アイスタイル Research Memo(8):増収基調は持続も、海外子会社の立ち上げ費用などが重しに
[14/03/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算概要
(2)事業セグメント別の状況
●メディア事業
メディア事業の当第2四半期累計売上高は前年同期比4.9%増の1,678百万円、セグメント利益は同92.7%減の15百万円となった。このうち、国内事業の業績は売上高が前年同期比0.7%増の1,611百万円、営業利益が同56.9%減の89百万円となった。
「@cosme」の2013年12月における月間UU数は約800万人となり、前年同月の約650万人から2割強増加、クチコミ件数も1,100万万件を突破するなど、クチコミ情報サイトとしての規模は順調に拡大を続けている。また、ブランドファンクラブのサービスも引き続き堅調に推移した。こうしたなかで、増収率が伸び悩んだ背景としては、2013年の第2四半期に開催した大型イベントを当第2四半期には実施しなかったこと(120百万円の減収要因)や、一部上半期売上の計上時期が第3四半期にずれ込んだことなどが挙げられる。こうした特殊要因を除けば、増収率は約10数%の増加になったとみられ、伸び率こそ鈍化したものの、成長基調は持続したと言えよう。
一方、利益面での減益要因は、前述した本社移転費用や人件費、システム開発費用などを同事業セグメントで負担していることが主因となっている。なお、大型イベントに関してはほぼ収支均衡ラインだったこともあり、利益へのインパクトはほとんどなかったとみられる。
●EC事業
EC事業の当第2四半期累計売上高は前年同期比5.3%増の301百万円、セグメント利益は同47.8%増の31百万円となった。前期より実施したグループサイト内でのID統合やポイント連携を可能としたことで、ショッピングサイト「cosme.com」での販売が堅調に推移、増収効果によって売上高利益率も前年同期の7.5%から10.6%へ向上した。
●店舗事業
店舗事業の当第2四半期累計売上高は前年同期比14.5%増の1,066百万円、セグメント利益は同97.7%増の81百万円となった。当第2四半期では新規出店を行わなかったが、2012年4月に開店したルミネ池袋店や、同年9月にリニューアルオープンしたマルイ上野店(約1.7倍に増床)など大型店舗での販売が好調に推移した。「@cosme」のランキング情報などを活用した商品陳列やデジタルサイネージを駆使した店頭プロモーション活動など、同社<3660>独自の店舗づくりが支持を集め、売上の伸びにつながった。増収効果によって売上高利益率も前年同期の4.4%から7.6%へ向上した。
●その他事業
その他事業の当第2四半期累計売上高は、前年同期比10.0%減の295百万円、セグメント損失は41百万円となった(前年同期は45百万円の黒字)。前述したように、エステサロンなどの検索・予約サイト「ispot」のビジネスモデルの変更を進めた影響で、売上が落ち込む格好となった。
同社では期初段階において、契約店舗数の拡大と解約率を引き下げるための施策として、同サイトにおける課金収入モデルを変更(月額固定料金を引き下げ、送客手数料を引き上げ)した。契約店舗数に関しては増加したが、送客手数料収入が想定を大きく下回り、全体の売上高は減少する格好となった。この料金変更については第3四半期から再び従来の料金体系に戻しており、また、ペイパーコール(注)の取り扱いに関しても顧客要望により、送客カウント数から除外することとした。
また、収益悪化のもう1つの要因として、新規顧客開拓のため外部の営業リソースの活用を今期より始めたが効果がほとんどなく、費用増の要因につながったことが挙げられる。こちらは外部リソースの活用の見直しを行っている。
(注)ペイパーコール(Pay Per Call):広告に掲載される無料電話番号に掛けられた電話の回数に応じて広告料金が上積みされていく着信課金広告ビジネス。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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