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国内株式市場見通し:新年度相場入りで買い気強まる展開期待

注目トピックス 市況・概況
■前半下値模索も後半に踏ん張り

今週の日経平均は週半ばまでは下値模索の展開となったが、後半に底堅さも見せた。週明け22日は、大手銀に対する資本規制(補完的レバレッジ比率「SLR」)の緩和措置を延長しないとした米連邦準備制度理事会(FRB)の方針を受けた米株安を背景に日経平均は続落スタート。上場投資信託(ETF)の買い入れ対象から日経平均型を除外するとした先日の日銀の政策方針変更も重しとなって下げ幅を拡げる展開となり600円超の下落となった。23日は、米バイデン政権による最大3兆ドル規模の大型公共投資に関する報道を背景に米国市場は上昇していたものの、将来的な金利上昇が警戒され、アジア市場も大幅下落となるなか3日続落した。24日は、欧州で新型コロナウイルスが収束せず、ドイツがロックダウン(都市封鎖)を延長するなど世界経済の回復に不透明感が広がったことから、原油価格の急落も相まって日経平均は590円安の大幅下落となった。年度末に伴うリバランスの売りが出やすい一方、新規の買いが入りにくいという需給面の要因も重しとなった。ただ、25日は、ドイツがロックダウン強化計画を撤回したほか原油価格も大幅反発したことで市場心理が改善。前日までの4営業日で1800円も下げていただけに自律反発狙いの買いも入りやすく300円以上の上昇に。週末26日も、バイデン大統領がワクチン配給目標を倍増させるとの報道で市場心理が向上し、日経平均は続伸、29000円を回復して週を終えた。

■金利耐性ついたか

来週の日経平均は堅調か。市場の最大の関心事となっていた米国10年物国債利回り(以下、「米長期金利」)について、株式も良い意味で大分反応が鈍ってきた。今週の米長期金利は一貫して落ち着いていた。債券需給の悪化要因として警戒されていたSLRの規制緩和については打ち切りがあったものの、米長期金利は1.7%台から1.6%台へと低下。また、先日1.9兆ドル規模の経済対策が成立したばかりにも関わらず、矢継ぎ早に3兆ドル規模の大型公共投資に関する話が出てきた。しかし、それでも米長期金利はほぼ無反応。その後、金利急騰劇の発端になった米7年債の入札結果が前回に続き低調となったことで若干上昇する動きが見られたが、それでも1.6%台前半に収まった。週末は米株高のなか1.67%まで上昇してきたが、直近高値の1.75%からは低い水準だ。また、良い意味でサプライズだったのがパウエルFRB議長の発言だ。米国時間で25日、「政策目標に向けて大きな進展がみられた場合には資産購入額を徐々に縮小するだろう」と量的緩和の縮小を示唆するような発言があった。むろん、「経済が完全に回復した時に、時間をかけて非常に漸進的かつ高い透明性をもって」という慎重な前置きを付けてのことだが。しかし、それでも先日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2023年末までのゼロ金利政策の据え置きなど緩和策の維持が再表明され市場が安堵したばかりということを考えれば、かなり早いタイミングでのテーパリング(量的緩和縮小)の示唆だったと思える。そうした中でも、当日の米国市場では長期金利は微増にとどまり低位安定。株式については、ワクチン配給目標の倍増を好感して上昇した。市場は、FRBや金利に対する耐性がついてきているようにも見える。こうした中、相場はいよいよ日本では新年度相場入りとなる。来期を見越した新規買いの動きなどが期待される。また、その前に、週前半の3月最終週の初日29日は配当・優待権利付き最終日で権利取りを狙った売買の活発化が予想される。加えて、29日大引けと30日寄り付きにかけてはインデックスファンドの配当金投資に伴う先物買いが発生する見込みで相場を下支えしよう。そのほか、3月第3週(15-19日)の投資主体別売買動向によると、海外投資家は現物を4000億円程買い越してきており、再び日本株買いに勢いが見られる。一方、信託銀行は2000億円超の売り越しを継続するなど機関投資家の期末のリバランス売りなどの様子がみえる。しかし、期末のリバランス売りは3月で終わることに加え、企業の政策保有株の売却なども例年3月末までには一巡してくることが多い。今まで主体だった売り方の存在が薄れる一方で、海外投資家の買い越しが続けば、相場の上昇に繋がる可能性があろう。

■メインは景気敏感株、短期でアフターコロナ

物色対象としては引き続き景気敏感株やバリュー(割安)株が優位となりそうだ。金利耐性が付いてきたとはいえ、景気回復に伴う今後の再びの長期金利上昇は時間の問題だ。そうしたなかグロース株を積極的に選好するのは難しいと考えられる。ワクチン接種の加速、バイデン政権の公共投資策の追加報道、中国を始めとした相次ぐ各国景気指標の上振れ可能性なども踏まえると景気敏感系が優位となりそうか。そのほか、時短営業を強いられ依然厳しい環境ではあるが、アフターコロナを見据えて飲食やサービスといった未だコロナ前水準を回復できていない銘柄に短期割り切りで挑戦するのも一考か。

■中国製造業PMI、米ISM製造業景気指数など

来週の主な国内外予定は、30日に2月有効求人倍率、米3月消費者信頼感指数、31日に2月鉱工業生産、中国3月製造業PMI、米3月ADP全米雇用リポート、4月1日に3月日銀短観、中国3月財新製造業PMI、米3月ISM製造業景気指数、2日に米3月雇用統計などが予定されている。




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