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あい ホールディングス Research Memo(3):グループ16社で主要7事業を展開

注目トピックス 日本株

■会社概要

(2)事業内容

上記のように同社<3076>は純粋持株会社であり、グループには連結子会社14社、非連結子会社1社、持分方適用会社1社の計16の事業会社を擁し、主に以下の7つの事業を行っている。2014年6月期第2四半期の各事業セグメント別の売上高は、(a)セキュリティ機器4,218百万円(売上高比率23.7%)、(b)カード機器及びその他事務用機器1,524百万円(同8.6%)、(c)保守サービス879百万円(同4.9%)、(d)情報機器5,282百万円(同29.7%)、(e)計測機器及び環境試験装置1,001百万円(同5.6%)、(f)設計事業2,284百万円(同12.8%)、(g)その他2,625百万円(同14.7%)となっている。また過去4年間のセグメント別の売上高推移はグラフのようであった。

連結子会社は14社あるが、主たる事業会社はドッドウエル ビー・エム・エス、グラフテック、あい設計の3社で、それぞれが関連する事業は図のようになっている。

(a)セキュリティ機器

主要製品は監視カメラやレコーダー等のセキュリティシステム。製品は主に韓国メーカーから仕入れているが、購入製品の仕様決定には同社も深く関わっている。韓国製の強みは、基本技術が軍事技術から転用されたものもあることからコストに比べて性能が高いこと。したがって同社製品は、国内の競合大手に比べてコストパフォーマンスが高い。

また、保守を含めた一貫サービスを提供できるのも同社の特色。主なユーザーは、マンション、銀行・証券会社等の金融機関、官公庁、商店街、小売チェーンなど幅広いが、ここ数年は特に既設の分譲マンション向けが大きく伸びている。セキュリティ事業開始当初は、代理店経由の一般法人向け販売が多かったが、近年は戦略的に既設の分譲マンション向けを中心に自社での直接販売を増やしている。(詳細後述)

(b)カード機器及びその他事務用機器

主要製品は病院向けの診察券発行機、再来受付機、金融・流通機関向けのICカード即時発行機等。病院向けは急成長する分野ではないが安定した需要が見込める。金融・流通機関向けでは、即時発行機は依然としてマイナーであるが一部地銀で採用が始まっており、加えて一部のメガバンクでも導入が決定した。その動向は今後も大いに注目する必要がある。

その他機器の主なものは鉄骨系のCAD。ニッチであるため市場そのものが伸びることは期待薄だが、安定して更新需要が見込める分野である。

(c)保守サービス

セキュリティ機器、カード機器などの保守サービスを行う部門。以前は保守要員の効率化のために他社製品の保守も請負っていたが、近年は自社製品の保守サービスに力を入れていることから、他社製品の保守比率は低下している。

売上高こそ小さい部門であるが、実は重要な部門である。同社の扱うセキュリティ機器やカード機器 は、一括購入よりリース契約を行うことが多く定期的なメンテナンスを必要としている。そういった機器に関しては通常、機器の購入代に当たるリース契約とは別に、保守のためのメンテナンス契約を結ぶ。しかし、同社では「安心パック」という形でリース契約の中にメンテナンス契約が含まれており、製品販売の売上げが同部門の収益となる構造だ。また、保守事業は積み重ねのストックビジネスであることから、中長期的には収益の安定化につながる。さらには、保守部門を有していることが顧客への安心感や営業での強みとなることで、セキュリティ機器やカード機器等の売上増に寄与している面もあり、隠れた収益貢献部門と言える。

(d)情報機器

グラフテックが扱っているカッティングマシンやスキャナなどのコンピューター周辺機器。カッティングマシンは、元々はグラフテック創業の技術であるプロッタ技術を転用して開発されたもので、カット幅が小型のA4サイズから1,600mm幅を超える大型まである。主な用途は屋外広告・看板制作など企業向けが中心である。

また近年は従来の業務用カッティングマシンをコンシューマー向けに小型化した製品がホビー(主にペーパークラフト)用として欧米で大きく伸びている。本体は中国やベトナムで生産され、販売価格は1〜2万円程度。これに加えて本体を購入した顧客を会員として取り込み、各種コンテンツ(図柄等)や消耗品も販売している。事業主体は米国子会社のシルエット(Silhouette)。(詳細後述)一方、スキャナはA0サイズまでの大型画面を取り込める業務用製品、一部は大手精密機器メーカー向けにOEM供給されている。

(e)計測機器及び環境試験装置

計測機器は電圧、温度、湿度、パルスなど幅広いデータ収録に対応できる製品ラインアップを揃えている。環境試験装置は、高温・低温などの特殊な環境下での電子部品やプリント基板等の動作確認を行う装置で、ユーザーの要望によってはカスタム対応も行っている。

いずれの製品も主な使用目的が「検査装置」であることから、需要が急増することはないが、利益は計上しており安定した部門と言える。

(f)設計事業

あい ホールディングスが買収した旧「塩見設計」が「あい設計」に社名変更し、連結子会社である「田辺設計」「中央設計」と合わせた3社が設計事業に携わっている。関連技術者200名以上を有しており、建築設計業界の中でも専門性の高い「耐震診断・耐震構造設計」を事業の中心に据えている。その他にも、意匠設計、構造設計、設備設計など高い技術力を軸とした建築総合コンサルタント業を行っており、安定した利益を生んでいる部門である。

(g)その他

この部門の主たる事業は「リース・割賦」で、上記のセキュリティ機器やカード機器等の販売に関連して割賦やリースを行う部門。また必要に応じて他社製品に対する割賦やリースも行っている。

上記のように同社は各種製品の販売や保守サービスを行っており、それぞれの製品やサービスに特色や強みはあるが、企業として本当の同社の強み(特色)は「経営力」「営業力」に要約される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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