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米国株式市場見通し:ウクライナ情勢、パウエルFRB議長の議会証言に注目

注目トピックス 市況・概況
ウクライナ情勢や連邦準備制度理事会(FRB)の利上げを警戒し、引き続き神経質で方向感を探る荒い展開になりそうだ。FRBの金融政策決定で鍵を握る雇用統計が発表されるほか、パウエル議長が金融政策に関する半年に一度の議会証言を予定しており、利上げやバランスシート縮小のタイミングやペースを探る上で注目したい。また、地政学リスクの上昇やエネルギー価格の高騰、高インフレが長期化するなか、バイデン大統領は就任後、初めての一般教書演説を3月1日に予定しており、注目だ。

ロシアはウクライナ軍事侵攻に踏み切り、全土制圧を目指しているようだ。ソ連崩壊から30年、「大国復活」へのプーチン大統領の野望は大きく、NATO諸国への侵攻の可能性など行方が依然不透明で乱高下が続きそうだ。ロシアへの依存度が低く、国内経済への影響は今のところ限定的だ。しかし、供給不安から石油などの燃料価格の上昇が避けられないほか、様々な容器、自動車部品に使われるアルミニウムなどの貴金属はロシアが主要原産国で、商品価格の上昇に繋がり、さらなる物価上昇要因になりかねないため、警戒だ。

サプライチェーン混乱も完全に終息しておらず、加えて、燃料価格の上昇は今後の景気にも影響を与えかねない。ただ、ウォールストリートジャーナル紙によると、市場ではすでに弱気派が増え、オプションなどを利用し、相場下落を準備している投資家・投機家も多いという。ウクライナ状況次第で短期的に売りに拍車がかかったとしても、下値を支える要因になりそうだ。

地政学リスクの上昇を認識しながらも、FRBの高官は金融引き締めの軌道を修正する意向は見せておらず、3月中旬の連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げを開始する可能性が高まっている。大幅な利上げ観測も根強く、上値が抑制される要因になるだろう。

経済指標では、1月前渡商品貿易収支、1月卸売在庫、2月シカゴPMI、2月ダラス連銀製造業活動指数(28日)、2月マークイット製造業PMI確定、1月建設支出、2月ISM製造業景況指数(3月1日)、2月ADP雇用統計(2日)、10-12月期非農業労働生産性・単位人件費、週次新規失業保険申請件数、2月サービス業PMI、2月ISM非製造業景況指数、1月製造業受注、1月耐久財受注(3日)、2月雇用統計(4日)などが予定されている。

さらに、FRBは2日にベージュブック(地区連銀景況報告)を公表する予定。この結果は、3月15-16日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策を決定する上で材料になる。各地区が物価、特に賃金の上昇や労働市場の逼迫を強調した場合、FRBの利上げをさらに正当化することになるだろう。

主要企業決算では著名投資家のバフェット氏が率いる保険会社バークシャー・ハサウェイ(26日)、コンピューターメーカーのHP、高級電気自動車メーカーのルシド、ビデオ会議サービスを提供するズーム・ビデオ(28日)、企業向けソフトウェアの開発に従事するセールスフォース、ディスカウント小売りのターゲット(3月1日)、同業のダラーツリー、ソフトウェア開発会社のオクタ、クラウドソフトウェア会社のスノーフレーク(2日)、会員制卸売小売りのコストコホールセール、スーパーマーケットチェーンのクローガー、医薬品メーカーのメルク(3日)に加え、衣料小売りではアメリカンイーグル(2日)やギャップ(3日)などが予定されている。

コストコは1株利益が前年同期を上回る好決算が期待される。ただ、サプライチェーン混乱やオミクロン株流行の影響、人手不足などがどの程度利益を圧迫したかに注目だ。ダラーツリーは値上げ後の収益拡大に期待したい。また、バフェット氏の投資家向け報告の中では、サプライチェーンの混乱、インフレ他のマクロ問題に関する言及に注目だ。さらに、携帯端末アップルは4日に年次株主総会を開催予定。昨年に続きオンライン上での開催となり、クック最高経営責任者(CEO)が示す長期経営方針に関する言及に注目したい。

(Horiko Capital Management LLC)




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