ソフトクリエH Research Memo(9):事業構造の変化に伴うバリュエーション切り上がりに期待
[14/03/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■財務分析
ソフトクリエイトホールディングス<3371>の自己資本利益率(ROE)は、2013年3月期実績ベースで13.2%だった。これは日本の上場企業のROEとしては平均的な水準にある。その内訳として総資産経常利益率(ROA)を見ると、17.2%となっており、これは日本企業の平均値だけでなく、ビジネスアプリケーションソフトやインターネット広告代理店などとの比較においても、相対的に高い値となっている。
ROAは収益性指標だが、同社の場合、総資産回転率は1.3回/年で、極端に高いわけではない。同一業態においては平均的か、むしろ低い部類に属する水準だ。それにもかかわらず高いROAを実現できているのは、 売上高営業利益率(マージン)が10.9%と高いことによる。ECソリューション、システムインテグレーション(SI)の中核2事業において高い利益率を誇る製品・サービスを有していることが、全社的な高マージンに寄与していると言える。
同社は受託開発からの撤退を行う一方、ストック売上高の拡大など、今後のマージン拡大につながる取り組みを進めている。一方で、ECソリューション事業において Webプロモーションの売上高拡大に向けた積極投資を行っている状況にある。主力のECソリューション事業において、マージンを維持しながら事業の質的な変革を実現できるかが、今後の1つの見どころとなってこよう。
同社の企業価値向上や株価バリュエーションの押し上げにROE向上はポジティブな影響を及ぼすと期待される。前述のように高いROAを実現できているため、いかにして高いROAを高いROEにつなげていくかという視点が有効であろう。ただ、財務レバレッジを活用するために不必要な有利子負債を持つというのでは本末転倒だ。財務レバレッジを活用しなくともROEを高めに誘導できる資産、負債、純資産の最適バランスを追及すべきであろう。同社のバランスシートの健全さとマージンの高さは、経営陣が複数の選択肢を持つことを可能にしていると言える。
同社はSIやeコマースのシステム構築などの事業を通じて成長してきたため、SI事業者として評価されているようだ。しかし、今後の中長期の収益成長エンジンは、デジタルマーケティング事業であり、デジタルマーケティングがけん引役と期待されていることは前述のとおりである。他の広告代理店が競合となることが予想され、同社の評価軸や比較対象は今後、ネット広告代理店ということになってこよう。大まかな言い方をすれば、SI企業に比べてネット広告代理店企業の方が、平均的に高い株価バリュエーションを付与されている。同社に対しても株価バリュエーションの切り上がりが起こることは十分に考えられよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<NT>
ソフトクリエイトホールディングス<3371>の自己資本利益率(ROE)は、2013年3月期実績ベースで13.2%だった。これは日本の上場企業のROEとしては平均的な水準にある。その内訳として総資産経常利益率(ROA)を見ると、17.2%となっており、これは日本企業の平均値だけでなく、ビジネスアプリケーションソフトやインターネット広告代理店などとの比較においても、相対的に高い値となっている。
ROAは収益性指標だが、同社の場合、総資産回転率は1.3回/年で、極端に高いわけではない。同一業態においては平均的か、むしろ低い部類に属する水準だ。それにもかかわらず高いROAを実現できているのは、 売上高営業利益率(マージン)が10.9%と高いことによる。ECソリューション、システムインテグレーション(SI)の中核2事業において高い利益率を誇る製品・サービスを有していることが、全社的な高マージンに寄与していると言える。
同社は受託開発からの撤退を行う一方、ストック売上高の拡大など、今後のマージン拡大につながる取り組みを進めている。一方で、ECソリューション事業において Webプロモーションの売上高拡大に向けた積極投資を行っている状況にある。主力のECソリューション事業において、マージンを維持しながら事業の質的な変革を実現できるかが、今後の1つの見どころとなってこよう。
同社の企業価値向上や株価バリュエーションの押し上げにROE向上はポジティブな影響を及ぼすと期待される。前述のように高いROAを実現できているため、いかにして高いROAを高いROEにつなげていくかという視点が有効であろう。ただ、財務レバレッジを活用するために不必要な有利子負債を持つというのでは本末転倒だ。財務レバレッジを活用しなくともROEを高めに誘導できる資産、負債、純資産の最適バランスを追及すべきであろう。同社のバランスシートの健全さとマージンの高さは、経営陣が複数の選択肢を持つことを可能にしていると言える。
同社はSIやeコマースのシステム構築などの事業を通じて成長してきたため、SI事業者として評価されているようだ。しかし、今後の中長期の収益成長エンジンは、デジタルマーケティング事業であり、デジタルマーケティングがけん引役と期待されていることは前述のとおりである。他の広告代理店が競合となることが予想され、同社の評価軸や比較対象は今後、ネット広告代理店ということになってこよう。大まかな言い方をすれば、SI企業に比べてネット広告代理店企業の方が、平均的に高い株価バリュエーションを付与されている。同社に対しても株価バリュエーションの切り上がりが起こることは十分に考えられよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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