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米国株式市場見通し:金融緩和縮小への脅威が後退

注目トピックス 市況・概況
FRBが今週公表したFOMC議事要旨(4月27-28日会合分)を受けて、当局のインフレに対する政策対処が立ち遅れるとの警戒感が後退しつつある。長期金利の上昇も一服しているためハイテク株の買戻しに期待できそうだ。また、例年は4月15日が納税申告期限だが、今年はパンデミックの影響で、5月17日まで延長された。このため、新たな資金が株式相場に流入することも予想され相場支援材料になりそうだ。

バンク・オブ・アメリカの5月顧客調査で、ファンドマネジャーは経済活動の再開に伴い、銀行や資源関連の株の保有を増やし、ハイテク株を売却したことが分かった。ファンドマネジャーのハイテク株保有の割合は3年ぶりの低水準になったという。金利上昇が一段落するとともにハイテク株の買戻しが強まる可能性もありそうだ。

FOMCの議事要旨では、FRBメンバーのほとんどが依然、インフレを一時的と見ており、圧力を懸念していないことが明らかになった。また、経済がFRBの目標である最大雇用や物価安定目標に向けて著しい進展を見せるまでにはかなりの時間を要する可能性が強いと見ており、大規模緩和を維持する姿勢が再確認された。同時に、複数の参加者は、もし、委員会の目標に向けて経済が急回復を継続した場合、今後の会合で、資産購入ペースの修正に関する計画協議を開始することが適切になるかもしれないと指摘。4月会合で初めて、メンバーは資産購入ペースの修正に言及した。今までのように、インフレが上昇しても対応しないと強固な姿勢を見せるのではなく、むしろ、順向的なFRBの姿勢を市場は歓迎している。緩やかで秩序のある形での緩和縮小期待が相場を支えそうだ。

来週は主要大手銀の最高経営責任者(CEO)が議会で証言を予定しており、さらなる注目材料となりそうだ。

経済指標では4月シカゴ連銀活動指数(24日)、3月FHFA住宅価格指数、3月S&P20都市住宅価格指数、4月新築住宅販売件数、5月消費者信頼感指数、5月リッチモンド連銀製造業指数(25日)、4月耐久財受注、週次新規失業保険申請件数、1−3月期GDP改定値、4月中古住宅販売仮契約、5月カンザスシティ連銀製造業活動(27日)、4月卸売在庫、4月コアデフレーター、5月ミシガン大消費者信頼感指数(28日)、などが予定されている。特に、4月の個人消費支出コアデフレーターでは前年比3%近くの伸びが予想されており、市場で一時的に高インフレ懸念が再燃する可能性もある。しかし、FRBは年内のインフレの上昇は想定内と見ており長期金利の上昇は限定的となりそうだ。さらに、コンファレンスボードが発表する5月消費者信頼感指数やミシガン大消費者信頼感指数などで消費動向を見極めたい。

企業決算では、自動車部品販売のオートゾーン、高級住宅建設のトールブラザーズ、百貨店のノードストーム、小売り販売のアーバンアウトフィッターズ(25日)、家電小売りのベストバイ、会員制卸売りのコストコ、ディスカウント小売りのダラー・ツリー、ダラー・ゼネラル、化粧品小売り、アルタ・ビューティー、衣料小売りのギャップ(27日)、半導体メーカーのエヌビディア、クラウドプラットフォームを運営するスノウフレーク、台所・家庭用品小売りウィリアムズ・ソノマ、スポーツ用品販売のディックス・スポーティング・グッズ(26日)、ソフトウェアのセールスフォース(27日)、などが予定されている。小売り関連は好決算が期待できそうだが、財政支援の一環である一度きりの直接資金支給により急増した売上の好ペースを持続することは困難との見方もあり、弱い見通しが示される可能性がリスクになるだろう。住宅建設は引き続き強い決算を期待したい。

(Horiko Capital Management LLC)




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