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電算システム Research Memo(5):コンビニなどでの払込票決済サービスが軸、国際送金サービスの伸びに期待

注目トピックス 日本株

■事業の詳細

(2)収納代行サービス事業

収納代行サービス事業は、内容的に「払込票決済サービス」「ペーパーレス決済サービス」「口座振替サービス」及び「決済イノベーション」の4つに区分される。中心は「払込票決済サービス」で、これがこの事業部門の売上高の81%を占めている(2013年12月期実績)。しかし、今後の伸びに対する期待が高いのは「決済イノベーション」に含まれる国際送金サービスである。

電算システム<3630>は1973年に、民間IT企業として初めて口座振替サービスを開始した。それまでは銀行など金融機関の内製サービスとして行われていたエリアに、高い情報処理技術を生かして参入に成功した格好となる。これが大きな踏み台となって1997年にコンビニでの払込票決済サービス進出につながり、現在に至っているという状況だ。

コンビニにおける払込票決済サービスは、公共料金でかねてより行われてきたが、民間企業の料金支払い(例えば、通販の購入代金支払い)をコンビニ側が受け入れるようになるまでかなり抵抗があった。口座振替サービスで培った信用力をてこに販路をこじ開けると、収納代行による集客効果がコンビニ側にも評価されて一気に拡大していった。

この分野での同社のポジションは銀行系の決済事業者に次いで業界2位の位置にある。同社の契約企業数は3,500社以上に及び、現状では、契約企業数は年間200社〜250社(約6〜7%)のペースで成長している。このペースは今後しばらくは続くだろうと想定される。顧客企業については、通販業界はほぼ需要が一巡しており、同社は地方自治体の開拓に注力している。

同社の強みは、大小合わせて主要なコンビニ17社と契約している点で、これが顧客企業の契約獲得に大きく寄与している。中小事業者の獲得は言うまでもないが、大手事業者(例えば電力会社や大手通販会社)などの企業との契約獲得にも効果がある。大手事業者は大手コンビニとは直接契約をしているためそこでは同社の出番はなくとも、17コンビニチェーンの中の中小コンビニへの対応を図るうえでは、同社のシステムを利用した方が簡易なためだ。

また、同社の年間処理件数は145,440千件(2013年12月期)に達したが、この膨大な処理件数は、同社への信頼へとつながり、結果として他業者による新規参入を抑える効果がある。顧客が収納代行を選ぶ場合に、あえて他業者を選ぶリスクを取るまでのインセンティブが働かないためだ。

しかし新規顧客獲得においては、競争は存在する。伝票1件当たりの処理手数料の推移を見ると、右肩下がりの傾向が続いてきた。これは新規顧客獲得に際して、ライバル企業との手数料ディスカウント競争の結果である。しかし、ここにきて、手数料の下落にも歯止めがかかってきているのもまた事実である。この理由は必ずしも明確でないが、1つの解釈として、現在新規契約をする顧客の多くが中小規模(特に小規模)事業者であり、その契約獲得過程でディスカウント競争があったとしても、既存顧客の構成比がきわめて高いため、計算上で下げ止まったように見える、ということが推測される。

収納代行サービス事業には今後の成長が期待される事業として、「国際送金サービス」がある。

国際送金サービスは、同社が米ウエスタンユニオン社と提携して行っているサービスで、ファミリーマート<8028>の全国8,000ヶ所店舗(注:専用端末設置店のみ)から、手数料込みで最大10万円まで海外に送金できるというサービスだ。ウエスタンユニオン社は200以上の国・地域に48万ヶ所の受取窓口を有している。このサービスの特徴としては、送金額が小口(1回あたり手数料を含め10万円まで)に限定されているが、銀行口座開設が不要かつ手数料が廉価という点がある。

国際送金サービスの取扱件数は急成長を続けており、2013年12月期は、送金件数の前月比伸び率が平均で12.0%増となった。送金件数の実数としては、月間1万件を超えている。現状ではこのサービスの収支は費用先行となっている。同社は取扱件数が現状の3倍程度に拡大すれば収益化するという目安を示している。現状の伸び方(毎月、前月比で10%増)が継続すれば12ヶ月で、前月比5%増が続けば24ヶ月で3倍増となる見込みである。

同社は国際送金サービスをさらに普及させるための方策を検討中であり、そのうちの1つが「Will Call」という店頭対面型送金サービスだ。これは国際送金サービスを利用するうえで必要となる本人確認等の手続きを、これまでの郵送・ネットを通じての申請書のやり取りを、店頭における対面での手続きを可能にするものである。また、国際送金サービス自体の窓口店舗も、現状のファミリーマート以外に拡大すべく、新規窓口となる法人を募集している状況だ。

同様の国際送金サービスはSBIレミット社とソフトバンク・ペイメント・サービス社も手掛けているが、ソフトバンク・ペイメント・サービス社はフィリピン向けに限定されている。したがって汎用性という点では同社のサービスに見劣りがする。SBIレミット社のサービスでは1回当たりの送金上限額が100万円もしくは1万ドルと、同社のサービスよりも多い点で優位性があると言える。しかし、銀行口座開設が必須であるなど、電算システムのサービスよりも手続きが煩雑な一面がある。顧客のニーズによって一概にどれが優れていると断言するのは難しいが、総体的には同社のサービスが最もバランスが取れているとの評価は可能であろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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