ウォーターD CORPORATE RESEARCH(6):15年度は増収増益基調も、売上の伸びは顧客数の伸びを下回る公算
[14/04/17]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■業績動向
同社<2588>の2015年度については、売上で2014年度予想比10億円(10%)増の115億円、営業利益は同3.5億円(54%)増の10億円を予想している。顧客数前提は、期中平均で同13%増の31.0万件、期末は同14%増の33.0万件である。2015年度の売上は顧客数の伸びを再び下回る拡大にとどまる見通しとなる。
売上の増加は、やはり顧客件数の増加がその牽引役となる見通し。ただし、伸びの主力は合弁販売会社アイディール・ライフなどのOEM向けが担うため、平均販売単価はさらに低下。顧客一件当たりの水消費量は漸増トレンドが継続するとの見方にはあるものの、売上構成変化による平均単価低下は吸収できないと考える。また、新規加入者獲得競争の継続といった要因も、売上の圧迫要因になると想定した。なお、ここでは合弁販売会社の売上寄与は10億円程度との前提を置いている。
■売上総利益は改善を予想。PET容器内製化、増産効果などの貢献を想定し、営業利益は比較的大幅な増益へ
損益的には、売上総利益率で1.4ptの改善を想定。2014年度に実施するPET容器内製化投資がフルに貢献し、大幅な原価率改善が図られる見通し。販売料増加に伴って増産効果も寄与することとなろう。売上総利益ベースでは売上総利益率の改善に売上規模の拡大が加わり、売上総利益段階で9億円の増益を予想する。一方、販売管理費では宅配コストの更なる上昇、販売子会社コストの増加継続などから、5.5億円の増加を見込んだ。これらを併せた営業利益では3.5億円の増加を、税金負担等を差し引いた当期利益では1.8億円増の5.2億円になると予想する。一株当たりの利益は61.6円、期中平均基準のROEは19.4%となろう。
■従来見通しとの比較では、減額修正。価格前提を保守的に想定したうえ、売上総利益前提水準引下げが影響する。
従来見通しとの比較では、売上で8億円を、営業利益では2.0億円を、それぞれ減額修正。売上想定では、期末顧客件数前提を従来の31.7万件から33.0万件に引き上げたものの、競争条件激化などを背景に価格想定を保守的に見直した。利益見通しに関しても、2014年度と同様に売上総利益率前提引下げが影響する。売上総利益率は従来77.2%と見込んでいたが、今回はそれを75.7%と1.5pt、水準を引き下げている。逆に、販売管理費では売上規模の引下げ、競争激化に対応しての経費抑制などから従来見通しよりも減額したものの、売上総利益の下方修正をフルには吸収できないと考えた。
■主たるリスクは販売競争激化の行方と宅配コストの急上昇など
主たるリスク要因としては、販売競争激化による値崩れの発生、顧客獲得ピッチの失速、宅配コストの予想以上の上昇、(2013年度の酷暑、大雪などといった)大規模な天候不順による影響、を挙げる。宅配コストの上昇リスクは、これまで指摘してきた通り、ワンウェイ方式を採る同社にとって大きなインパクトを与えかねないもの。現想定では8%程度の宅配コスト上昇を予想に織り込んでいるが、人手不足などは従来想定以上に逼迫感が増している印象にある。状況によってはさらなるコスト上昇を見込む必要も出てこよう。
しかし、より注視すべきなのは、激化する販売競争の行方であろう。これに関しては、後段でその考え方に関して言及を行う。
(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)
<FA>
同社<2588>の2015年度については、売上で2014年度予想比10億円(10%)増の115億円、営業利益は同3.5億円(54%)増の10億円を予想している。顧客数前提は、期中平均で同13%増の31.0万件、期末は同14%増の33.0万件である。2015年度の売上は顧客数の伸びを再び下回る拡大にとどまる見通しとなる。
売上の増加は、やはり顧客件数の増加がその牽引役となる見通し。ただし、伸びの主力は合弁販売会社アイディール・ライフなどのOEM向けが担うため、平均販売単価はさらに低下。顧客一件当たりの水消費量は漸増トレンドが継続するとの見方にはあるものの、売上構成変化による平均単価低下は吸収できないと考える。また、新規加入者獲得競争の継続といった要因も、売上の圧迫要因になると想定した。なお、ここでは合弁販売会社の売上寄与は10億円程度との前提を置いている。
■売上総利益は改善を予想。PET容器内製化、増産効果などの貢献を想定し、営業利益は比較的大幅な増益へ
損益的には、売上総利益率で1.4ptの改善を想定。2014年度に実施するPET容器内製化投資がフルに貢献し、大幅な原価率改善が図られる見通し。販売料増加に伴って増産効果も寄与することとなろう。売上総利益ベースでは売上総利益率の改善に売上規模の拡大が加わり、売上総利益段階で9億円の増益を予想する。一方、販売管理費では宅配コストの更なる上昇、販売子会社コストの増加継続などから、5.5億円の増加を見込んだ。これらを併せた営業利益では3.5億円の増加を、税金負担等を差し引いた当期利益では1.8億円増の5.2億円になると予想する。一株当たりの利益は61.6円、期中平均基準のROEは19.4%となろう。
■従来見通しとの比較では、減額修正。価格前提を保守的に想定したうえ、売上総利益前提水準引下げが影響する。
従来見通しとの比較では、売上で8億円を、営業利益では2.0億円を、それぞれ減額修正。売上想定では、期末顧客件数前提を従来の31.7万件から33.0万件に引き上げたものの、競争条件激化などを背景に価格想定を保守的に見直した。利益見通しに関しても、2014年度と同様に売上総利益率前提引下げが影響する。売上総利益率は従来77.2%と見込んでいたが、今回はそれを75.7%と1.5pt、水準を引き下げている。逆に、販売管理費では売上規模の引下げ、競争激化に対応しての経費抑制などから従来見通しよりも減額したものの、売上総利益の下方修正をフルには吸収できないと考えた。
■主たるリスクは販売競争激化の行方と宅配コストの急上昇など
主たるリスク要因としては、販売競争激化による値崩れの発生、顧客獲得ピッチの失速、宅配コストの予想以上の上昇、(2013年度の酷暑、大雪などといった)大規模な天候不順による影響、を挙げる。宅配コストの上昇リスクは、これまで指摘してきた通り、ワンウェイ方式を採る同社にとって大きなインパクトを与えかねないもの。現想定では8%程度の宅配コスト上昇を予想に織り込んでいるが、人手不足などは従来想定以上に逼迫感が増している印象にある。状況によってはさらなるコスト上昇を見込む必要も出てこよう。
しかし、より注視すべきなのは、激化する販売競争の行方であろう。これに関しては、後段でその考え方に関して言及を行う。
(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)
<FA>