デリカフーズ Research Memo(5):外食産業、中食産業向け野菜市場は今後寡占化が進む可能性
[14/05/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
(4)野菜の市場規模と同社の強み
同社<3392>が対象とする外食産業、中食産業向け野菜の市場規模に関しては、具体的な統計データはないものの、年間で1.5〜2兆円の規模と推定される。このため業界最大手と言われている同社においても、その市場シェアは1%強の水準にとどまることになる。これは地域ごとに零細企業が多数あるためで、同社のように全国展開している企業はまだ少ないことが背景にある。
ただ、今後は青果物流通業界においても他の業界と同じく寡占化の動きが進む可能性が高く、そのなかで同社が市場シェアを拡大する余地は大きいと弊社ではみている。競争が激しい外食業界においては、他社との差別化戦略の1つとして、栄養価の高い野菜を活かしたメニュー作りを強化してきており、同社のメニュー提案力が活きる市場環境になっていることが背景にある。また、日本の農業成長戦略のなかで、農家の大規模経営化が進めば、取引先となる物流業者も大手企業に集約化する方向になると予想されるためだ。
同社の強みの1つとして、顧客ニーズに合致した最適な野菜を全国に構築した契約農家から直接調達し、供給する物流システムを作り上げていることが挙げられる。外食企業が農家と直接契約して食材を仕入れるというニュースを目にするが、こういう場合も同社が黒子役となって物流面でその役割を担っているケースが多い。ちなみに、同社が仕入れる野菜のうち、契約農家から直接仕入れる比率は60%の水準となっている。
青果物の機能性に早くから着目して膨大なデータを蓄積し、顧客企業に対して「青果物を卸す」だけでなく、「付加価値の高いメニューの提案」も同時にできること、また、生産者側にとってみれば、安定した供給先を確保してくれるだけでなく、収穫した作物の出来栄えを客観的に分析・評価してくれる役割を同社は果たしていることになる。このため、同社は顧客企業だけでなく生産者側にとってもなくてはならない重要なパートナーになっていると言える。さらに付け加えれば、顧客企業の先にいる一般消費者(=国民)の健康増進を間接的にサポートしていることにもなる。超高齢化社会の到来を控え、「健康増進」に対する意識が高まる中で同社の果たす役割は大きく、社会的貢献度の高い企業として評価されよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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