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シュッピン Research Memo(5):カメラ事業と時計事業で売上の95%超を創出

注目トピックス 日本株

■事業の詳細

(2)各事業部門の詳細

(a)カメラ事業 売上高構成比率:73.2%(2014年3月期第3四半期累計実績)

カメラ事業はいわばシュッピン<3179>の創業事業であり、現在の収益構造の中心でもある。同事業の売上高営業利益率は8.4%(2014年3月期の第3四半期(2013年3-12月)累計実績)に達した。カメラ営業部は107人で4事業の中でも最も多い。カメラは工業製品であり、新しいもの、高性能なものに価値が見出されることが多い。一方で、高性能なものは高額であるため、性能がきちんと維持されている限りは中古品で構わないという顧客層も少なからず存在する。そのため、同社の「インターネットを利用した中古品の流通」というビジネスモデルには、最も良くなじむ商材であるといえよう。かつては店舗売上がEC売上を上回っていたが、ここにきて同社の認知度向上もあって、EC売上高が店舗売上高を明確に上回ってきた。後述する「先取交換」の新サービスも、カメラに最もマッチするサービスといえ、今後もEC売上の拡大が期待される。

カメラ事業の競争は決してやさしくはない。キタムラ<2719>など大手チェーンもあれば街の個人店舗のようなところも数多くある。そんな中で、同社の「マップカメラ」ブランドは着実に浸透しつつある。インターネットで「カメラ、中古」や「カメラ、買取」などで検索すると、検索結果においてほぼ第2位で顔を出してくる状況だ。知名度はおそらく「シュッピン」以上であろう。

カメラ事業の将来性について、同社は非常に大きいと期待しており、時期は明言しないが「当面の」売上目標を30,000百万円としている。カメラ分野においては、ファンが多いこと、工業製品として機能進化が続くこと、レンズなどパーツ類、アクセサリー類の種類が多いこと、中古品の流通量が多いこと、などを考え合わせれば、同社の売上目標には説得力がある。

(b)時計事業 売上高構成比率:22.6%(2014年3月期第3四半期累計実績)

同社が扱う時計は基本的には機械式高級時計だ。カメラが工業製品であるのに対して、この領域の時計は「工芸品」的な色彩を色濃く帯びる。工芸品的であるがゆえに、数も少なく中古品でも価値が失われにくい。

一口に機械式高級時計といっても価格帯はカメラ以上に幅広い。1本数千万円を超えるものから数十万円単位のものまで様々だ。大まかにいえば100万円以上の時計とそれ以下の時計とでは、顧客層も異なり、買い方も異なっている。ボリュームゾーンは50万円前後とみられ、これらの領域においては、インターネット販売がもっと拡大していくものと期待される。反対に、100万円を超えるような商品については、インターネット上で在庫を確認した上で、店舗に来店する顧客への販売も併用していく方針だ。これらの価格帯になると、対面型販売であっても十分に採算が合う。

一部の高額時計のインターネット買取・販売は対面取引のニーズが特に高いが、新品や定番の中古品においてはインターネットでの取引は非常に活発だ。直近期においても店舗売上高がEC売上高を上回っているのは、カメラに比べれば対面取引の割合が高いことが影響していると推測されるが、今後同社の売上高が拡大していく過程においては、カメラ同様にEC売上高が成長ドライバとなり、結果的に時計においてもEC売上高比率が高まっていくものと予想される。

時計事業の利益率は、5.1%となっている(2014年3月期の第3四半期(2013年3-12月)累計実績)。これは、EC比率よりも、売上高の絶対値がまだ低いことが主たる要因と思われる。今後売上高が伸長するに従って、利益率も改善してくると期待される。

売上高はこれまでのところ順調に増大基調を歩んでいるが、まだ拡大余地があるようだ。インターネットで「時計、中古」「時計、買取」などで検索しても、同社の「GMT」は検索結果の上位には顔を出してこない。この点は同社も十分に認識しており、インターネット広告出稿やSEO対策などに加えて、ブログやFacebookなどを活用したプロモーション活動を行っている。それ以上に重要なことは、時計マニアを惹きつける品揃えだろう。その点では豊富な資金力や「ワンプライス買取」や「スムーズ買取」などのユーザーフレンドリーなサービスを打ち出している同社は、高い競争力があるといえる。

同社の分析では、時計の中古流通分野でのトップは東京・中野の「ジャックロード」である。ジャックロードは推定年商10,000百万円で、事業モデル的にも店舗を絞ってインターネット中心でやっている点で同社の「GMT」と非常に近い。同社は時計事業の目標をジャックロードに定め、ここを抜くことを当面の目標に置いている。この目標設定についても十分説得力があると思われる。現時点では売上高で約3倍の開き(10,000百万円対3,000百万円)があるが、ジャックロードが1987年創業であるのに対して、GMTは2006年の創業である。成長スピードはGMTのほうが高い。また、ジャックロードは非公開であるのに対して同社は上場企業で信用力、資金力の面で優位に立っている。こうした点で説得力があり実現可能性が高いと評価するポイントである。なお、他の時計の中古流通業者は多店舗展開型が多く、同社の直接的な比較対象企業としては適さない。この点も同社がジャックロードを目標に据えている理由である。

(c)筆記具事業 売上高構成比率:2.0%(2014年3月期第3四半期累計実績)

筆記具については市場の小さい点が懸念ポイントだが、市場規模が小さいがゆえに時計やカメラと違って競合が少ない利点もある。また、筆記具もやはり「工芸品」の価値を持つものであり、根強いファンが存在する。そうした状況ゆえに、事業が大きく成長することは期待しにくいが、きちんと利益を出して同社の収益の足を引っ張ることなく、むしろ、同社の商品ラインナップを飾るという点で存在価値を見出していくことは十分可能であろう。

同社は、筆記具事業に関して具体的な中長期的な収益目標は出していない。現状の売上高の絶対値がまだ小さいのでしばらくは5%〜10%の成長が続く可能性があるが、500百万円が当面の目標ということになろうかと思われる。

(d)自転車事業 売上高構成比率:2.2%(2014年3月期第3四半期累計実績)

自転車は愛好者も多く市場自体は大きい。製品単価もフレームなどは数十万円するのも珍しくはない。今後、筆記具以上の収益規模になっていくものと考えられ、成長期待の大きな事業分野である。自転車事業は筆記具から遅れること約半年の2008年11月にスタートしたが、実際に売上高が目に見える形で計上されてきたのは2011年3月期からで、筆記具事業に対して2年間遅れた。今現在の売上規模も、鈴木氏が当初思い描いていた成長カーブに対しては、アンダーパフォームとなっているものと思われる。

売上高が伸び悩んでいる大きな理由は、新品の、特にフレームの仕入れにある。同社は中古品を手掛けているため、メーカーとの関係づくりにどうしても困難を伴う状況にある。現在も交渉を継続中で、独自の対応策なども検討中のようである。自転車事業は新品フレームの仕入問題が解決されると一気に伸びる可能性を秘めているといえる。

以上のような状況のため、自転車事業の収益貢献はこれからの課題の1つだ。売上高こそ筆記具と並ぶ所まで来たが、営業利益では18百万円の営業損失だった(2014年3月期上期実績)。この営業損失には、店舗改装に伴う休業ロスの影響も含まれている。プラス面ではECが大きく伸びて、2013年12月の端月の収支は営業黒字となったことが挙げられる。このように、ECの伸びで着実に収益は改善方向にあることはプラスに評価できるが、一段の収益性アップには新品仕入問題の解決が大きな転機となってくるものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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