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あい ホールディングス Research Memo(9):セキュリティ事業はマンション向け特化で更なる成長余地

注目トピックス 日本株

■中長期展望

同社<3076>は前述のように主に7つの事業を展開しているが、現在の同社の利益成長を支えているのは主にセキュリティ事業と、米国でコンシューマー向け情報機器(カッティングマシン)を手がけるシルエットである。何故、これらの事業が成長しているのか、以下はその考察である。

(1)セキュリティ事業

●セキュリティ機器市場全体の環境

株式会社富士経済の調査によれば、国内のセキュリティ関連市場(機器、システム、サービス)は2013年見込の5,819億円から2016年には6,239億円(2013年比7.2%増)になると予想されている。また同社が提供する監視カメラシステムの市場は、2013年見込の715億円から、2016年には853億円(2013年比19.3%増)になると予想されているが、今後も以下のような理由によって監視カメラの市場はセキュリティ市場全体より高い伸びが続くと予想される。

▲公共施設

強盗や通り魔事件などの凶悪犯罪の多くが、監視カメラの映像を分析することで解決しており、今後も駅、空港、イベントホールなどの公共施設・場所には多くの監視カメラが設置されると予想される。また準公共施設である商店街、街中、駐車場、マンション等でも同様の理由により監視カメラ設置の傾向は強まると予想される。

▲企業設備

以前から監視カメラを設置している小売企業(スーパーやコンビニ等)に加えて、最近では金融機関での不正や食品工場での毒物混入などの影響もあり、企業内(オフィス、工場等)でも監視カメラを設置する傾向が強まっている。

以前は「プライバシー保護」の点から監視カメラの設置を躊躇する団体や企業が多かったが、近年では「犯罪防止」の機運のほうが高くなっており、同社のセキュリティ事業にとっては完全に追い風だ。

●マンション向けへ特化

このように拡大が見込まれるセキュリティ機器市場だが、それだけに競合も激しい。特にパナソニック<6752>や三菱電機<6503>などの大手が強い市場であり、その中で同社が売上げを伸ばしている理由の1つが、全方位営業は行わずに「マンション向け」に特化した営業を展開している点だ。(2013年7月〜12月までの6ヶ月間の導入実績3,291件のうち、約65%がマンション向け)

マンション向けに特化している理由は、大手に比べて限られた営業リソースを活かすためには特化するほうが効率が良いからである。下記に述べるようにマンション市場だけでもまだ成長余地は大きいので、あちこちの市場(向け先)へ全方位の営業展開をするのではなく、まずはこの市場を取り込むことを当面の重点戦略としているが、この戦略が功を奏している。

●潜在市場

同社が重点戦略としている監視カメラシステムのマンション向け市場は、まだ拡大余地があるのだろうか。同社の調査では、2012年末の国内マンション累積戸数は約590万戸で、このうち約318万戸(54%)をマンション管理大手14社が管理している。さらにこの大手14社が管理するマンションの組合数は50,933(平均戸数55.1戸)だが、このうち、同社の監視カメラシステムを導入済みなのはわずか7,303組合(14.3%)である。すなわち、大手14社が管理する組合の中だけでも、同業他社から更新需要を奪うことでシェアアップはまだまだ可能である。

また大手14社が管理する組合でも、依然として監視カメラシステムそのものを導入していないところもあるようだ。さらには大手14社以外の管理会社や管理組合も全国には多数存在する。したがって大手管理会社内でのシェアアップに加えて、これら未開拓の市場に食い込むことで、今後数年はマンション向けだけでもセキュリティ機器の売上高を伸ばすことは十分に可能であり、成長余地は大きいと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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