来週の相場で注目すべき3つのポイント:決算中盤、米ISMや中PMI、米雇用統計など
[21/07/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限28000-下限27000円
来週の日経平均はもみ合いか。企業決算が来週だけで1100社以上予定されている。日本国内での新型コロナ感染拡大や政権求心力の低下など先行き不透明感は依然として継続。また、新型コロナ・デルタ株の流行は海外でも顕著で、世界経済の回復に対するピークアウト懸念もくすぶったままだ。外部環境に不安定さが伴うなか、今週も決算を受けた個別株物色にとどまりそうだ。
今週から4-6月期決算発表が本格化。これまでを振り返ってみると、まず製造業を中心に決算は予想どおり良好だった。一方、株価反応となると明暗が分かれ、サプライズの度合いが物を言った。第1四半期実績や上方修正後の計画値が市場予想を大幅に上振れるなどサプライズがあるものはストレートに好感された一方、上振れ度合いが小幅なものは物足りなさから好決算でも売られるものが多かった。
また、気懸かりなのは決算後に買われても株高の持続性が乏しい点だ。アドバンテスト<6857>などは好決算を機に株価が大幅に上昇したものの、翌日は買いが続かず失速。月末最終営業日で株安アノマリーが重しとなった可能性もあるが、週前半に急伸した銘柄でも上昇分の多くを消してしまうものが目立った。好決算でも大幅なサプライズでない限り売られ、高いハードルを超えて買われたものも失速してしまう。今の地合いの悪さを象徴しているようだ。好決算で株価が上昇しても一気に飛びつかず、騰勢が維持されるかを確認しながら徐々にポジションを積み増すなど慎重な姿勢が求められよう。
そのほか、来週は中国で財新製造業PMI(購買担当者景気指数)、米国では全米供給管理協会(ISM)が公表する製造業・非製造業景況指数、週末には米雇用統計などが発表される。足元で景気減速懸念が高まっているだけにPMIやISMには注目したい。一方、雇用統計も注目ではあるが、先日の7月FOMC後、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は最大雇用の目標には「まだ遠い」としたほか、利上げ開始時期について「ずっと先であることは明白」などと発言した。量的緩和の縮小(テーパリング)や利上げの前倒しに対する懸念は後退してきている様子で、企業決算が注目されるなか、波乱要因にはなりにくいと考えられる。
米4-6月GDP(国内総生産)速報値は前期比年率6.5%増と、市場予想の8.4%増を大幅に下回った。一方、個人消費は11.8%増と前四半期に続いて高い伸びとなった。米国の企業決算と株価反応をみても、力強い個人消費の回復に伴い、ツイッターやスナップチャット、グーグルを傘下にもつアルファベットなどオンライン広告を手掛ける企業、部材不足や供給網の制約を受けない企業の方が、株価上昇が目立っている印象。日本企業についても、これまでの製造業決算への厳しい反応なども考慮すると、部材不足や景気ピークアウト懸念との関わりが薄いセクターへの投資の方が奏功しやすいかもしれない。
■為替市場見通し
来週のドル・円は、下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は将来的に金利引き上げを行う可能性が高いものの、量的緩和策の早期縮小について慎重な姿勢を崩していない。FRBは27-28日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で、「労働市場の状況は改善しており、需要は強い」との見解を示した。金融緩和策を縮小する状況へ達するまである程度の時間を要することから、FRBは資産買入れ方針を維持している。ただ、量的緩和策は将来的に縮小される可能性は高いとみられており、その後に金利引き上げも予想されることから、リスク回避的なドル売りがさらに強まる状況ではないとみられる。
来週発表される米国経済指標では、7月ISM製造業景況指数と7月雇用統計が注目される。いずれも前回から改善が見込まれており、市場予想と一致するか、上回った場合、米国経済の正常化期待により株高・金利高・ドル高の要因になりやすい。一方、新型コロナウイルス変異株の感染拡大が警戒されるなか、主要経済指標が市場予想を大きく下回れば、景気回復への期待は低下し、リスク選好的なドル買いは縮小する可能性があることには注意が必要か。
■来週の注目スケジュール
8月2日(月):製造業PMI(7月)、自動車販売台数(7月)、中・財新製造業PMI(7月)、米・ISM製造業景況指数(7月)など
8月3日(火):米・製造業受注(6月)、米・自動車販売(7月、4日までに)など
8月4日(水):サービス業PMI(7月)、中・財新サービス業PMI(7月)、米・ADP全米雇用報告(7月)、米・ISM非製造業景況指数(7月)など
8月5日(木):米・貿易収支(6月)、欧・ECB経済報告、英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表など
8月6日(金):実質賃金総額(6月)、家計支出(6月)、景気先行CI指数(6月)、GPIFの21年度第1四半期運用状況速報、米・雇用統計(7月)、米・卸売在庫(6月)、など
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予想レンジ:上限28000-下限27000円
来週の日経平均はもみ合いか。企業決算が来週だけで1100社以上予定されている。日本国内での新型コロナ感染拡大や政権求心力の低下など先行き不透明感は依然として継続。また、新型コロナ・デルタ株の流行は海外でも顕著で、世界経済の回復に対するピークアウト懸念もくすぶったままだ。外部環境に不安定さが伴うなか、今週も決算を受けた個別株物色にとどまりそうだ。
今週から4-6月期決算発表が本格化。これまでを振り返ってみると、まず製造業を中心に決算は予想どおり良好だった。一方、株価反応となると明暗が分かれ、サプライズの度合いが物を言った。第1四半期実績や上方修正後の計画値が市場予想を大幅に上振れるなどサプライズがあるものはストレートに好感された一方、上振れ度合いが小幅なものは物足りなさから好決算でも売られるものが多かった。
また、気懸かりなのは決算後に買われても株高の持続性が乏しい点だ。アドバンテスト<6857>などは好決算を機に株価が大幅に上昇したものの、翌日は買いが続かず失速。月末最終営業日で株安アノマリーが重しとなった可能性もあるが、週前半に急伸した銘柄でも上昇分の多くを消してしまうものが目立った。好決算でも大幅なサプライズでない限り売られ、高いハードルを超えて買われたものも失速してしまう。今の地合いの悪さを象徴しているようだ。好決算で株価が上昇しても一気に飛びつかず、騰勢が維持されるかを確認しながら徐々にポジションを積み増すなど慎重な姿勢が求められよう。
そのほか、来週は中国で財新製造業PMI(購買担当者景気指数)、米国では全米供給管理協会(ISM)が公表する製造業・非製造業景況指数、週末には米雇用統計などが発表される。足元で景気減速懸念が高まっているだけにPMIやISMには注目したい。一方、雇用統計も注目ではあるが、先日の7月FOMC後、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は最大雇用の目標には「まだ遠い」としたほか、利上げ開始時期について「ずっと先であることは明白」などと発言した。量的緩和の縮小(テーパリング)や利上げの前倒しに対する懸念は後退してきている様子で、企業決算が注目されるなか、波乱要因にはなりにくいと考えられる。
米4-6月GDP(国内総生産)速報値は前期比年率6.5%増と、市場予想の8.4%増を大幅に下回った。一方、個人消費は11.8%増と前四半期に続いて高い伸びとなった。米国の企業決算と株価反応をみても、力強い個人消費の回復に伴い、ツイッターやスナップチャット、グーグルを傘下にもつアルファベットなどオンライン広告を手掛ける企業、部材不足や供給網の制約を受けない企業の方が、株価上昇が目立っている印象。日本企業についても、これまでの製造業決算への厳しい反応なども考慮すると、部材不足や景気ピークアウト懸念との関わりが薄いセクターへの投資の方が奏功しやすいかもしれない。
■為替市場見通し
来週のドル・円は、下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)は将来的に金利引き上げを行う可能性が高いものの、量的緩和策の早期縮小について慎重な姿勢を崩していない。FRBは27-28日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決定。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で、「労働市場の状況は改善しており、需要は強い」との見解を示した。金融緩和策を縮小する状況へ達するまである程度の時間を要することから、FRBは資産買入れ方針を維持している。ただ、量的緩和策は将来的に縮小される可能性は高いとみられており、その後に金利引き上げも予想されることから、リスク回避的なドル売りがさらに強まる状況ではないとみられる。
来週発表される米国経済指標では、7月ISM製造業景況指数と7月雇用統計が注目される。いずれも前回から改善が見込まれており、市場予想と一致するか、上回った場合、米国経済の正常化期待により株高・金利高・ドル高の要因になりやすい。一方、新型コロナウイルス変異株の感染拡大が警戒されるなか、主要経済指標が市場予想を大きく下回れば、景気回復への期待は低下し、リスク選好的なドル買いは縮小する可能性があることには注意が必要か。
■来週の注目スケジュール
8月2日(月):製造業PMI(7月)、自動車販売台数(7月)、中・財新製造業PMI(7月)、米・ISM製造業景況指数(7月)など
8月3日(火):米・製造業受注(6月)、米・自動車販売(7月、4日までに)など
8月4日(水):サービス業PMI(7月)、中・財新サービス業PMI(7月)、米・ADP全米雇用報告(7月)、米・ISM非製造業景況指数(7月)など
8月5日(木):米・貿易収支(6月)、欧・ECB経済報告、英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表など
8月6日(金):実質賃金総額(6月)、家計支出(6月)、景気先行CI指数(6月)、GPIFの21年度第1四半期運用状況速報、米・雇用統計(7月)、米・卸売在庫(6月)、など
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