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コラム:米大統領選のカオス

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*09:00JST コラム:米大統領選のカオス
バイデン米大統領が2024年11月の大統領選へ再選を目指し、正式に出馬を表明。野党・共和党はトランプ前大統領が再登板に向けすでに立候補を決め、熱戦の火ぶたが切られました。ただ、前回と同じ顔合わせなら「遺恨試合」となり、すでにカオスが予想されます。


バイデン氏は4月25日、民主主義などアメリカの価値観再生を訴え、再選に意欲を示しました。しかし、直近の調査による支持率は40%程度と歴代最低水準で、特に無党派層の不人気が目立ちます。その主要因は経済、外交の拙い政策運営でしょう。ウクライナ戦争では欧米対非欧米の対立を激化させただけでなく、ロシアへの制裁はかえってエネルギー相場を高騰させ、世界的なインフレを引き起こしました。


米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ対応が遅れた分、ハイペースの利上げとなり、それが中堅金融機関の経営破たんにつながりました。NYダウは2021年1月の就任時に30800ドル付近でしたが、コロナ禍などの打撃で昨年は一時28000ドル台に失速。足元は33000ドル台に戻しているものの、今年後半に予想される景気後退(リセッション)が現実になれば、株安は避けられそうにありません。


一方、有力な対立候補となる野党・共和党のトランプ氏は先月、2016年の大統領選に関連した刑事事件で起訴されました。途上国ではリーダーが退任後に告発されることはよくありますが、アメリカで大統領経験者が刑事事件で起訴されるのも、返り咲きを狙った出馬も前代未聞です。仮に2024年の選挙で勝利した場合、自身の政治信条よりバイデン氏へのリベンジを優先した政策運営が見込まれます。


バイデン氏は大統領就任時に選挙で分断された国家を立て直すと宣誓したにもかかわらず、かえって亀裂を深めてしまいました。次期大統領選も2020年と同じ「バイデンVSトランプ」の顔合わせになれば、分断はさらに深刻化しそうです。仮にトランプ氏が勝利した場合、反トランプの有権者による一斉蜂起が考えられます。逆にトランプ氏が再び敗れれば、暴動の再発などが考えられます。


そうした事態が懸念されているためか、民主・共和両党の支持者を対象とした調査では、両氏以外の候補者を望んでいるとの回答が半数を超えました。現時点では民主党のロバート・ケネディ(RFKジュニア)氏が立候補を決め、共和党はデサンティス・フロリダ州知事がその方向。ただ、こちらの両氏は政府のワクチン政策に異議を唱えており、接種者と未接種者との対立に発展しかねず、やはり混乱の要因となりそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。



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