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米国株式市場見通し:景気回復期待が強まる

注目トピックス 市況・概況
制御不能なインフレへの警戒感が大きく後退し、さらに、FRBによる金融緩和解除が当面先になるとの見方が相場をさらに押し上げそうだ。6月連邦公開市場委員会(FOMC)で公表されたスタッフ予測で、インフレ、成長、金利見通しが軒並み上方修正されたのち、タカ派に転じるのではと警戒されていた証言で、パウエル議長はインフレの上昇が一時的な要因に基づいたもので、労働市場の目標である最大雇用達成にはかなりの時間を要すると慎重な見解を再確認した。FRBの中でも議長や副議長とともに影響力があるNY連銀のウィリアムズ総裁もハト派姿勢を維持したため、市場で浮上しかけていた早期の緩和縮小観測が後退。投資家の恐怖心理を表すVIX指数も再び20を下回った。

バイデン政権が提示したインフラ投資計画で、超党派上院議員が合意に達した。法制化には加えて、富裕層増税で教育や福祉、環境再生可能エネルギーや環境関連技術への積極的な投資で、雇用創出と景気浮揚を図る計画と、2つの計画での合意が必要となるため、容易ではなさそうだ。しかし、超党派での一部合意を好感し、景気循環株の買いが続きそうだ。米国の港から出航するクルーズ船の運航も15カ月ぶりに再開される予定で、経済活動の再開がさらに回復ペースに拍車をかけそうだ。

また、FRBが公表したストレステストの結果は、大手23行が深刻な世界不況シナリオでも、自己資本比率規制の2倍の資本水準を維持する良好なものとなった。6月末にはコロナで臨時に設けられた配当規制が終了。下半期には金融機関が株主還元を加速させると見られ、その規模は過去最高に達する見込みで、増配、自社株買いなどが金融株を押し上げる可能性が期待できる。新型コロナウイルスのパンデミック中に投資されないまま眠る資金が増大しており、5兆5000億ドルの資金が株式市場に流入する可能性も指摘されている。長期金利の上昇も限定的になると見られ、ハイテク株の上昇も続きそうだ。

経済指標では6月ダラス連銀活動指数(28日)、4月FHFA住宅価格指数、4月S&P20都市住宅価格指数、6月消費者信頼感指数(29日)、6月ADP雇用統計、5月中古住宅販売仮契約耐久財受注(30日)、週次新規失業保険申請件数、6月製造業PMI確定値、5月建設支出、6月ISM製造業景況指数(7月1日)、6月雇用統計、5月貿易収支、5月製造業受注(2日)、などが予定されている。週次失業保険申請件数の減少が滞るなど、パウエル議長は労働市場の回復の遅さに焦点をあてており、6月雇用統計の結果に注目したい。

企業決算では、食品メーカーのJ&Jスナックフーズ、オフィス家具メーカーのハーマンミラー(28日)、半導体のマイクロンテクノロジー、アルコール飲料会社のコンステレーション・ブランズ、食品メーカーのゼネラル・ミルズ、小売りチェーンのベッド・バス・アンド・ビヨンド(30日)、ドラッグストアチェーンのウォールグリーン・ブーツ・アライアンス、調味料メーカーのマコーミック(7月1日)、などが予定されている。マイクロンテクノロジーはコンピューターや5Gスマートフォーンの売り上げ急増による需要増加で好決算が期待される。食品メーカーはパンデミックによる外出規制で需要が急増した昨年に比べ、需要の鈍化に警戒したい。一方で、コンステレーション・ブランズは経済活動再開でも堅調な需要が期待される。

(Horiko Capital Management LLC)




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