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米国株式市場見通し:小売決算や小売売上高に注目

注目トピックス 市況・概況
小売り決算や10月小売売上高に注目したい。10月小売売上高は3カ月連続の増加で、伸びは9月から拡大する見込み。サプライチェーン混乱が持続する中、新型コロナウイルスの変異株感染が一段落し、累積需要などから消費の強い回復が示されると、景気循環株がけん引し相場を再び引き上げるだろう。サプライチェーン混乱による品不足を警戒し、今年の年末商戦は前倒しで開始されていることが報告されている。小売売上高のポジティブサプライズはさらなる上昇要因になるだろう。小売り決算では、年末商戦に向けた各社の対応にも注目だ。JPモルガンのアナリストは同社のクレジットカード利用データからも10月、11月の非常に強い消費動向が確認されていることを明らかにしており、年末にかけ小売り関連がけん引した上昇が期待できそうだ。

一方、FRBが主要なインフレ指標として注視している10月コアCPIが30年ぶりの大幅な伸びを記録したため、量的緩和縮小ペースを計画より速め来年6月前に終了し、利上げを開始するとの思惑が上昇を抑制する可能性も考えられる。しかし、現在のところ、FRBは金融緩和の解消を計画通り進めるとの見方が依然本流だ。FRBが1カ月のみの指標で、現行の計画を修正するとも考えにくい。インフレ高進が2022年まで持続する懸念は残るが、インフレは必ずしも株式相場のマイナス要因にはならない。インフレの環境下で株価は上昇する傾向にある。また、株式は無秩序な物価上昇にならない限り、インフレ圧力に対するヘッジの一つとして有力な金融資産のひとつとして考えられている。ただ、万が一、1970年代、1980年代のように2桁台のインフレとなった場合には、株式相場にもマイナス材料として働くため注意が必要だ。次期FRB議長を巡り、バイデン大統領が民主党でハト派のブレイナード理事を指名するとの思惑が強まりつつある中、パウエル議長の再任の行方にも引き続き注目だ。

経済指標では、11月二ューヨーク連銀製造業景気指数(15日)、10月小売売上高、10月輸入物価指数、10月鉱工業生産・設備稼働率、9月企業在庫、11月NAHB住宅市場指数、9月対米証券投資(16日)、10月住宅着工件数・建設許可件数(17日)、新規失業保険申請件数、11月フィラデルフィア連銀景況指数、10月景気先行指数(18日)などが予定されている。15日には米中首脳のビデオ会議が開催される予定。気候問題が主要議題になるとみられる。中国主席はバイデン大統領を北京五輪に招待する見込みと報じられている。

主要企業決算では、食品関連で肉食品メーカーのタイソン・フーズ、食品メーカーのJ&Jスナックフーズ(15日)、小売り関連では、ホームセンター運営のホームデポ(16日)やロウズ(17日)のほか、ディスカウント小売りのウォルマート(16日)やターゲット、衣料品小売りのTJマックス、衣料・装飾品小売りのビクトリアズシークレット、オーディオ機器のソノス(17日)、パーソナルケア製品メーカーのバス&ボディワークス(18日)、履物販売のフットロッカー(19日)、百貨店ではメーシーズやコールズ(18日)、加えて、半導体メーカーのエヌビディア(17日)やアプライド・マテリアルズ(18日)、ネットワーク機器メーカーのシスコシステムズ(17日)などが予定されている。

ディスカウント小売り、ホームセンター、パーソナルケアや化粧品関連の小売りでは、オンラインのみならず、経済活動の再開に伴う実店舗での売り上げ増加でサプライチェーン混乱絡みのコストの上昇を十分に補えたと期待できる。反して、他のセクターに比べても食品関連は引き続きサプライチェーン混乱や工場、輸送などでの人手不足が響きコストの大幅上昇が見込まれ、業績に影響する可能性に警戒だ。

(Horiko Capital Management LLC)




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