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ウォーターD CORPORATE RESEARCH(9):宅配水事業は典型的なストック型モデル

注目トピックス 日本株
■会社概要

なお、宅配水事業の特色は典型的なストック型ビジネスであること。「ストック型ビジネス」とは一般的に、顧客からほぼ毎月決まった収入(使用料や利用料など)があり、契約者数に比例して収益も増えていくビジネスを指す。一種のリピータービジネスではあるものの、一定の顧客と継続的契約関係にあるという点で、ショップやレストランなどのビジネスとは一線を画す。宅配水事業以外の具体例としては、電力・ガス事業、不動産管理、OA機器の保守サービスなどが挙げられる。

このビジネスモデルでは、一定の顧客を獲得してしまえば着実に売上・利益が見込まれ、経営はかなり安定化できるというメリットを持つ。一方、(1)そもそも顧客獲得が容易ではない、(2)安定している反面、事業の爆発的な拡大・成長は難しい、(3)顧客に使ってもらう設備や資産を予め十分に用意する必要があり、そのために初期投資負担が重くなる、といったハードルもある。顧客からすれば、継続的契約関係を結ぶ以上、その対象はある程度の事業実績や資産規模を持ち、安定的にサービスを提供してくれる企業が望ましいのは論を待たない。つまり、実績のない新規参入企業にとっては荷が重いビジネスモデルともいえる。

■遂にストック型ビジネスのメリットを享受できる段階へ。既に、先行投資負担前の「実力」営業利益率は26%に到達

このことは、初期投資負担や顧客獲得に向けての先行投資負担が重く圧し掛かるということでもある。決算数字を見る限りではまだ利益水準は高くないように見えるものの、これは同社<2588>が引き続き顧客数拡大に向けての先行投資を続けているため。仮に、これら先行コスト(販促費、ウォーターサーバー償却費など)の影響を除いた利益を同社の「ストック型ビジネスの実力値」と定義して捉えてみると、2012年度では営業利益で19億円程度、利益率は実に26%にも達すると試算できる(一方、決算実績は4.5億円)。この19億円の「実力値」は、顧客が離れていかない限り、安定的に見込むことのできる利益水準と位置づけることができよう。換言すれば、既に同社は先行投資さえ止めてしまえば、(その後の顧客離れのリスクはもちろん増すが)これだけの利益を当面は計上できる、ということに他ならない。すなわち、見かけ上の決算数字のみで同社の真の実力を測ることは非常に難しく、株価などで同社を評価する際には、見かけ上の損益のみならず、先行投資負担を勘案した利益の実力値を考慮しておく必要がある。

(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)



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