来週の相場で注目すべき3つのポイント:安川電機決算、新興IPO2社、米雇用統計など
[21/10/02]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限29500-下限28500円
来週の日経平均は戻りを試す展開か。米中に関する外部環境の不透明感が引き続き上値抑制要因となるが、新政権への期待もまだ残されており、今週の急落からの自律反発も相まって、相対的には戻りが期待される。
米国では債務上限問題が残っているが、これは与野党の間のいわば政治的チキンレース。デフォルトなど誰も望んでいないことは確かで、最終的には避けられる問題と考える。過去にも同様の背景から相場が一時的に調整したことはあるが、長く影響を及ぼしたことはなく、過度な不安は必要ないと考える。
他方、中国の恒大集団をきっかけに台頭した不動産業の資金繰り問題については複雑だ。中国の大手銀行に占める不動産企業向け融資の割合は1割に及ばないほか、有利子負債の自己資本に占める割合も大きくない。また、同国では銀行の大半が国有企業であるため、金融システムに波及する可能性は低い。
一方、習近平政権の掲げる“共同富裕”の達成に向けた動きから、政府が安易な救済策を施すことは考えにくく、ソフトランディングとはいえ、不動産業はバブルが崩壊し縮小方向に向かうことが想定される。また、政府の環境規制強化など複数の事情が重なり、中国では深刻な電力不足が起きている。これらから、中国の実体経済への影響が懸念される。そのほか、欧州でのガス価格高騰などインフレ懸念も幅広い方面でくすぶる。
こうした中国の景気減速や世界的なインフレがもたらす実体経済への影響を警戒し、10月下旬から本格化する日米主要企業の7-9月期決算で示される先行き見通しにも警戒感が伴う。投資家心理も悪化しており、企業決算を確認するまでは積極的な買いは期待しにくい。
一方、今週末に日経平均は急落し29000円を割り込んだが、国慶節入りで中国・香港市場が休場だったため、アジア株売りの動きが東京市場に集中したことが下落に拍車をかけた可能性もある。突っ込み気味に下げた印象もあり、自律反発狙いの押し目買いなども入りやすいだろう。
また、今後は組閣人事や衆院選に向けた経済対策への期待が下値を支えることが想定される。海外からの人気が高かった河野太郎氏が敗れたことで、日本政治に対する海外投資家の見方がややトーンダウンした印象は否めないが、新内閣の動き次第では再評価の可能性も残される。機運が高まれば衆院選に向けた株高アノマリーへの意識も強まろう。
最後に物色面では、国内外の機関投資家が取引の中心となる時価総額の大きい東証1部の主力株に関しては、7-9月期決算を確認するまでは大きな動きが期待しにくいだろう。そうした意味では、先行指標となる週末の安川電機<6506>の決算には注目だ。一方、中小型を対象にDX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素などのテーマ性のある銘柄の押し目買いには妙味がありそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和策の早期縮小観測は後退していない。10月8日発表の9月雇用統計が注目されており、雇用情勢の改善が示された場合、ドル買いに振れる展開となりそうだ。良好な経済指標を受けて地区連銀総裁などFRB関係者が量的緩和策の早期縮小を支持する見解を伝える可能性があることもドル買いの支援要因となろう。
ただ、中国恒大集団が債務不履行に陥るとの懸念は消えていないこと、米国株式は、インフレ率の高止まりや債務上限の引き上げを巡って与野党の対立は解消されていないことから、持続的な株高への期待は高まっていない。目先的にリスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。ドル・円は今年7月に付けた年初来高値を上抜け、一時112円台前半まで上昇したが、その後111円台前半まで下げている。112円近辺では利益確定を狙ったドル売りが観測されたが、新たなドル買い材料が提供されない場合、利益確定を狙ったドル売り・円買いは継続し、112円近辺の抵抗感は一段と強まる可能性もある。
■来週の注目スケジュール
10月4日(月):臨時国会召集(第100代首相に自民党の岸田総裁が選出され新内閣が発足する見通し)、米・製造業受注(8月)、「OPECプラス」閣僚級会合、中・株式市場は祝日のため休場(国慶節、7日まで)など
10月5日(火):日・欧・米・総合/サービス業PMI(9月)、需給ギャップと潜在成長率(日本銀行)、米・ISM非製造業景況指数(9月)、米・マイクロソフトが「ウィンドウズ11」提供開始、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会(6日まで)など
10月6日(水):米・ADP全米雇用報告(9月)など
10月7日(木):景気動向指数(8月)、東京オフィス空室率(9月)、ワンキャリアが東証マザーズに新規上場など
10月7日(金):家計支出(8月)、実質賃金総額(8月)、貿易収支(8月)、日本エコシステムが東証2部・名証2部に新規上場、決算発表:安川電機、中・財新サービス業PMI(9月)、米・雇用統計(9月)、韓・決算発表:サムスン電子など
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予想レンジ:上限29500-下限28500円
来週の日経平均は戻りを試す展開か。米中に関する外部環境の不透明感が引き続き上値抑制要因となるが、新政権への期待もまだ残されており、今週の急落からの自律反発も相まって、相対的には戻りが期待される。
米国では債務上限問題が残っているが、これは与野党の間のいわば政治的チキンレース。デフォルトなど誰も望んでいないことは確かで、最終的には避けられる問題と考える。過去にも同様の背景から相場が一時的に調整したことはあるが、長く影響を及ぼしたことはなく、過度な不安は必要ないと考える。
他方、中国の恒大集団をきっかけに台頭した不動産業の資金繰り問題については複雑だ。中国の大手銀行に占める不動産企業向け融資の割合は1割に及ばないほか、有利子負債の自己資本に占める割合も大きくない。また、同国では銀行の大半が国有企業であるため、金融システムに波及する可能性は低い。
一方、習近平政権の掲げる“共同富裕”の達成に向けた動きから、政府が安易な救済策を施すことは考えにくく、ソフトランディングとはいえ、不動産業はバブルが崩壊し縮小方向に向かうことが想定される。また、政府の環境規制強化など複数の事情が重なり、中国では深刻な電力不足が起きている。これらから、中国の実体経済への影響が懸念される。そのほか、欧州でのガス価格高騰などインフレ懸念も幅広い方面でくすぶる。
こうした中国の景気減速や世界的なインフレがもたらす実体経済への影響を警戒し、10月下旬から本格化する日米主要企業の7-9月期決算で示される先行き見通しにも警戒感が伴う。投資家心理も悪化しており、企業決算を確認するまでは積極的な買いは期待しにくい。
一方、今週末に日経平均は急落し29000円を割り込んだが、国慶節入りで中国・香港市場が休場だったため、アジア株売りの動きが東京市場に集中したことが下落に拍車をかけた可能性もある。突っ込み気味に下げた印象もあり、自律反発狙いの押し目買いなども入りやすいだろう。
また、今後は組閣人事や衆院選に向けた経済対策への期待が下値を支えることが想定される。海外からの人気が高かった河野太郎氏が敗れたことで、日本政治に対する海外投資家の見方がややトーンダウンした印象は否めないが、新内閣の動き次第では再評価の可能性も残される。機運が高まれば衆院選に向けた株高アノマリーへの意識も強まろう。
最後に物色面では、国内外の機関投資家が取引の中心となる時価総額の大きい東証1部の主力株に関しては、7-9月期決算を確認するまでは大きな動きが期待しにくいだろう。そうした意味では、先行指標となる週末の安川電機<6506>の決算には注目だ。一方、中小型を対象にDX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素などのテーマ性のある銘柄の押し目買いには妙味がありそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和策の早期縮小観測は後退していない。10月8日発表の9月雇用統計が注目されており、雇用情勢の改善が示された場合、ドル買いに振れる展開となりそうだ。良好な経済指標を受けて地区連銀総裁などFRB関係者が量的緩和策の早期縮小を支持する見解を伝える可能性があることもドル買いの支援要因となろう。
ただ、中国恒大集団が債務不履行に陥るとの懸念は消えていないこと、米国株式は、インフレ率の高止まりや債務上限の引き上げを巡って与野党の対立は解消されていないことから、持続的な株高への期待は高まっていない。目先的にリスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。ドル・円は今年7月に付けた年初来高値を上抜け、一時112円台前半まで上昇したが、その後111円台前半まで下げている。112円近辺では利益確定を狙ったドル売りが観測されたが、新たなドル買い材料が提供されない場合、利益確定を狙ったドル売り・円買いは継続し、112円近辺の抵抗感は一段と強まる可能性もある。
■来週の注目スケジュール
10月4日(月):臨時国会召集(第100代首相に自民党の岸田総裁が選出され新内閣が発足する見通し)、米・製造業受注(8月)、「OPECプラス」閣僚級会合、中・株式市場は祝日のため休場(国慶節、7日まで)など
10月5日(火):日・欧・米・総合/サービス業PMI(9月)、需給ギャップと潜在成長率(日本銀行)、米・ISM非製造業景況指数(9月)、米・マイクロソフトが「ウィンドウズ11」提供開始、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会(6日まで)など
10月6日(水):米・ADP全米雇用報告(9月)など
10月7日(木):景気動向指数(8月)、東京オフィス空室率(9月)、ワンキャリアが東証マザーズに新規上場など
10月7日(金):家計支出(8月)、実質賃金総額(8月)、貿易収支(8月)、日本エコシステムが東証2部・名証2部に新規上場、決算発表:安川電機、中・財新サービス業PMI(9月)、米・雇用統計(9月)、韓・決算発表:サムスン電子など
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