来週の相場で注目すべき3つのポイント:米雇用統計、米ISM製造業景況指数、米ベージュブック公表
[24/08/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
*18:17JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:米雇用統計、米ISM製造業景況指数、米ベージュブック公表
■株式相場見通し
予想レンジ:上限39200円−下限38200円
8月30日の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比228.03ドル高(+0.55%)の41563.08ドル、ナスダックは同197.20ポイント高(+1.13%)の17713.63、S&P500は同56.44ポイント高(+1.01%)の5648.40で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比350円高の39060円で取引を終えた。
為替も1ドル=146円台まで円安ドル高が進行しており、週初の日経平均は75日移動平均線を突破し39000円台に乗せる公算が大きい。価格帯別売買高で商いが非常に多かった38000円台を一気に上回ることで、市場の目線は一段上の40000円が意識されそうだ。
ギャップアップスタート後、プライム市場の売買代金に注目したい。プライム市場の売買代金は、MSCIリバランスが入った8月30日を除くと4兆円に届いておらず、「閑散に売り無し」といった地合いだ。8月上旬の乱高下で70ポイント台まで急騰した日経平均VIは21ポイント台まで低下しており、市場は落ち着きを取り戻しつつある。ただ、9月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、19-20日の日本銀行の金融政策決定会合、9月末の自民党総裁選といった重要イベントを控えていることから、日米金融政策と日本の政治・政策の方向性が明確になるまで腰の据わった投資資金流入は難しいとの見方もある。
来週の注目は、米雇用関連の経済指標となる。7月31日のFOMC声明文では、2年ほど使用していた「インフレのリスクにより注意を払う」という表現をやめて、「雇用とインフレの双方のリスクに注意を払う」との表現に変わった。今後は、インフレだけではなく雇用にも注意するという米連邦準備制度理事会(FRB)の意思表示である。
そして、ジャクソンホール会議での講演でパウエルFRB議長は、「強い労働市場を支えるためにできることを何でもする」と語った。つまり来週の米雇用関連の経済指標が市場予想を大きく下回る内容となった場合、雇用を刺激するために9月FOMCでの0.50%利下げを実施する可能性がある。9月FOMCを含め年内3回のFOMCが予定されているなか、市場は年内4回(1.0%)の利下げ実施を織り込んでいる。来週の米雇用関連の内容次第では9月FOMCでの0.5%利下げが強く意識されて、8月5日につけた1ドル=141円台を意識した円高ドル安が進む可能性はある。
今週末のPCEデフレータが程よい数字だったことでいったん大幅利下げ観測は後退したが、FRBが最も重要視する雇用関連の結果次第で、市場のマインドは簡単に変わるだろう。仮に141円台水準まで円高に振れた場合、円高メリット銘柄には追い風となりそうだが、日経平均は円安メリット銘柄の存在感が大きいことから先物主導で指数は下に動く展開となろう。一方、横ばい推移の25日移動平均線や200日移動平均線が37000円台前半に並んでいることから、8月上旬のような強烈な下落は回避されると想定。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米労働省は8月21日、2023年3月から2024年3月までの非農業部門雇用者数について290万人から約210万人に約82万人下方修正したと発表した。米労働市場の縮小が懸念されており、来週発表される複数の雇用関連指標に対して市場は敏感に反応する見通し。9月6日発表の8月米雇用統計は、7月の弱い内容が続くか注目される。特に、失業率が上昇すれば景気減速懸念を強める材料になりやすい。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月23日のジャクソンホール会合で講演し、緩和的な政策に修正する姿勢を示唆した。7月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利の引き下げに前向きだったことが議事要旨でも明らかになった。市場は利下げ幅に注目しており、雇用情勢の悪化が鮮明になれば9月17-18日開催のFOMC会合で0.50ポイントの利下げ観測が再浮上し、年内3回の利下げ実施の可能性は一段と高まりそうだ。
一方、日本銀行は2%の物価目標の持続的・安定的な実現のために利上げの実施が適切との方針を維持しており、金融市場がより安定すれば年内の追加利上げをにらんだ円買いが再び強まる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
9月2日(月):設備投資(4-6月)、中・財新製造業PMI(8月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(8月)、米・株式市場は祝日のため休場(レーバーデー)など
9月3日(火):スイス・消費者物価指数(8月)、スイス・GDP(4-6月)、南ア・GDP(4-6月)、米・製造業PMI(8月)、米・ISM製造業景況指数(8月)など
9月4日(水):豪・GDP(4-6月)、中・財新サービス業/総合PMI(8月)、欧・ユーロ圏サービス業/総合PMI(8月)、米・貿易収支(7月)、米・JOLTS求人件数(7月)、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表など
9月5日(木):毎月勤労統計-現金給与総額(7月)、高田創日銀審議委員が金融経済懇談会に出席・同記者会見、欧・ユーロ圏小売売上高(7月)、米・ADP全米雇用報告(8月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・ISM非製造業景況指数(8月)など
9月6日(金):家計支出(7月)、独・鉱工業生産指数(7月)、欧・ユーロ圏GDP確定値(4-6月)、米・非農業部門雇用者数(8月)、米・失業率(8月)、米・平均時給(8月)など
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■株式相場見通し
予想レンジ:上限39200円−下限38200円
8月30日の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比228.03ドル高(+0.55%)の41563.08ドル、ナスダックは同197.20ポイント高(+1.13%)の17713.63、S&P500は同56.44ポイント高(+1.01%)の5648.40で取引を終了した。大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比350円高の39060円で取引を終えた。
為替も1ドル=146円台まで円安ドル高が進行しており、週初の日経平均は75日移動平均線を突破し39000円台に乗せる公算が大きい。価格帯別売買高で商いが非常に多かった38000円台を一気に上回ることで、市場の目線は一段上の40000円が意識されそうだ。
ギャップアップスタート後、プライム市場の売買代金に注目したい。プライム市場の売買代金は、MSCIリバランスが入った8月30日を除くと4兆円に届いておらず、「閑散に売り無し」といった地合いだ。8月上旬の乱高下で70ポイント台まで急騰した日経平均VIは21ポイント台まで低下しており、市場は落ち着きを取り戻しつつある。ただ、9月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、19-20日の日本銀行の金融政策決定会合、9月末の自民党総裁選といった重要イベントを控えていることから、日米金融政策と日本の政治・政策の方向性が明確になるまで腰の据わった投資資金流入は難しいとの見方もある。
来週の注目は、米雇用関連の経済指標となる。7月31日のFOMC声明文では、2年ほど使用していた「インフレのリスクにより注意を払う」という表現をやめて、「雇用とインフレの双方のリスクに注意を払う」との表現に変わった。今後は、インフレだけではなく雇用にも注意するという米連邦準備制度理事会(FRB)の意思表示である。
そして、ジャクソンホール会議での講演でパウエルFRB議長は、「強い労働市場を支えるためにできることを何でもする」と語った。つまり来週の米雇用関連の経済指標が市場予想を大きく下回る内容となった場合、雇用を刺激するために9月FOMCでの0.50%利下げを実施する可能性がある。9月FOMCを含め年内3回のFOMCが予定されているなか、市場は年内4回(1.0%)の利下げ実施を織り込んでいる。来週の米雇用関連の内容次第では9月FOMCでの0.5%利下げが強く意識されて、8月5日につけた1ドル=141円台を意識した円高ドル安が進む可能性はある。
今週末のPCEデフレータが程よい数字だったことでいったん大幅利下げ観測は後退したが、FRBが最も重要視する雇用関連の結果次第で、市場のマインドは簡単に変わるだろう。仮に141円台水準まで円高に振れた場合、円高メリット銘柄には追い風となりそうだが、日経平均は円安メリット銘柄の存在感が大きいことから先物主導で指数は下に動く展開となろう。一方、横ばい推移の25日移動平均線や200日移動平均線が37000円台前半に並んでいることから、8月上旬のような強烈な下落は回避されると想定。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸び悩みか。米労働省は8月21日、2023年3月から2024年3月までの非農業部門雇用者数について290万人から約210万人に約82万人下方修正したと発表した。米労働市場の縮小が懸念されており、来週発表される複数の雇用関連指標に対して市場は敏感に反応する見通し。9月6日発表の8月米雇用統計は、7月の弱い内容が続くか注目される。特に、失業率が上昇すれば景気減速懸念を強める材料になりやすい。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月23日のジャクソンホール会合で講演し、緩和的な政策に修正する姿勢を示唆した。7月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利の引き下げに前向きだったことが議事要旨でも明らかになった。市場は利下げ幅に注目しており、雇用情勢の悪化が鮮明になれば9月17-18日開催のFOMC会合で0.50ポイントの利下げ観測が再浮上し、年内3回の利下げ実施の可能性は一段と高まりそうだ。
一方、日本銀行は2%の物価目標の持続的・安定的な実現のために利上げの実施が適切との方針を維持しており、金融市場がより安定すれば年内の追加利上げをにらんだ円買いが再び強まる可能性がある。
■来週の注目スケジュール
9月2日(月):設備投資(4-6月)、中・財新製造業PMI(8月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(8月)、米・株式市場は祝日のため休場(レーバーデー)など
9月3日(火):スイス・消費者物価指数(8月)、スイス・GDP(4-6月)、南ア・GDP(4-6月)、米・製造業PMI(8月)、米・ISM製造業景況指数(8月)など
9月4日(水):豪・GDP(4-6月)、中・財新サービス業/総合PMI(8月)、欧・ユーロ圏サービス業/総合PMI(8月)、米・貿易収支(7月)、米・JOLTS求人件数(7月)、米・地区連銀経済報告(ベージュブック)公表など
9月5日(木):毎月勤労統計-現金給与総額(7月)、高田創日銀審議委員が金融経済懇談会に出席・同記者会見、欧・ユーロ圏小売売上高(7月)、米・ADP全米雇用報告(8月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・ISM非製造業景況指数(8月)など
9月6日(金):家計支出(7月)、独・鉱工業生産指数(7月)、欧・ユーロ圏GDP確定値(4-6月)、米・非農業部門雇用者数(8月)、米・失業率(8月)、米・平均時給(8月)など
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