2021年の政治リスク【フィスコ・コラム】
[21/02/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
アメリカでバイデン政権が発足して1カ月あまり。敗北宣言をしなかったトランプ前大統領は忘却の彼方に消え去り、国内の分断は解消…とはいかないようです。来年の中間選挙などに向け、市場もトランプ氏の存在を「リスク」として意識せざるを得ないでしょう。
バイデン政権の大規模な経済対策や連邦準備理事会(FRB)の長期的な金融緩和政策でマネーはマーケットに向かい、NY株式市場は連日の高値更新。原油先物など商品、さらにビットコインなど仮想通貨の相場も大きく押し上げています。新型コロナウイルスという特殊事情にもかかわらず活況が続くのは米国政治の影響が強く、それゆえ市場はバイデン大統領の政権運営に絶えず注意を向けざるを得ません。
例えば、政権発足と同時に打ち出した1.9兆ドル規模の経済対策をめぐる審議で、民主党は上下両院で多数派を占める「ブルーウェーブ」の優位性を生かし、法案は可決されました。ただ、共和党が財政赤字の拡大に難色を示したため審議は難航。今後も似たようなケースは続出するとみられ、バイデン氏が就任当初に主張していた「団結」どころか、逆に分断が激化する可能性も指摘されています。
そこで注目されるのが、トランプ氏の動向です。年明け直後の1月6日に連邦議会襲撃事件を扇動したとして罪に問われた弾劾裁判で、上院は2月13日、トランプ氏への無罪評決を下しました。直近の世論調査では、共和党支持者の8割が同氏を2024年の大統領選候補者として容認し、党執行部のマコネル氏の3割を大きく上回ったほか、弾劾に賛成した有力下院議員は支持率が1割あまりに急落しています。
反トランプ派は新政権の始動で自分たちの希望に沿った社会を満喫できると考えているかもしれません。しかし、トランプ氏は影が薄れるどころか、むしろ存在感を高めています。象徴的なのは、政権で大統領報道官を務めたサラ・サンダース氏が来年のアーカンソー州知事選に共和党候補として出馬を決めたこと。自身の支持者に対しても、トランプ氏のバックアップをアピールしています。
バイデン氏の今後の政策手腕にもよりますが、中間選挙は現職大統領の政党には不利になるのが通例で、民主党は苦戦が予想されます。中間選挙で共和党がトランプ氏の主導により巻き返すことになれば、次は2024年の大統領選での「リベンジ」を狙うはずです。ツイッターのアカウントをはく奪され発信力を失ったかに見えたものの、「トランプ劇場」の終えんと判断するのは早計と思われます。
米調査会社ユーラシア・グループが毎年1月に公表する「10大リスク」で、今年はバイデン大統領を意味する「第46代大統領」がトップとなりました。国民のほぼ半数が不正選挙で選出されたと厳しい目を向けるだろうと指摘。その見方が正しければ、社会の分断はさらに進み、政治的な混迷は経済や市場の動きも止めてしまいかねません。
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
(吉池 威)
<YN>
バイデン政権の大規模な経済対策や連邦準備理事会(FRB)の長期的な金融緩和政策でマネーはマーケットに向かい、NY株式市場は連日の高値更新。原油先物など商品、さらにビットコインなど仮想通貨の相場も大きく押し上げています。新型コロナウイルスという特殊事情にもかかわらず活況が続くのは米国政治の影響が強く、それゆえ市場はバイデン大統領の政権運営に絶えず注意を向けざるを得ません。
例えば、政権発足と同時に打ち出した1.9兆ドル規模の経済対策をめぐる審議で、民主党は上下両院で多数派を占める「ブルーウェーブ」の優位性を生かし、法案は可決されました。ただ、共和党が財政赤字の拡大に難色を示したため審議は難航。今後も似たようなケースは続出するとみられ、バイデン氏が就任当初に主張していた「団結」どころか、逆に分断が激化する可能性も指摘されています。
そこで注目されるのが、トランプ氏の動向です。年明け直後の1月6日に連邦議会襲撃事件を扇動したとして罪に問われた弾劾裁判で、上院は2月13日、トランプ氏への無罪評決を下しました。直近の世論調査では、共和党支持者の8割が同氏を2024年の大統領選候補者として容認し、党執行部のマコネル氏の3割を大きく上回ったほか、弾劾に賛成した有力下院議員は支持率が1割あまりに急落しています。
反トランプ派は新政権の始動で自分たちの希望に沿った社会を満喫できると考えているかもしれません。しかし、トランプ氏は影が薄れるどころか、むしろ存在感を高めています。象徴的なのは、政権で大統領報道官を務めたサラ・サンダース氏が来年のアーカンソー州知事選に共和党候補として出馬を決めたこと。自身の支持者に対しても、トランプ氏のバックアップをアピールしています。
バイデン氏の今後の政策手腕にもよりますが、中間選挙は現職大統領の政党には不利になるのが通例で、民主党は苦戦が予想されます。中間選挙で共和党がトランプ氏の主導により巻き返すことになれば、次は2024年の大統領選での「リベンジ」を狙うはずです。ツイッターのアカウントをはく奪され発信力を失ったかに見えたものの、「トランプ劇場」の終えんと判断するのは早計と思われます。
米調査会社ユーラシア・グループが毎年1月に公表する「10大リスク」で、今年はバイデン大統領を意味する「第46代大統領」がトップとなりました。国民のほぼ半数が不正選挙で選出されたと厳しい目を向けるだろうと指摘。その見方が正しければ、社会の分断はさらに進み、政治的な混迷は経済や市場の動きも止めてしまいかねません。
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。
(吉池 威)
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