来週の相場で注目すべき3つのポイント:米雇用統計、IPO2社、中国PMI/米ISMなど
[21/08/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限28000-下限27300円
来週の日経平均は週初上昇スタートも、28000円手前で上値の重い展開か。注目のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演は、年内の量的緩和縮小(テーパリング)開始が適切となる可能性に言及したものの、緩和縮小のタイミングやペースが利上げを示す直接的なシグナルにはならないとし、利上げには引き続き慎重な姿勢を示した。想定線とはいえイベントを無事に通過したことやFRBのハト派スタンスが確認されたことで、週初はあく抜け感から上昇して始まりそうだ。ただ、景気減速懸念や新型コロナ感染動向、近く控える自民党総裁選や衆議院議員選挙など、これまで日本株を手控える理由になってきた要素が消えたわけではない。日経平均は心理的な節目の28000円に近付く場面では上値が重くなりそうだ。
週末にはFRBの金融政策方針を決めるうえで重要な米8月雇用統計が控えている。テーパリングについては相当に織り込み済みとはいえ、最高値圏で推移している米国株はテーパリング開始時期に関する思惑で神経質になりやすい。米国株の動向の影響を受ける以上、日本株も雇用統計を前に様子見ムードが強まりやすいだろう。日経平均など指数はレンジ相場となり、小まめな逆張り戦略が功を奏しそうだ。
そのほか、米中の経済指標が多く発表される。中国では国家統計局が発表する8月製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)のほか、民間版の8月財新製造業PMIが、米国ではサプライマネジメント協会(ISM)が発表する8月の製造業・非製造業景況指数などが予定されている。米中の経済指標の下振れ傾向を受けて景気減速懸念が強まってきたこれまでの経緯を踏まえれば、注目度は今まで以上に高い。仮に中国製造業PMIが好不況の節目である50を割り込むとなると、中国の景気動向と特に結びつきが強い機械株などにとっては更なる重しとなるだろう。米ISM製造業景況指数も前月比で鈍化が続けば、広く景気敏感株の売りにつながりそうだ。
日本国内の新型コロナ新規感染者数は8月半ばをピークに鈍化してきたとみえる兆候が出てきている。社会的にはピークアウトを議論するのは時期尚早だろうが、株式市場では早くも転換点として捉えられそうだ。米国でのワクチン接種進展への期待もあり、今週は陸運や旅行関連などアフターコロナ銘柄が久々に動意づいていた。来週も米雇用統計を前に景気敏感株やハイテク株の売買が手控えられれば、消去法的な選択肢としてアフターコロナ関連銘柄に引き続き物色が向かうことが想定される。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米雇用情勢は改善しつつあり、量的緩和策の年内縮小観測は後退していないことから、リスク回避的なドル売り・円買いがさらに強まる可能性は低いとみられる。量的緩和策の早期縮小観測はやや後退したが、9月第一週に発表される雇用関連の経済指標が堅調な内容なら、リスク回避的なドル売りは抑制される可能性が高いとみられる。
来週は、8月ISM製造業景況指数における雇用指数、8月ADP雇用統計、新規失業保険申請件数、8月雇用統計などの経済指標が注目されそうだ。いずれも市場予想を上回る強い内容だった場合、長期金利の上昇を手がかりにドル買いが入りやすい。一方、米国株式市場では、NYダウ平均、S&P500種、ナスダック総合指数など主要株価指数の過去最高値更新が相次いでいる。大幅な値上がりで過熱感も指摘されるが、主要株価指数が堅調に推移した場合、リスク選好的なムードが広がりやすい。株高を意識したリスク選好的な円売りが増えることでドル・円相場は底堅い動きを維持するとみられる。
なお、足元では米国内で新型コロナウイルスデルタ株のまん延が警戒されており、経済正常化への期待はやや後退している。感染者数の増加は懸念要因だが、アフガニスタン情勢の混迷でユーロ、豪ドルなどに対する米ドル買いも観測されており、この影響で米ドル・円相場が円高方向に大きく動く可能性は低いと予想される。
■来週の注目スケジュール
8月30日(月):小売売上高(7月)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(8月)、米・中古住宅販売成約指数(7月)、など
8月31日(火):有効求人倍率(7月)、鉱工業生産指数(7月)、消費者態度指数(8月)、中・製造業/非製造業PMI(8月)、米・消費者信頼感指数(8月)、米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(6月)、米軍のアフガニスタン撤退期限、など
9月1日(水): 4-6月期法人企業統計、製造業PMI(8月)、自動車販売台数(8月)、中・財新製造業PMI(8月)、欧・米・製造業PMI(8月)、米・ADP全米雇用報告(8月)、米・ISM製造業景況指数(8月)、米・自動車販売(8月、2日までに)、「OPECプラス」閣僚級会合、など
9月2日(木):モビルス/メディア総研が東証マザーズに新規上場、米・製造業受注(7月)、米・貿易収支(7月)、など
9月3日(金):日・欧・米・サービス業PMI(8月)、中・財新サービス業PMI(8月)、米・ISM非製造業景況指数(8月)、米・雇用統計(8月)、など
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予想レンジ:上限28000-下限27300円
来週の日経平均は週初上昇スタートも、28000円手前で上値の重い展開か。注目のジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演は、年内の量的緩和縮小(テーパリング)開始が適切となる可能性に言及したものの、緩和縮小のタイミングやペースが利上げを示す直接的なシグナルにはならないとし、利上げには引き続き慎重な姿勢を示した。想定線とはいえイベントを無事に通過したことやFRBのハト派スタンスが確認されたことで、週初はあく抜け感から上昇して始まりそうだ。ただ、景気減速懸念や新型コロナ感染動向、近く控える自民党総裁選や衆議院議員選挙など、これまで日本株を手控える理由になってきた要素が消えたわけではない。日経平均は心理的な節目の28000円に近付く場面では上値が重くなりそうだ。
週末にはFRBの金融政策方針を決めるうえで重要な米8月雇用統計が控えている。テーパリングについては相当に織り込み済みとはいえ、最高値圏で推移している米国株はテーパリング開始時期に関する思惑で神経質になりやすい。米国株の動向の影響を受ける以上、日本株も雇用統計を前に様子見ムードが強まりやすいだろう。日経平均など指数はレンジ相場となり、小まめな逆張り戦略が功を奏しそうだ。
そのほか、米中の経済指標が多く発表される。中国では国家統計局が発表する8月製造業・非製造業購買担当者景気指数(PMI)のほか、民間版の8月財新製造業PMIが、米国ではサプライマネジメント協会(ISM)が発表する8月の製造業・非製造業景況指数などが予定されている。米中の経済指標の下振れ傾向を受けて景気減速懸念が強まってきたこれまでの経緯を踏まえれば、注目度は今まで以上に高い。仮に中国製造業PMIが好不況の節目である50を割り込むとなると、中国の景気動向と特に結びつきが強い機械株などにとっては更なる重しとなるだろう。米ISM製造業景況指数も前月比で鈍化が続けば、広く景気敏感株の売りにつながりそうだ。
日本国内の新型コロナ新規感染者数は8月半ばをピークに鈍化してきたとみえる兆候が出てきている。社会的にはピークアウトを議論するのは時期尚早だろうが、株式市場では早くも転換点として捉えられそうだ。米国でのワクチン接種進展への期待もあり、今週は陸運や旅行関連などアフターコロナ銘柄が久々に動意づいていた。来週も米雇用統計を前に景気敏感株やハイテク株の売買が手控えられれば、消去法的な選択肢としてアフターコロナ関連銘柄に引き続き物色が向かうことが想定される。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米雇用情勢は改善しつつあり、量的緩和策の年内縮小観測は後退していないことから、リスク回避的なドル売り・円買いがさらに強まる可能性は低いとみられる。量的緩和策の早期縮小観測はやや後退したが、9月第一週に発表される雇用関連の経済指標が堅調な内容なら、リスク回避的なドル売りは抑制される可能性が高いとみられる。
来週は、8月ISM製造業景況指数における雇用指数、8月ADP雇用統計、新規失業保険申請件数、8月雇用統計などの経済指標が注目されそうだ。いずれも市場予想を上回る強い内容だった場合、長期金利の上昇を手がかりにドル買いが入りやすい。一方、米国株式市場では、NYダウ平均、S&P500種、ナスダック総合指数など主要株価指数の過去最高値更新が相次いでいる。大幅な値上がりで過熱感も指摘されるが、主要株価指数が堅調に推移した場合、リスク選好的なムードが広がりやすい。株高を意識したリスク選好的な円売りが増えることでドル・円相場は底堅い動きを維持するとみられる。
なお、足元では米国内で新型コロナウイルスデルタ株のまん延が警戒されており、経済正常化への期待はやや後退している。感染者数の増加は懸念要因だが、アフガニスタン情勢の混迷でユーロ、豪ドルなどに対する米ドル買いも観測されており、この影響で米ドル・円相場が円高方向に大きく動く可能性は低いと予想される。
■来週の注目スケジュール
8月30日(月):小売売上高(7月)、欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(8月)、米・中古住宅販売成約指数(7月)、など
8月31日(火):有効求人倍率(7月)、鉱工業生産指数(7月)、消費者態度指数(8月)、中・製造業/非製造業PMI(8月)、米・消費者信頼感指数(8月)、米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(6月)、米軍のアフガニスタン撤退期限、など
9月1日(水): 4-6月期法人企業統計、製造業PMI(8月)、自動車販売台数(8月)、中・財新製造業PMI(8月)、欧・米・製造業PMI(8月)、米・ADP全米雇用報告(8月)、米・ISM製造業景況指数(8月)、米・自動車販売(8月、2日までに)、「OPECプラス」閣僚級会合、など
9月2日(木):モビルス/メディア総研が東証マザーズに新規上場、米・製造業受注(7月)、米・貿易収支(7月)、など
9月3日(金):日・欧・米・サービス業PMI(8月)、中・財新サービス業PMI(8月)、米・ISM非製造業景況指数(8月)、米・雇用統計(8月)、など
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