米国株式市場見通し:FOMCや主要ハイテク決算に注目
[23/01/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
連邦準備制度理事会(FRB)が開催する連邦公開市場委員会(FOMC)の結果や主要ハイテク企業の決算に注目だ。また、1月雇用統計や1月ISM製造業・非製造業景気指数など、重要経済指標にも注目したい。
FRBが果たして、任務終了の勝利宣言をするか、利上げ継続姿勢を維持するかに注目だ。FRBは今回の会合で12月会合に続き利上げペースを一段と減速し、伝統的な幅の0.25ptの利上げを実施する見込み。ブレイナード副議長は、今まで中銀が実施してきた利上げによるインフレや経済への影響をより正確に判断することが可能になると、小幅な利上げを支持する姿勢を見せた。声明やパウエル議長の会見では、最近のインフレ率の低下や景気、労働市場に関する言及に特に注目だ。
一方、最近の発言から、FRB高官はできるだけ速やかに政策金利を5%以上に引き上げる必要性があるとの考えを変えていないようだ。インフレがピークに達した兆候が見られる一方で、失業率は依然歴史的に低い水準で推移している。また、ハイテク企業だけでなく、主要企業各社が決算で、需要の急激な冷え込みに対処するため人員削減計画を発表しているにもかかわらず、週次の新規失業保険申請件数は予想外に減少を続けている。パウエル議長は1970年代オイルショック時のFRBの最大の間違いは「時期尚早の利下げ」だと言及しており、FRBが利上げを停止したとしても、年内利下げに踏み切るとは考え難い。労働市場のひっ迫を理由に議長が「まだ、やるべきことがある」と、タカ派姿勢を維持した場合は、相場のマイナス材料となるだろう。
他方、市場はインフレが急速に鈍化し、景気も減速してきているため、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)が5%に達することはないと見ており、中銀の見解とは依然乖離がある。最近の物価関連指標がインフレピークアウトの可能性を示す中、万が一、FRBが、利上げ停止が近づいた可能性を示唆した場合には相場を押し上げることになろう。
経済指標では、1月ダラス連銀製造業活動(30日)、10−12月期雇用コスト指数、11月FHFA住宅価格指数、S&P20都市住宅価格指数、1月MNIシカゴPMI、1月コンファレンスボード消費者信頼感指数(31日)、1月ADP雇用統計、1月製造業PMI確定値、1月ISM製造業景気指数、12月JOLTS求人件数(2月1日)、10−12月期非農業部門労働生産性、単位人件費、週次新規失業保険申請件数、12月製造業受注(2日)、1月雇用統計、1月ISM非製造業景気指数(3日)、などが発表予定となっている。さらに、FRBは1月31日から2月1日の2日間にわたりFOMCを開催する。
主要企業決算では、ハイテク関連で、ソーシャルメディアのフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(2月1日)、検索のグーグルを運営するアルファベット、オンライン小売のアマゾン、携帯端末のアップル(2日)など。半導体ではAMD(31日)、クアルコム(2日)。石油関連では、エクソン・モービル、マラソン・ペトロリアム(1月31日)、コノコフィリップス(2月2日)。また、ファーストフード・チェーンのマクドナルド、貨物運送会社のユナイテッド・パーセル・サービス(31日)、通信のTモバイル(2月1日)、コーヒーチェーンのスターバックス、自動車メーカーのフォード、製薬会社のイーライ・リリー(2日)、などが予定されている。
半導体企業は各社、軒並みパンデミック後の需要の大幅な鈍化見通しを示しており、警戒が必要だ。ハイテク企業は需要鈍化を織り込み、すでにパンデミック時に過剰に採用した人員の削減計画を発表。見通しに引き続き注目したい。アップルの決算では、中国の経済活動再開による影響などの見通しに注目。IBMやマイクロソフトの決算を参考に、アマゾンやアルファベット決算では、クラウドビジネスの低迷に警戒しておきたい。
(Horiko Capital Management LLC)
<FA>
FRBが果たして、任務終了の勝利宣言をするか、利上げ継続姿勢を維持するかに注目だ。FRBは今回の会合で12月会合に続き利上げペースを一段と減速し、伝統的な幅の0.25ptの利上げを実施する見込み。ブレイナード副議長は、今まで中銀が実施してきた利上げによるインフレや経済への影響をより正確に判断することが可能になると、小幅な利上げを支持する姿勢を見せた。声明やパウエル議長の会見では、最近のインフレ率の低下や景気、労働市場に関する言及に特に注目だ。
一方、最近の発言から、FRB高官はできるだけ速やかに政策金利を5%以上に引き上げる必要性があるとの考えを変えていないようだ。インフレがピークに達した兆候が見られる一方で、失業率は依然歴史的に低い水準で推移している。また、ハイテク企業だけでなく、主要企業各社が決算で、需要の急激な冷え込みに対処するため人員削減計画を発表しているにもかかわらず、週次の新規失業保険申請件数は予想外に減少を続けている。パウエル議長は1970年代オイルショック時のFRBの最大の間違いは「時期尚早の利下げ」だと言及しており、FRBが利上げを停止したとしても、年内利下げに踏み切るとは考え難い。労働市場のひっ迫を理由に議長が「まだ、やるべきことがある」と、タカ派姿勢を維持した場合は、相場のマイナス材料となるだろう。
他方、市場はインフレが急速に鈍化し、景気も減速してきているため、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)が5%に達することはないと見ており、中銀の見解とは依然乖離がある。最近の物価関連指標がインフレピークアウトの可能性を示す中、万が一、FRBが、利上げ停止が近づいた可能性を示唆した場合には相場を押し上げることになろう。
経済指標では、1月ダラス連銀製造業活動(30日)、10−12月期雇用コスト指数、11月FHFA住宅価格指数、S&P20都市住宅価格指数、1月MNIシカゴPMI、1月コンファレンスボード消費者信頼感指数(31日)、1月ADP雇用統計、1月製造業PMI確定値、1月ISM製造業景気指数、12月JOLTS求人件数(2月1日)、10−12月期非農業部門労働生産性、単位人件費、週次新規失業保険申請件数、12月製造業受注(2日)、1月雇用統計、1月ISM非製造業景気指数(3日)、などが発表予定となっている。さらに、FRBは1月31日から2月1日の2日間にわたりFOMCを開催する。
主要企業決算では、ハイテク関連で、ソーシャルメディアのフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(2月1日)、検索のグーグルを運営するアルファベット、オンライン小売のアマゾン、携帯端末のアップル(2日)など。半導体ではAMD(31日)、クアルコム(2日)。石油関連では、エクソン・モービル、マラソン・ペトロリアム(1月31日)、コノコフィリップス(2月2日)。また、ファーストフード・チェーンのマクドナルド、貨物運送会社のユナイテッド・パーセル・サービス(31日)、通信のTモバイル(2月1日)、コーヒーチェーンのスターバックス、自動車メーカーのフォード、製薬会社のイーライ・リリー(2日)、などが予定されている。
半導体企業は各社、軒並みパンデミック後の需要の大幅な鈍化見通しを示しており、警戒が必要だ。ハイテク企業は需要鈍化を織り込み、すでにパンデミック時に過剰に採用した人員の削減計画を発表。見通しに引き続き注目したい。アップルの決算では、中国の経済活動再開による影響などの見通しに注目。IBMやマイクロソフトの決算を参考に、アマゾンやアルファベット決算では、クラウドビジネスの低迷に警戒しておきたい。
(Horiko Capital Management LLC)
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