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来週の相場で注目すべき3つのポイント:米経済指標(ISM、雇用統計)、アフターコロナ関連株の動き、メイホーIPOなど

注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し

予想レンジ:上限29400-下限28650円

来週の日経平均は弱含みか。目先の戻り一服感に加え、重要な経済指標が相次ぐことから、神経質な動きとなりそうだ。インフレに対する過度な警戒感は後退してきており、足元の米ブレークイーブンインフレ率(期待インフレ率の指標)も米長期金利も落ち着いている。今週末に発表された、米連邦準備理事会(FRB)が最も重視するPCEコアデフレーター(4月)は前年同月比3.1%上昇し、市場予想(+2.9%)を上回ったが、長期金利はむしろ低下した。また、ビットコイン価格も徐々にだが落ち着いてきた。テスラのイーロン・マスク氏や、アクティビスト(物言う投資家)で有名なカール・アイカーン氏ら要人発言などが背景にある。さらに、直近はビットコイン価格が下げても株式市場の反応は良い意味で鈍くなってきている。


このように、市場の波乱要因となっていたインフレやビットコイン価格を巡る警戒感は一時後退した。しかし、来週は全米供給管理協会(ISM)が発表する景況指数のほか、週末には米雇用統計など重要な経済指標が予定されている。結果次第では、再びFRBの金融政策方針を巡る思惑が高まるだろう。結果を見極めたいとする様子見ムードから、指数はこう着感を強めそうだ。


既に4月の米消費者物価指数(CPI)などの結果から、インフレ傾向が強いことは相当に織り込んでいるが、問題は雇用統計だ。4月の雇用統計は市場予想を大きく下回る内容で、強い数値を見込んでいた予想を裏切り、大きなサプライズとなった。その背景には、手厚い失業手当が失業者の労働市場への参加を妨げているなど、供給側の要因があった。ただ、共和党が知事を務める州の多くでは、失業手当の延長を廃止する動きが出ている。また、週次の新規失業保険申請件数もパンデミック以降の最低水準を更新し続けている。5月の雇用統計は改めて力強い労働市場の回復を示すかもしれない。


そうなれば、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)や8月のジャクソンホール会合でのテーパリング(資産購入縮小)議論の開始が一層意識されることになる。週末の雇用統計の結果が織り込まれるのは東京市場では翌週となるため、週を通じて雇用統計を前にした様子見ムードが強まりやすい。今週末にかけて大きく戻してきている分、イベント前の警戒感から弱含みの可能性が高い。


そのほか、米ISM景況指数は製造業・非製造業ともに60ptを上回る強い数値が前月まで続いているが、仮に市場予想を大きく下回るようなことがあると、景況感の改善はピークを打ったとの見方から、景気循環株を中心に利益確定売りに押されるシナリオも想定しておきたい。それでも、好不況の境である50ptを上回る傾向は当面続くと予想されるため、長期目線では過度な不安視は不要だろう。また、最近はテーパリング議論の開始に柔軟な姿勢をみせる高官らの発言があっても、動揺はみられていない。テーパリングに対する耐性を徐々に織り込んでいるとも想定される。そのため、雇用統計の結果を受けて波乱があったとしても、長期的には押し目買いの好機になると考えたい。


物色動向については、米国の重要経済指標を前にハイテク、グロース、景気循環まで含め、多くが積極的には手掛けづらいだろう。一方、今週に相対的な強さが目立ったアフターコロナ関連の戻り基調に引き続き期待したい。国内でのワクチン接種率の遅れからこれまで上値の重かったテーマだが、ネガティブな影響は既に相当織り込んだと思われる。むしろ、今後はワクチン接種スピードの加速を見込んだ買いが期待される。今週は、空運の日本航空<9201>やANAHD<9202>から、旅行関連のエアトリ<6191>やエイチ・アイ・エス<9603>、それにOLC<4661>といったレジャー関連で大きく上昇するものが見られた。


■為替市場見通し


来週のドル・円は下げ渋りか。直近で発表された米国の5月フィラデルフィア連銀景況指数(製造業景気指数)、5月CB消費者信頼感指数は市場予想を下回る内容となるなど、景気回復に一服感が示された。個人消費の伸び悩みを警戒して米長期金利が反落した場合、リスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性は残されている。


ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)による大規模な金融緩和策は、いずれ縮小に向かうとの見方は変わっていないため、ドルは下げづらい見通し。ワクチン接種の拡大によって対面型のサービス業の業況が改善していることもドル買い材料となりそうだ。来週発表される5月ISM製造業景況指数や5月雇用統計は、底堅い内容と予想される。5月ISM製造業景況指数は好不況の境目である50を大きく上回ることが確実視されており、リスク回避的なドル売りは限定的となろう。5月雇用統計については、非農業部門雇用者数が前回大幅減の反動で持ち直し、失業率は若干低下すると予想されている。5月雇用統計が市場予想に沿った内容だった場合、ドルは下げ渋る可能性が高いとみられる。


■来週の注目スケジュール

5月31日(月):鉱工業生産指数(4月)、消費者態度指数(5月)、住宅着工件数(4月)、中・(非)製造業PMI(5月)、経済協力開発機構(OECD)が世界経済見通しを公表、米・株式市場は祝日のため休場(メモリアルデー)など
6月1日(火):製造業PMI(5月)、自動車販売台数(5月)、中・財新製造業PMI(5月)、米・ISM製造業景況指数(5月)、「OPECプラス」閣僚級会合など
6月2日(水):メイホーホールディングスが東証マザーズに新規上場、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)など
6月3日(木):サービス業PMI(5月)、中・財新サービス業PMI(5月)、米・ADP全米雇用報告(5月)、米・ISM非製造業景況指数(5月)など
6月4日(金):家計支出(4月)、米・雇用統計(5月)、米・製造業受注(4月)、米・「ビットコイン2021」会議(5日まで)など



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