ウォーターD CORPORATE RESEARCH(8):飲料水宅配サービス大手、専業での上場は同社のみ
[14/04/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
株式会社ウォーターダイレクト<2588>は、飲料用天然水の宅配サービス会社。現在、東証において上場している唯一の宅配水専業会社である。創業は2006年。「安心・安全なおいしい水を提供するプラットフォームを確立する」を経営理念とし、以来7期連続で売上増を達成しており(変則決算を1期挟む)、2013年度には売上が100億円に肉薄する見通し。この間の平均成長率は実に年率で2.1倍。直近3期でも年率40%の成長を遂げている。2013年3月末の顧客件数は20.5万件。宅配水市場における売上シェアはおよそ7%と(2012年度実績:矢野経済研究所調べ)、業界では現在4位に位置する。創業から日が浅いにもかかわらず、天然水、使いきりのワンウェイ宅配式、大手小売店などでのデモ販売といった特色が躍進の原動力となっている。本店は山梨県富士吉田市、本社は東京都品川区。資本金は9億5,545万円(2013年9月末時点。2014年1月31日で9億9,177万円、2月3日で12億448万円に変更)。従業員数は2013年9月末時点で134人である。
■経営コンサルや投資家が自ら起業する異例の経緯を背景に、斬新なマーケティングと投資家目線を重視した経営を展開
同社は、経営コンサルティング・企業再生を行うリヴァンプの創業者玉塚元一氏、機関投資家である藤野英人氏(同社社外取締役兼レオスキャピタルワークス取締役)が宅配水市場の成長性に注目し、リヴァンプが主体となって設立された。その後、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(代表は同社社外取締役でもある村口和孝氏)も出資し、資本規模を拡大させている。
この設立の経緯は同社の特色を端的に示してもいる。そもそも、経営コンサルや投資家は「既存の」企業にノウハウや資金を提供するのが通常である。しかし、同社の場合はコンサルや投資家が自ら起業・設立しているという点で異例と言うことができよう。これは、創業者がそれだけ宅配水ビジネスにチャンスがあるとの感触を持っていたと推定されるのに加え、その感触を裏付けるマーケティング構想を具体的に有していたためにと思われる。実際、会社設立後はコンサルティング会社のノウハウ・実力ならではとも言える斬新なマーケティング手法を展開。既存企業とは異なる手法で顧客層を開拓し、投資家目線を重視した明解な経営方針と併せ、10年に満たない期間で業界上位の地位獲得に成功している。これら合理的かつ大胆なアプローチは、良い意味でしがらみのない「門外漢」による創業であったからこそ、とも考えることができよう。
■一般株主の代表たる社外取締役が取締役会の半数を占める
また、現在の経営陣は6人の取締役で構成されるが、うち半数の3人は大株主でもある社外取締役が占める。したがって取締役会で過半数を得るには、少なくとも1人以上の社外取締役の賛同が必要な構造にある。社外取締役は業務執行をしがらみや利害関係に縛られず、一般株主の利益という視点で監督する立場にあるもの。すなわち、同社の取締役会は、社外取締役が十分その機能を発揮できる設定となっていることがわかる。これは企業経営の透明性、株主重視の経営を、制度において担保しているということの証左とも言える。社外取締役の重要性が唱えられて久しいが、現実に社外取締役の権限をここまで強化している日本企業は決して多くない。合理的な経営を追求する姿勢はここからもうかがうことができる。
■開発、製造、品質管理、販売、アフターサービスを自社で展開。家庭やオフィスとの直接契約による天然水供給が主たる業務
ウォーターダイレクトの主たる業務は、家庭やオフィスへの良質な水の安定供給。同時に、開発、製造、品質管理、販売、アフターサービスを自社で展開する製造小売り(ダイレクトマーケティング)の形態を採ることで、消費者ニーズに迅速に対応できる体制を構築している。供給する水の商品名は「クリティア25*」。富士山麓より採水した天然水である。具体的には、富士吉田工場において、地下200メートルから有用ミネラルを含んだ天然水を採水し、工場内でボトリング、密封、梱包を行い出荷。家庭やオフィスへは既存の宅配業者を活用して配送し、水の消費量に応じて代金を得る仕組みとなっている。なお、消費者が利用するウォーターサーバーは、自社設計の開発製品(中国に委託生産)を原則として無償でレンタルを行っている(意匠性の高いサーバーに関してのみは販売)。
(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)
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株式会社ウォーターダイレクト<2588>は、飲料用天然水の宅配サービス会社。現在、東証において上場している唯一の宅配水専業会社である。創業は2006年。「安心・安全なおいしい水を提供するプラットフォームを確立する」を経営理念とし、以来7期連続で売上増を達成しており(変則決算を1期挟む)、2013年度には売上が100億円に肉薄する見通し。この間の平均成長率は実に年率で2.1倍。直近3期でも年率40%の成長を遂げている。2013年3月末の顧客件数は20.5万件。宅配水市場における売上シェアはおよそ7%と(2012年度実績:矢野経済研究所調べ)、業界では現在4位に位置する。創業から日が浅いにもかかわらず、天然水、使いきりのワンウェイ宅配式、大手小売店などでのデモ販売といった特色が躍進の原動力となっている。本店は山梨県富士吉田市、本社は東京都品川区。資本金は9億5,545万円(2013年9月末時点。2014年1月31日で9億9,177万円、2月3日で12億448万円に変更)。従業員数は2013年9月末時点で134人である。
■経営コンサルや投資家が自ら起業する異例の経緯を背景に、斬新なマーケティングと投資家目線を重視した経営を展開
同社は、経営コンサルティング・企業再生を行うリヴァンプの創業者玉塚元一氏、機関投資家である藤野英人氏(同社社外取締役兼レオスキャピタルワークス取締役)が宅配水市場の成長性に注目し、リヴァンプが主体となって設立された。その後、日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(代表は同社社外取締役でもある村口和孝氏)も出資し、資本規模を拡大させている。
この設立の経緯は同社の特色を端的に示してもいる。そもそも、経営コンサルや投資家は「既存の」企業にノウハウや資金を提供するのが通常である。しかし、同社の場合はコンサルや投資家が自ら起業・設立しているという点で異例と言うことができよう。これは、創業者がそれだけ宅配水ビジネスにチャンスがあるとの感触を持っていたと推定されるのに加え、その感触を裏付けるマーケティング構想を具体的に有していたためにと思われる。実際、会社設立後はコンサルティング会社のノウハウ・実力ならではとも言える斬新なマーケティング手法を展開。既存企業とは異なる手法で顧客層を開拓し、投資家目線を重視した明解な経営方針と併せ、10年に満たない期間で業界上位の地位獲得に成功している。これら合理的かつ大胆なアプローチは、良い意味でしがらみのない「門外漢」による創業であったからこそ、とも考えることができよう。
■一般株主の代表たる社外取締役が取締役会の半数を占める
また、現在の経営陣は6人の取締役で構成されるが、うち半数の3人は大株主でもある社外取締役が占める。したがって取締役会で過半数を得るには、少なくとも1人以上の社外取締役の賛同が必要な構造にある。社外取締役は業務執行をしがらみや利害関係に縛られず、一般株主の利益という視点で監督する立場にあるもの。すなわち、同社の取締役会は、社外取締役が十分その機能を発揮できる設定となっていることがわかる。これは企業経営の透明性、株主重視の経営を、制度において担保しているということの証左とも言える。社外取締役の重要性が唱えられて久しいが、現実に社外取締役の権限をここまで強化している日本企業は決して多くない。合理的な経営を追求する姿勢はここからもうかがうことができる。
■開発、製造、品質管理、販売、アフターサービスを自社で展開。家庭やオフィスとの直接契約による天然水供給が主たる業務
ウォーターダイレクトの主たる業務は、家庭やオフィスへの良質な水の安定供給。同時に、開発、製造、品質管理、販売、アフターサービスを自社で展開する製造小売り(ダイレクトマーケティング)の形態を採ることで、消費者ニーズに迅速に対応できる体制を構築している。供給する水の商品名は「クリティア25*」。富士山麓より採水した天然水である。具体的には、富士吉田工場において、地下200メートルから有用ミネラルを含んだ天然水を採水し、工場内でボトリング、密封、梱包を行い出荷。家庭やオフィスへは既存の宅配業者を活用して配送し、水の消費量に応じて代金を得る仕組みとなっている。なお、消費者が利用するウォーターサーバーは、自社設計の開発製品(中国に委託生産)を原則として無償でレンタルを行っている(意匠性の高いサーバーに関してのみは販売)。
(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)
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