来週の相場で注目すべき3つのポイント:米ISM景気指数、中国財新PMI、OPECプラス
[22/07/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限28400円-下限27000円
来週の東京株式市場はもみ合いか。週末に発表される米7月雇用統計を前に全体は様子見となりそうだ。国内では決算発表が本格化しており、決算を受けた個別株物色が中心となろう。
他方、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する7月製造業景気指数や中国7月財新製造業PMIなど重要な景気指標が発表される。米ISM製造業景気指数は前回6月分が予想を大きく下回って大幅に悪化した。前月並みが予想されている7月分も更に低下すると、投資家心理を悪化させそうだ。中国財新PMIも、「ゼロコロナ」政策による行動制限が続けていられるなか、今回の7月分は回復が鈍い可能性がある。エネルギー価格の高騰に苦しんでいる欧州を含め、世界経済の中心である米・中・欧の3地域の景気低迷は相場全体の重荷になろう。
週半ば以降に予定されている石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国で構成されるOPECプラス会合と英国金融政策委員会にも注目。バイデン米大統領は先日、サウジアラビアのムハンマド皇太子などと会談し、原油増産を要請したが、その後明確な増産メッセージは伝えられていない。OPECプラスの結果が米国の要請を意に介さない結果となれば、原油先物価格が再び上昇する可能性がある。インフレが加速中の英国では大幅な利上げの可能性があり、利上げ幅によっては再びグローバルな金融引き締め懸念が台頭する可能性があろう。
7月26〜27日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の後、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は次回9月会合の利上げ幅は「経済データ次第」とした。議長は会見で消費や雇用の減速を認識したこともあり、市場は景気後退に伴う利上げペース減速への期待を高めている。しかし、FRBは依然としてインフレ抑制を最優先事項として掲げている。その物価指標にまだ明確な減速の兆しは見られていない。インフレピークアウトの根拠とされる資源価格の下落も、足元では一服。むしろ、原油先物価格は反発しており、天然ガス価格は欧米で急騰中だ。米雇用統計での平均賃金の伸びも高水準が続いている。週末に発表される雇用統計で平均賃金に減速の傾向が確認されなければ、翌週8月10日に控える米7月消費者物価指数(CPI)の発表を前に再び警戒感が高まりそうだ。
米国では主要株価3指数が揃って100日移動平均線を回復。「悪いニュースは良いニュース」といった捉え方が続いており、買い戻しや商品投資顧問(CTA)などの買いも入っているようだ。しかし、主要企業の決算を大方終え、材料不足のなか、行き過ぎた悲観の修正が長期化するとは考えにくい。日経平均も大きくリバウンドしてきたが、節目の28000円回復には至っておらず、一段高には材料不足の様子。これまで欧米株対比での日本株の底堅さに繋がってきた為替の円安・ドル高もピーク時に付けた1ドル=139円台から大きく円高・ドル安に傾いてきており、支援要因が無くなってきている。景気後退懸念が深まるなか、グローバルな景気敏感株とも称される日本株にとっては逆風が強くなっているともいえ、日経平均の28000円定着には時間がかかりそうか。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース鈍化が見込まれており、長期金利がさらに低下した場合、ドル売り・円買いを促す展開となりそうだ。ただ、米国の景気後退(リセッション)入りの懸念が後退すればドルを買い戻す動きが広がることも考えられる。7月26〜27日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBはFF金利を0.75pt引き上げ、2.25〜2.50%とした。パウエルFRB議長はインフレ抑止を強調する一方、今後利上げペースを緩める可能性にも言及しており、今後の経済指標にらみの展開が予想される。
来週は7月雇用統計や新規失業保険申請件数など雇用関連統計の発表が予定されている。8月5日発表の7月雇用統計で失業率は横ばいの見通しだが、非農業部門雇用者数は6月実績を下回ると予想されている。一方、28日に発表された米4-6月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+0.5%の予想に反し、-0.9%と1-3月期に続きマイナス成長となったが、バイデン政権は歴史的低水準の失業率を挙げ、雇用情勢の改善を理由にリセッション入りを認定しない方向のようだ。景気減速の疑念は根強く残るものの、景気回復の持続という政府の判断が消費マインドの悪化を抑え込み、株安・金利安・ドル安を回避する見通しだ。
企業決算もピークを迎え、ウォルマートの業績見通し下方修正などで消費減退が見込まれるものの、米国株式が堅調ならドル売り・円買いを弱める要因となりそうだ。日米の金融政策は大きく異なっており、金利差拡大の基調は続く見込みであることから、リスク選好的なドル買い・円売りが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
8月1日(月):日・欧・米・製造業PMI(7月)、日・自動車販売台数(7月)、中・財新製造業PMI(7月)、米・ISM製造業景況指数(7月)など
8月2日(火):日・日本ビジネスシステムズが東証スタンダードに新規上場、米・JOLT求人件数(6月)、米・セントルイス連銀総裁が講演など
8月3日(水):日・欧・米・サービス業PMI(7月)、中・財新サービス業PMI(7月)、米・ISM非製造業景況指数(7月)、「OPECプラス」閣僚級会合など
8月4日(木):英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、米・貿易収支(6月)、米・クリーブランド連銀総裁が講演など
8月5日(金):日・家計支出(6月)、日・景気動向指数(6月)、日・クラシコムが東証グロースに新規上場、米・雇用統計(7月)、米・消費者信用残高(6月)など
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予想レンジ:上限28400円-下限27000円
来週の東京株式市場はもみ合いか。週末に発表される米7月雇用統計を前に全体は様子見となりそうだ。国内では決算発表が本格化しており、決算を受けた個別株物色が中心となろう。
他方、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する7月製造業景気指数や中国7月財新製造業PMIなど重要な景気指標が発表される。米ISM製造業景気指数は前回6月分が予想を大きく下回って大幅に悪化した。前月並みが予想されている7月分も更に低下すると、投資家心理を悪化させそうだ。中国財新PMIも、「ゼロコロナ」政策による行動制限が続けていられるなか、今回の7月分は回復が鈍い可能性がある。エネルギー価格の高騰に苦しんでいる欧州を含め、世界経済の中心である米・中・欧の3地域の景気低迷は相場全体の重荷になろう。
週半ば以降に予定されている石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国で構成されるOPECプラス会合と英国金融政策委員会にも注目。バイデン米大統領は先日、サウジアラビアのムハンマド皇太子などと会談し、原油増産を要請したが、その後明確な増産メッセージは伝えられていない。OPECプラスの結果が米国の要請を意に介さない結果となれば、原油先物価格が再び上昇する可能性がある。インフレが加速中の英国では大幅な利上げの可能性があり、利上げ幅によっては再びグローバルな金融引き締め懸念が台頭する可能性があろう。
7月26〜27日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の後、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は次回9月会合の利上げ幅は「経済データ次第」とした。議長は会見で消費や雇用の減速を認識したこともあり、市場は景気後退に伴う利上げペース減速への期待を高めている。しかし、FRBは依然としてインフレ抑制を最優先事項として掲げている。その物価指標にまだ明確な減速の兆しは見られていない。インフレピークアウトの根拠とされる資源価格の下落も、足元では一服。むしろ、原油先物価格は反発しており、天然ガス価格は欧米で急騰中だ。米雇用統計での平均賃金の伸びも高水準が続いている。週末に発表される雇用統計で平均賃金に減速の傾向が確認されなければ、翌週8月10日に控える米7月消費者物価指数(CPI)の発表を前に再び警戒感が高まりそうだ。
米国では主要株価3指数が揃って100日移動平均線を回復。「悪いニュースは良いニュース」といった捉え方が続いており、買い戻しや商品投資顧問(CTA)などの買いも入っているようだ。しかし、主要企業の決算を大方終え、材料不足のなか、行き過ぎた悲観の修正が長期化するとは考えにくい。日経平均も大きくリバウンドしてきたが、節目の28000円回復には至っておらず、一段高には材料不足の様子。これまで欧米株対比での日本株の底堅さに繋がってきた為替の円安・ドル高もピーク時に付けた1ドル=139円台から大きく円高・ドル安に傾いてきており、支援要因が無くなってきている。景気後退懸念が深まるなか、グローバルな景気敏感株とも称される日本株にとっては逆風が強くなっているともいえ、日経平均の28000円定着には時間がかかりそうか。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース鈍化が見込まれており、長期金利がさらに低下した場合、ドル売り・円買いを促す展開となりそうだ。ただ、米国の景気後退(リセッション)入りの懸念が後退すればドルを買い戻す動きが広がることも考えられる。7月26〜27日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBはFF金利を0.75pt引き上げ、2.25〜2.50%とした。パウエルFRB議長はインフレ抑止を強調する一方、今後利上げペースを緩める可能性にも言及しており、今後の経済指標にらみの展開が予想される。
来週は7月雇用統計や新規失業保険申請件数など雇用関連統計の発表が予定されている。8月5日発表の7月雇用統計で失業率は横ばいの見通しだが、非農業部門雇用者数は6月実績を下回ると予想されている。一方、28日に発表された米4-6月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+0.5%の予想に反し、-0.9%と1-3月期に続きマイナス成長となったが、バイデン政権は歴史的低水準の失業率を挙げ、雇用情勢の改善を理由にリセッション入りを認定しない方向のようだ。景気減速の疑念は根強く残るものの、景気回復の持続という政府の判断が消費マインドの悪化を抑え込み、株安・金利安・ドル安を回避する見通しだ。
企業決算もピークを迎え、ウォルマートの業績見通し下方修正などで消費減退が見込まれるものの、米国株式が堅調ならドル売り・円買いを弱める要因となりそうだ。日米の金融政策は大きく異なっており、金利差拡大の基調は続く見込みであることから、リスク選好的なドル買い・円売りが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
8月1日(月):日・欧・米・製造業PMI(7月)、日・自動車販売台数(7月)、中・財新製造業PMI(7月)、米・ISM製造業景況指数(7月)など
8月2日(火):日・日本ビジネスシステムズが東証スタンダードに新規上場、米・JOLT求人件数(6月)、米・セントルイス連銀総裁が講演など
8月3日(水):日・欧・米・サービス業PMI(7月)、中・財新サービス業PMI(7月)、米・ISM非製造業景況指数(7月)、「OPECプラス」閣僚級会合など
8月4日(木):英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、米・貿易収支(6月)、米・クリーブランド連銀総裁が講演など
8月5日(金):日・家計支出(6月)、日・景気動向指数(6月)、日・クラシコムが東証グロースに新規上場、米・雇用統計(7月)、米・消費者信用残高(6月)など
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