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ウォーターD CORPORATE RESEARCH(7):宅配水業界と携帯電話業界の共通点

注目トピックス 日本株
■宅配水業界は動乱期の様相を呈しつつあるが・・・

新規参入企業の猛追を契機とした宅配水業界の厳しい顧客獲得競争は依然として継続している。ウォーターダイレクト自身も創業以来、チャレンジャーとしてワンウェイ方式やデモ販売など独自色の強い施策を武器に先行企業を追い上げてきたが、今夏には早くも競合企業の攻勢を受ける守勢側に立つことを余儀なくされた。これに対し、同社<2588>は卸売販売業で定評ある光通信と合弁会社を設立。強力な販売部隊、販売ノウハウの活用という点で再度攻勢に回る仕掛けを打ってきた。概して業界地図は大きな動乱期の様相を呈しつつあるといえよう。

■・・・帰趨を探る参考として携帯電話業界との比較を試みる

当然ながら、この動乱の帰趨はまだまだ先読みできる状況にはない。とはいえ、投資家としては何らかの青写真が見たいと思うのもまた自然であろう。そこで、ここでは宅配水と同様に典型的なストックビジネスである携帯電話業界の歴史を一つの参考として取り上げてみたい。もちろん、宅配水と通信事業は全く異なるために直接的な参考とはなり得ないが、同社の戦略などを読み取るヒントになるのでは、と考える。

■携帯電話業界は初期に新規参入者が乱立したが、価格競争、技術競争を経て業界再編が進行した経緯を持つ

実際、宅配水事業と初期の携帯電話事業には幾つか共通点がある。具体的には、(1)ストックビジネスである、(2)廉価なスタンダードが確立している中、最初は一種の贅沢品(流行もの)としてスタートしている(水道水、固定電話がスタンダード)、(3)インフラ網の問題から、当初は地域サービス型が主流であった、(4)初期には新規参入者が殺到、乱立した、といったことなどが挙げられよう。携帯電話の場合はその結果、利用料金の急激な低下や音声通話にとどまらないさまざまな機能の拡充が進展。携帯電話の急速な普及が促されることとなった。しかし、同時に価格面でも技術面でもこれらが企業の大きな負担となったことも事実。必然として業界再編も進行し、国内で大手3社が圧倒的なシェアを占めるという現在の状況に至っている。宅配水業界もこういった歴史を繰り返す可能性はゼロではあるまい。

■携帯電話業界とは相違点もあるものの、宅配水業界も似たような流れに至る可能性は否めない

もちろん、宅配水が携帯電話と決定的に異なる点もある。例えば、(1)機能面や技術面での進化余地は大きくない、(2)飲料水である以上、他社製品との明確な差別化は難しい、(3)生活用水需要もあるため、各世帯で水道水を引かないという選択肢はまずない(電話では、固定電話を持たず、携帯電話のみ契約しているという例は少なくない)、(4)大資本を擁した参入企業は多くない、など。このことは、ガリバー企業に再編収斂された携帯電話産業とは異なり、そこまで劇的な流れには至らない可能性も示唆している。とすれば、一つの見方として、現実にはかなりマイルドな再編が起こり、その後群雄割拠の状態で競争が一巡するといった青写真を考えることもできよう。当然ながら、状況を随時ウォッチし、青写真の合理性・現実性を常に確認しておかなければならないのは言うまでもない。現時点では参考までに見方の一つを提示するにとどめておく。

■そういった中、強い営業力を持つ合弁会社は大きな武器となろう。今後の注目点は価格戦略

しかし、いずれにしても新規加入者獲得競争はまだ当面継続すると考えておくべだろう。そういった観点では、強い営業力を持つ光通信<9435>との合弁会社(アイデールライフ)設立などは大きな武器になるものと期待できる。今後の注目点は、価格戦略になると考える。

(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)



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