国内株式市場見通し:日米決算発表本格化、年末相場の行方を占う
[21/10/23]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 市況・概況
■週後半に需給要因で大幅下落
今週の日経平均は反落。週間の下げ幅は263.78円(-0.91%)となり、終値で29000円を割り込んだ。来週から本格化する国内企業決算を前に様子見姿勢が強いなか、インフレ懸念や米長期金利の先高観が引き続き警戒された。一方、米国で主要企業の好決算が相次いだことが投資家心理を明るくさせた。日経平均は週半ばまで下値と上値を切り上げる動きが続き、20日は一時29489.11円まで上値を伸ばした。
しかし、週後半21日は一転して546.97円安と急反落し、29000円を割り込んだ。米長期金利の上昇が警戒されるなか、半導体製造装置の蘭ASMLが決算発表後に売られ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が下落したことで東京市場でも値がさハイテク株が崩れた。心理的な節目の29000円手前では下げ渋る動きも見られたが、正午頃から香港株が下落に転じると短期筋の先物売りが嵩むみ、午後から急速に下げ足を速める展開に。また、日本郵政<6178>の政策保有株売却に伴う国内勢のヘッジ売りも相まったようで、東京市場だけが独歩安を強める様相となった。
週末22日も寄り付き直後は売り優勢の流れが続いたが、前日からの突っ込み警戒感もあり、心理的な節目の28500円を手前に下げ渋る展開に。また、経営危機に揺れる中国恒大集団が23日に猶予期限が切れる米ドル債の利払いを実施すると伝わったことで安心感が台頭すると、一時は28989.50円まで値を戻した。しかし、来週からの企業決算や月末の衆院選投開票を前に様子見姿勢の投資家も多く、戻り待ちの売りに押されると、結局、29000円を回復できずに週を終えた。
■決算本格化も衆院選前に様子見か
来週の日経平均はもみ合いか。いよいよ国内でも7-9月期の企業決算発表が本格化する。週前半から注目度の高い決算が相次ぐ。上期実績の上振れ度合いや下期の見通し、通期計画の上方修正幅などがポイントとなる。今週はディスコ<6146>が好調な決算を発表し、週末に半導体関連株が軒並み急伸するなど、素直に内容を評価する動きが見られた(むろん、蘭ASMLの決算を受けた前日の下落の反動もあるが)。不動産業を中心とした中国経済の減速のほか、供給網の混乱や世界的な電力不足、資源価格の上昇などを背景に、今回の決算に対してはかなり警戒感が強い。その分、期待値は高くないともいえ、良好な決算となれば、ディスコのように素直に反応するケースが多く見られる可能性がある。
米国も同様。既に決算発表済みのうち、S&P500種株価指数を構成する企業の8割程が事前予想を上回り、株価の上昇する銘柄が目立った。米国でも今回の決算に対する警戒感が強かったため、予想を上回る内容に対しては素直に好感するケースが多いようだ。
その米国では、来週はフェイスブック、グーグルを傘下に有するアルファベット、マイクロソフト、アップル、アマゾンなどいわゆるGAFAM銘柄の決算が相次ぐ。これら大型テック企業の相場への影響力は大きいため、非常に注目される。参考材料としては、同様の人気を誇るハイテク企業でネットフリックスとテスラが既に決算を発表しているが、どちらも好決算で株価は大幅に上昇、揃って上場来高値を更新している。日本の主力製造業および米大型ハイテク企業の決算後の反応が、年末に向けた相場の方向性を決める可能性が高く、決算後の株価反応をしっかりと見極めたい。
他方、月末31日に衆院選の投開票が行われる。来夏の参院選も見据えるなか、自民党の獲得議席数を巡っては不安視する向きも多い様子。政権基盤の不安定化は、海外投資家の嫌うところでもあり、投開票結果を見極めるまでは様子見する投資家も多いと予想される。
また、引き続きインフレ懸念や金利動向には注意が必要だ。今週、米10年債利回りと期待インフレ率の指標とされる米ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は一段と大きく上昇した。米10年債利回りは一時約7カ月ぶりとなる1.69%まで上昇、米BEIに至っては、2.64%と急伸し、5月に付けた高値2.51%を大幅に上回る水準にまで上昇した。上昇が止まらないと、企業の好決算でも相殺できない恐れがあり、注意したい。
■半導体株が再び相場のけん引役となるか
相次ぐ決算の中でも相場のけん引役として期待される半導体株に注目。今週は蘭ASMLの決算が一時的な波乱要因となったが、その後はすぐに持ち直した。ディスコの好決算も予想を大幅に上回るもので改めて業界に対する期待が高まっている様子。来週はSCREENHD<7735>、HOYA<7741>、アドバンテスト<6857>の決算があり、予想超過の決算が相次けば、半導体株の見直し機運が一層高まりそうだ。株価反応は翌週となるが、週末のレーザーテック<6920>にも注目だ。
■米7-9月期GDP、米9月個人支出・個人所得など
来週は26日に米8月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米10月消費者信頼感指数、米9月新築住宅販売、27日に日銀金融政策決定会合(〜10月28日)、米9月耐久財受注、28日に黒田日銀総裁会見、米7-9月期国内総生産(GDP)速報値、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、29日に9月失業率・有効求人倍率、9月鉱工業生産、9月住宅着工統計、米9月個人支出・個人所得、ユーロ圏7-9月期GDPが予定されている。
<FA>
今週の日経平均は反落。週間の下げ幅は263.78円(-0.91%)となり、終値で29000円を割り込んだ。来週から本格化する国内企業決算を前に様子見姿勢が強いなか、インフレ懸念や米長期金利の先高観が引き続き警戒された。一方、米国で主要企業の好決算が相次いだことが投資家心理を明るくさせた。日経平均は週半ばまで下値と上値を切り上げる動きが続き、20日は一時29489.11円まで上値を伸ばした。
しかし、週後半21日は一転して546.97円安と急反落し、29000円を割り込んだ。米長期金利の上昇が警戒されるなか、半導体製造装置の蘭ASMLが決算発表後に売られ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が下落したことで東京市場でも値がさハイテク株が崩れた。心理的な節目の29000円手前では下げ渋る動きも見られたが、正午頃から香港株が下落に転じると短期筋の先物売りが嵩むみ、午後から急速に下げ足を速める展開に。また、日本郵政<6178>の政策保有株売却に伴う国内勢のヘッジ売りも相まったようで、東京市場だけが独歩安を強める様相となった。
週末22日も寄り付き直後は売り優勢の流れが続いたが、前日からの突っ込み警戒感もあり、心理的な節目の28500円を手前に下げ渋る展開に。また、経営危機に揺れる中国恒大集団が23日に猶予期限が切れる米ドル債の利払いを実施すると伝わったことで安心感が台頭すると、一時は28989.50円まで値を戻した。しかし、来週からの企業決算や月末の衆院選投開票を前に様子見姿勢の投資家も多く、戻り待ちの売りに押されると、結局、29000円を回復できずに週を終えた。
■決算本格化も衆院選前に様子見か
来週の日経平均はもみ合いか。いよいよ国内でも7-9月期の企業決算発表が本格化する。週前半から注目度の高い決算が相次ぐ。上期実績の上振れ度合いや下期の見通し、通期計画の上方修正幅などがポイントとなる。今週はディスコ<6146>が好調な決算を発表し、週末に半導体関連株が軒並み急伸するなど、素直に内容を評価する動きが見られた(むろん、蘭ASMLの決算を受けた前日の下落の反動もあるが)。不動産業を中心とした中国経済の減速のほか、供給網の混乱や世界的な電力不足、資源価格の上昇などを背景に、今回の決算に対してはかなり警戒感が強い。その分、期待値は高くないともいえ、良好な決算となれば、ディスコのように素直に反応するケースが多く見られる可能性がある。
米国も同様。既に決算発表済みのうち、S&P500種株価指数を構成する企業の8割程が事前予想を上回り、株価の上昇する銘柄が目立った。米国でも今回の決算に対する警戒感が強かったため、予想を上回る内容に対しては素直に好感するケースが多いようだ。
その米国では、来週はフェイスブック、グーグルを傘下に有するアルファベット、マイクロソフト、アップル、アマゾンなどいわゆるGAFAM銘柄の決算が相次ぐ。これら大型テック企業の相場への影響力は大きいため、非常に注目される。参考材料としては、同様の人気を誇るハイテク企業でネットフリックスとテスラが既に決算を発表しているが、どちらも好決算で株価は大幅に上昇、揃って上場来高値を更新している。日本の主力製造業および米大型ハイテク企業の決算後の反応が、年末に向けた相場の方向性を決める可能性が高く、決算後の株価反応をしっかりと見極めたい。
他方、月末31日に衆院選の投開票が行われる。来夏の参院選も見据えるなか、自民党の獲得議席数を巡っては不安視する向きも多い様子。政権基盤の不安定化は、海外投資家の嫌うところでもあり、投開票結果を見極めるまでは様子見する投資家も多いと予想される。
また、引き続きインフレ懸念や金利動向には注意が必要だ。今週、米10年債利回りと期待インフレ率の指標とされる米ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は一段と大きく上昇した。米10年債利回りは一時約7カ月ぶりとなる1.69%まで上昇、米BEIに至っては、2.64%と急伸し、5月に付けた高値2.51%を大幅に上回る水準にまで上昇した。上昇が止まらないと、企業の好決算でも相殺できない恐れがあり、注意したい。
■半導体株が再び相場のけん引役となるか
相次ぐ決算の中でも相場のけん引役として期待される半導体株に注目。今週は蘭ASMLの決算が一時的な波乱要因となったが、その後はすぐに持ち直した。ディスコの好決算も予想を大幅に上回るもので改めて業界に対する期待が高まっている様子。来週はSCREENHD<7735>、HOYA<7741>、アドバンテスト<6857>の決算があり、予想超過の決算が相次けば、半導体株の見直し機運が一層高まりそうだ。株価反応は翌週となるが、週末のレーザーテック<6920>にも注目だ。
■米7-9月期GDP、米9月個人支出・個人所得など
来週は26日に米8月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米10月消費者信頼感指数、米9月新築住宅販売、27日に日銀金融政策決定会合(〜10月28日)、米9月耐久財受注、28日に黒田日銀総裁会見、米7-9月期国内総生産(GDP)速報値、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、29日に9月失業率・有効求人倍率、9月鉱工業生産、9月住宅着工統計、米9月個人支出・個人所得、ユーロ圏7-9月期GDPが予定されている。
<FA>