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ラクオリア創薬 Research Memo(4):充実のインフラで新しい技術であるイオンチャネル創薬を推進

注目トピックス 日本株

■会社概要

(3)特徴と強み??創薬インフラと「イオンチャネル」

同社<4579>の強みとしてまず第1に挙げられるのは、大手医薬品メーカーにも引けを取らない創薬インフラである。具体的には38万件という化合物ライブラリー数やスクリーニングロボット、解析ノウハウなどである。第2に、同社が得意とする分野がイオンチャネルという新しい分野、新しい世代の創薬技術である点だ。イオンチャネル創薬は、難易度が高いため、参入障壁が高い一方、効能や製品の市場性の面で期待が大きい。詳細は以下に詳述する。

(a)「イオンチャネル」創薬の技術的優位性

医薬品の分類法の1つに、薬の作用点に着目する分類法がある。薬が効くということは、体のどこかに作用しているからであり、どこに効くのか、という観点での分類である。この作用点は「受容体(レセプター)」「酵素」「イオンチャネル」「核内受容体、その他」と大きく分類できる。イオンチャネルとは、「必ず細胞膜にある、細胞膜の内外で物質の運搬をしているタンパク質」のことを言う。イオンチャネル創薬とは、イオンチャネルを作用点とする医薬品を開発することである

イオンチャネル創薬は、薬の世代としては新しい世代に属している。イオンには「選択性」という特質があり、イオンチャネルはその特質を活用することで特定の箇所・疾患に強力に作用するなど、従来とはまったく異なるアプローチの新薬が期待できる。疾患の領域としては、疼痛、循環器系(心臓病の分野)、泌尿器系、消化器系などにおいて効果のある新薬を産み出せるとの期待がある。しかし一方で、副作用をどう分離するかといった点や、創薬プロセス自体にも課題が多いことなどもあり、容易には参入しづらい創薬分野でもある。

医薬品開発のプロセスは、多数の基礎的な化合物(化合物ライブラリー)の中から、ターゲットとする新薬の種となりそうなものを、ロボットを使って選び出すことから始まる。その後、さらに合成と分析を重ねて、有効な化合物の創出を目指していく。流れはこのように簡単だが、その過程では試行錯誤が繰り返されることになり、膨大な作業量をいかに速く、かつ正確に行うことができるかがポイントとなる。したがって、化合物ライブラリーの数、ライブラリーから創薬ターゲットに適した化合物を検索する際のロボットの導入、化合物の合成と分析の機器やノウハウなどが差別化要因となる。

ラクオリア創薬の化合物ライブラリー数は38万に及び、日本の大手医薬品メーカーにも引けを取らないレベルを誇っている。化合物の検索・選択においては、同社もいわゆるハイ・スループット・スクリーニング(HTS)のロボットを導入しており、大手製薬企業と同様の能力を備えている。

イオンチャネルのようなHTSでは対応しきれない領域は人手による分析が必須となる。この部分での研究開発を効率化するために、同社はイオンチャネル活性測定のための機器を、浜松ホトニクス<6965>と共同開発した。この機器は人手だけに頼る場合に比較して効率をおよそ10倍に改善することに成功している。

研究開発の人員数や研究開発予算については、大手製薬企業とは大きな差がある。これを埋め合わせるために同社は創薬領域を消化器系と疼痛の2つの分野に絞り込んでおり、前述のイオンチャネル創薬技術と組み合わせることで、大手製薬企業と渡り合える体制を整えている。

(b)イオンチャネル医薬品の市場での優位性

イオンチャネル医薬品は新しい世代に属する医薬品であるため、数としてはまだ多くはない。医薬品483種類について、作用点別に分類すると受容体(レセプター)と酵素が大半を占め、イオンチャネル型医薬品は、数にして5%を占めているに過ぎない。しかしながら、売上高ベースでは全体の22%を占めている。

この要因については、イオンチャネル医薬品が新世代の薬で開発の難易度も高いため上市された医薬品数はまだ少ないものの、上市された医薬品は効能の高さなどから好調な売上高を記録し、中型〜大型の医薬品に成長している例が多いためとの推論が可能である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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