国内株式市場見通し:75日移動平均線突破を試す展開に、売買代金に注目
[24/08/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
*14:01JST 国内株式市場見通し:75日移動平均線突破を試す展開に、売買代金に注目
■エヌビディア不発で指数は小動き
今週の日経平均は週間で283.48円高(+0.74%)の38647.75円と上昇。NYダウが連日で史上最高値を更新したなか、注目された米半導体メーカーのエヌビディアの決算は市場予想の平均は上回る内容となったものの、一部の高い期待感には届かなかったことなどから株価は下落。エヌビディア決算が起爆剤とならなかったことから、ナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は方向感に欠ける展開に。一方、アドバンテスト<6857>や東京エレクトロン<8035>など半導体株が底堅い動きを見せたことから日経平均はしっかりとした展開に。8月30日は、月末最終営業日だったことで月末需給に絡んだ買い観測などもあり、75日移動平均線水準で取引を終えた。終値ベースでの月足チャートでは長い下影(下ヒゲ)を残し陰線となった。
なお、8月第3週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を4089億円売り越したほか、TOPIX先物を1442億円買い越し、225先物は2492億円買い越したことから、合計155億円の小幅売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を291億円売り越すなど合計で565億の小幅売り越し。なお、信託が現物を1362億円買い越した。
■75日線突破を試す展開に
8月30日の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比228.03ドル高(+0.55%)の41563.08ドル、ナスダックは同197.20ポイント高(+1.13%)の17713.63、S&P500は同56.44ポイント高(+1.01%)の5648.40で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比350円高の39060円で取引を終えた。
為替も1ドル=146円台まで円安ドル高が進行しており、週初の日経平均は75日移動平均線を突破し39000円台に乗せる公算が大きい。価格帯別売買高で商いが非常に多かった38000円台を一気に上回ることで、市場の目線は一段上の40000円が意識されそうだ。
ギャップアップスタート後、プライム市場の売買代金に注目したい。プライム市場の売買代金は、MSCIリバランスが入った8月30日を除くと4兆円に届いておらず、「閑散に売り無し」といった地合いだ。8月上旬の乱高下で70ポイント台まで急騰した日経平均VIは21ポイント台まで低下しており、市場は落ち着きを取り戻しつつある。ただ、9月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、19-20日の日本銀行の金融政策決定会合、9月末の自民党総裁選といった重要イベントを控えていることから、日米金融政策と日本の政治・政策の方向性が明確になるまで腰の据わった投資資金流入は難しいとの見方もある。
■米雇用関連の経済指標では円高加速の可能性も
来週の注目は、米雇用関連の経済指標となる。7月31日のFOMC声明文では、2年ほど使用していた「インフレのリスクにより注意を払う」という表現をやめて、「雇用とインフレの双方のリスクに注意を払う」との表現に変わった。今後は、インフレだけではなく雇用にも注意するという米連邦準備制度理事会(FRB)の意思表示である。そして、ジャクソンホール会議での講演でパウエルFRB議長は、「強い労働市場を支えるためにできることを何でもする」と語った。つまり来週の米雇用関連の経済指標が市場予想を大きく下回る内容となった場合、雇用を刺激するために9月FOMCでの0.50%利下げを実施する可能性がある。
9月FOMCを含め年内3回のFOMCが予定されているなか、市場は年内4回(1.0%)の利下げ実施を織り込んでいる。来週の米雇用関連の内容次第では9月FOMCでの0.5%利下げが強く意識されて、8月5日につけた1ドル=141円台を意識した円高ドル安が進む可能性はある。今週末のPCEデフレータが程よい数字だったことでいったん大幅利下げ観測は後退したが、FRBが最も重要視する雇用関連の結果次第で、市場のマインドは簡単に変わるだろう。
仮に141円台水準まで円高に振れた場合、円高メリット銘柄には追い風となりそうだが、日経平均は円安メリット銘柄の存在感が大きいことから先物主導で指数は下に動く展開となろう。一方、横ばい推移の25日移動平均線や200日移動平均線が37000円台前半に並んでいることから、8月上旬のような強烈な下落は回避されると想定。
■週末に米雇用統計
来週は、国内では、9月2日に4-6月設備投資、3日に8月マネタリーベース、5日に7月毎月勤労統計-現金給与総額、6日に7月景気動向指数(速報値)などが予定されている。
海外では、2日に中・8月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)、トルコ・8月製造業PMI、4-6月国内総生産(GDP)、3日に米・8月製造業PMI(改定値)、8月ISM製造業景気指数、4日に豪・4-6月GDP、中・8月財新サービス業/総合PMI、米・7月貿易収支、製造業新規受注、JOLTS求人件数、耐久財受注(確報値)、カナダ・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表、5日に英・8月建設業PMI、欧・7月ユーロ圏小売売上高、米・8月ADP全米雇用報告、週次新規失業保険申請件数、8月サービス業/総合PMI(改定値)、ISM非製造業景気指数、週次原油在庫、6日に欧・4-6月ユーロ圏GDP(確定値)、米・8月雇用統計などが予定されている。
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■エヌビディア不発で指数は小動き
今週の日経平均は週間で283.48円高(+0.74%)の38647.75円と上昇。NYダウが連日で史上最高値を更新したなか、注目された米半導体メーカーのエヌビディアの決算は市場予想の平均は上回る内容となったものの、一部の高い期待感には届かなかったことなどから株価は下落。エヌビディア決算が起爆剤とならなかったことから、ナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は方向感に欠ける展開に。一方、アドバンテスト<6857>や東京エレクトロン<8035>など半導体株が底堅い動きを見せたことから日経平均はしっかりとした展開に。8月30日は、月末最終営業日だったことで月末需給に絡んだ買い観測などもあり、75日移動平均線水準で取引を終えた。終値ベースでの月足チャートでは長い下影(下ヒゲ)を残し陰線となった。
なお、8月第3週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を4089億円売り越したほか、TOPIX先物を1442億円買い越し、225先物は2492億円買い越したことから、合計155億円の小幅売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を291億円売り越すなど合計で565億の小幅売り越し。なお、信託が現物を1362億円買い越した。
■75日線突破を試す展開に
8月30日の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比228.03ドル高(+0.55%)の41563.08ドル、ナスダックは同197.20ポイント高(+1.13%)の17713.63、S&P500は同56.44ポイント高(+1.01%)の5648.40で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比350円高の39060円で取引を終えた。
為替も1ドル=146円台まで円安ドル高が進行しており、週初の日経平均は75日移動平均線を突破し39000円台に乗せる公算が大きい。価格帯別売買高で商いが非常に多かった38000円台を一気に上回ることで、市場の目線は一段上の40000円が意識されそうだ。
ギャップアップスタート後、プライム市場の売買代金に注目したい。プライム市場の売買代金は、MSCIリバランスが入った8月30日を除くと4兆円に届いておらず、「閑散に売り無し」といった地合いだ。8月上旬の乱高下で70ポイント台まで急騰した日経平均VIは21ポイント台まで低下しており、市場は落ち着きを取り戻しつつある。ただ、9月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、19-20日の日本銀行の金融政策決定会合、9月末の自民党総裁選といった重要イベントを控えていることから、日米金融政策と日本の政治・政策の方向性が明確になるまで腰の据わった投資資金流入は難しいとの見方もある。
■米雇用関連の経済指標では円高加速の可能性も
来週の注目は、米雇用関連の経済指標となる。7月31日のFOMC声明文では、2年ほど使用していた「インフレのリスクにより注意を払う」という表現をやめて、「雇用とインフレの双方のリスクに注意を払う」との表現に変わった。今後は、インフレだけではなく雇用にも注意するという米連邦準備制度理事会(FRB)の意思表示である。そして、ジャクソンホール会議での講演でパウエルFRB議長は、「強い労働市場を支えるためにできることを何でもする」と語った。つまり来週の米雇用関連の経済指標が市場予想を大きく下回る内容となった場合、雇用を刺激するために9月FOMCでの0.50%利下げを実施する可能性がある。
9月FOMCを含め年内3回のFOMCが予定されているなか、市場は年内4回(1.0%)の利下げ実施を織り込んでいる。来週の米雇用関連の内容次第では9月FOMCでの0.5%利下げが強く意識されて、8月5日につけた1ドル=141円台を意識した円高ドル安が進む可能性はある。今週末のPCEデフレータが程よい数字だったことでいったん大幅利下げ観測は後退したが、FRBが最も重要視する雇用関連の結果次第で、市場のマインドは簡単に変わるだろう。
仮に141円台水準まで円高に振れた場合、円高メリット銘柄には追い風となりそうだが、日経平均は円安メリット銘柄の存在感が大きいことから先物主導で指数は下に動く展開となろう。一方、横ばい推移の25日移動平均線や200日移動平均線が37000円台前半に並んでいることから、8月上旬のような強烈な下落は回避されると想定。
■週末に米雇用統計
来週は、国内では、9月2日に4-6月設備投資、3日に8月マネタリーベース、5日に7月毎月勤労統計-現金給与総額、6日に7月景気動向指数(速報値)などが予定されている。
海外では、2日に中・8月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)、トルコ・8月製造業PMI、4-6月国内総生産(GDP)、3日に米・8月製造業PMI(改定値)、8月ISM製造業景気指数、4日に豪・4-6月GDP、中・8月財新サービス業/総合PMI、米・7月貿易収支、製造業新規受注、JOLTS求人件数、耐久財受注(確報値)、カナダ・カナダ銀行(中央銀行)が政策金利発表、5日に英・8月建設業PMI、欧・7月ユーロ圏小売売上高、米・8月ADP全米雇用報告、週次新規失業保険申請件数、8月サービス業/総合PMI(改定値)、ISM非製造業景気指数、週次原油在庫、6日に欧・4-6月ユーロ圏GDP(確定値)、米・8月雇用統計などが予定されている。
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