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どうなるベトナム株【フィスコ・コラム】

注目トピックス 市況・概況
新型コロナウイルスまん延の抑止に最も成功した国として名高いベトナム。経済の早期正常化への期待から同国株は過去最高値圏に浮上していましたが、ここへきて大きく落ち込んでいます。株式市場の混乱はなお続くでしょうか。


ベトナムの代表的な株価指数VNは昨年3月、コロナ危機による混迷で900pt台から一時649ptまで急落。しかし、その後感染拡大の抑止が好感され、徐々に持ち直します。秋口に入り感染による初の死者を記録したものの、35人(2月5日時点)で抑え一段の拡大を回避しました。それを受けた国際通貨基金(IMF)の成長率予想の上方修正など、経済の正常化期待を背景にマネーが流入し株価は一段高となります。


その後も株高は続き、VN指数は11月に節目の1000pt付近でもみ合った後、1カ月あまりで1100ptに浮上。各国がマイナス成長に転じるなかベトナムのプラス成長維持でさらに上昇ペースを強め、今年1月半ばまでの半月あまりで1200ptに到達します。独自開発による新型コロナワクチンの臨床試験に向け買いが続き、2018年6月に付けた過去最高値の1204ptが視野に入りました。


ところが、1月19日に急反落すると、それまでの強気相場がうそだったようにほぼ連日値を下げ、気づいてみると1020ptまで下落していました。8営業日で実に2割近い値下がりです。1000ptを起点とすると、株式市場のアノマリーどおり、ほぼ「登り100日、下げ10日」の展開となりました。金融や不動産の主力株を中心とした売りは中小型株に、さらにハノイ市場にも波及しています。


振り返ってみると、急激に下げる予兆はありました。特に、急激な上昇で取引量が膨らんだためシステム障害が発生し、売り買いの注文を受け付けられなくなるケースが複数回あり、その都度警戒感が広がっています。それでも指数の上昇は続き、海外市場が下げようとベトナム市場は堅調地合いを維持していたものの、VN指数はついに最高値更新を目前に失速しました。


そうした1月の大幅な反落ショックで、その後も売り圧力が指数の戻りを抑制しています。ただ、ベトナム政府は成長率の目標を+6.0%から+6.5%に引き上げているように、経済の回復は順調のようです。外交面では、ベトナムを「為替操作国」に認定したトランプ政権は退陣し、バイデン政権との関係構築が期待されているため、成長目標に向けた取り組みは株式市場にとって好材料になるでしょう。


一方、2月2日まで開催された5年に1度の共産党党大会で、チョン大統領が連続2期までの党則を修正し、1976年の南北ベトナム統一以来、初めて3期目に入ります。同大統領は公共投資によるテコ入れで経済を回復に導いた手腕が買われる半面、政敵を失脚させてきた経緯もあります。VN指数はいずれ最高値を更新するとみられますが、今後の株安要因を挙げるとすれば、権力争いによる国内政治の不安定化かもしれません。


※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。


(吉池 威)




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