いの資金が集中する動きが継続することが予想される。このほか、2050年の脱炭素社会の実現に向けた日本政府の政策が報じられたことを受け、「環境関連」を中心とした個別物色が高まるなど、「国策に売りなし」に沿ったテーマ物色も続きやすいだろう。
■大納会、米ISM製造業景況指数、米雇用統計
年明け1月8日までの主な国内スケジュールは、28日に12月17・18日開催の日銀金融政策決定会合「主な意見」、11月鉱工業生産速報値、12月末の配当・優待権利付き最終売買日、30日に東証大納会、年が替わり1日に日英EPA発効予定、4日に東証大発会、7日に12月マネタリーベース、11月毎月勤労統計調査、8日に11月景気先行指数(CI)速報値、11月全世帯家計調査・消費支出が予定されている。一方、米国など海外では、28日にボクシングデー(振替休日)で英・豪は休場、29日に米10月S&PコアロジックCS住宅価格指数、30日に米12月シカゴ購買部協会景気指数、31日に米前週分新規失業保険申請件数、中国12月コンポジットPMI、中国12月製造業PMI・非製造業PMI、英国のEU離脱移行期間が終了、年明け1日はニューイヤーで米国など主要市場休場、4日に米・EU12月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値、5日に米12月ISM製造業景況指数、6日に米12月ADP雇用統計、米11月製造業新規受注、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨、7日に米12月ISM非製造業景況指数、米11月貿易収支、米前週分新規失業保険申請件数、EU11月小売売上高、EU12月消費者物価指数、8日に米12月雇用統計が予定されている。
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