カイオム Research Memo(3):ターゲット市場である抗体医薬品は年間推定4〜5兆円の規模
[14/06/02]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
(2)抗体医薬品の医薬品のなかでの位置付け
医薬品はその製法や材料等によって様々な種類に分かれている。このうち、人体に害を及ぼす特定の標的(分子)を狙い撃ちして、その機能を抑える役割を果たす薬剤のことを分子標的治療薬と呼び、がんやリウマチなどアレルギー疾患の治療薬として一般的に使われている。この分子標的治療薬は製造方法により、低分子医薬品と同社が開発する抗体医薬品※を主とするバイオ医薬品とに分けられている。
※抗体医薬品・・・ヒトが本来持っている体を守る防御システム、すなわち、細菌やウイルスの持つタンパク質を異物(抗原)として認識し、その異物に反応するタンパク質(=抗体)が異物を攻撃する仕組み(抗原抗体反応)を利用した医薬品を抗体医薬品と呼び、製薬企業は病気の原因に関わる抗原に対する抗体の開発を行っている。
売上高ベースでは現在も主流は低分子医薬品だが、治療効果、持続性など医薬品としての性能は抗体医薬品のほうが高い分野も多く、また副作用も少ない。このため、カイオム・バイオサイエンス<4583>もそうであるが、国内外の大手製薬企業は抗体医薬品の研究開発を積極的に進めている状況にある。
抗体医薬品の市場規模を見ると2000年後半以降に急速に立ち上がり、現在は年間で4〜5兆円の市場規模になっていると推定される。市場調査機関の予測によれば、今後も年率10〜20%程度の成長が続き、2016年には6兆円の市場規模が見込める有望市場と位置付けられている。現在、グローバルで認可されている抗体医薬品は30数種類あり、このうち売上規模の大きい上位5つの製品(リウマチ、がん治療薬等)はいずれも年間で6,000億円以上の売上実績を誇るなど、大型医薬品が多いことも特徴となっている。なお、抗体医薬品は開発段階のものも含めると300〜400種類あると言われている。
製薬企業が抗体医薬品の開発に注力している要因として、抗体医薬品が臨床開発を開始して上市に至るまでの確率が22%程度と、低分子医薬品の5%に対して4倍以上の高確率であること、また、ターゲットの特定から臨床開発を開始するまでの年数が最短で3年程度と低分子医薬品に対して短く、臨床までの開発コストも低く抑えることができることも指摘される。
こうした特徴から抗体医薬品の場合、開発企業は前臨床段階までに製薬企業と契約が成立するケースが全体の約8割と多くなっている。通常の医薬品開発においては、臨床開発のフェーズ2※の段階で契約に至るケースが多い。このため、通常の創薬開発企業に対して、同社のような抗体医薬品の創薬開発企業は、研究開発負担が軽くなるほか、早期の資金回収が可能になるといったメリットがある。
※医薬品の開発から上市までのスケジュールは、前臨床段階→臨床試験(フェーズ1、2、3)→製造販売申請→承認→上市、といった流れとなり、臨床試験は3期に分けて目的別に実施されている。フェーズ1では健常人または患者さんへの投与における安全性試験が、フェーズ2では、限定された数の患者さんを対象とした薬の有効性・安全性・薬物動態などを検討する試験が、フェーズ3では、症例数を大幅に増やしたうえで有効性の検証や安全性の検討を実施している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2)抗体医薬品の医薬品のなかでの位置付け
医薬品はその製法や材料等によって様々な種類に分かれている。このうち、人体に害を及ぼす特定の標的(分子)を狙い撃ちして、その機能を抑える役割を果たす薬剤のことを分子標的治療薬と呼び、がんやリウマチなどアレルギー疾患の治療薬として一般的に使われている。この分子標的治療薬は製造方法により、低分子医薬品と同社が開発する抗体医薬品※を主とするバイオ医薬品とに分けられている。
※抗体医薬品・・・ヒトが本来持っている体を守る防御システム、すなわち、細菌やウイルスの持つタンパク質を異物(抗原)として認識し、その異物に反応するタンパク質(=抗体)が異物を攻撃する仕組み(抗原抗体反応)を利用した医薬品を抗体医薬品と呼び、製薬企業は病気の原因に関わる抗原に対する抗体の開発を行っている。
売上高ベースでは現在も主流は低分子医薬品だが、治療効果、持続性など医薬品としての性能は抗体医薬品のほうが高い分野も多く、また副作用も少ない。このため、カイオム・バイオサイエンス<4583>もそうであるが、国内外の大手製薬企業は抗体医薬品の研究開発を積極的に進めている状況にある。
抗体医薬品の市場規模を見ると2000年後半以降に急速に立ち上がり、現在は年間で4〜5兆円の市場規模になっていると推定される。市場調査機関の予測によれば、今後も年率10〜20%程度の成長が続き、2016年には6兆円の市場規模が見込める有望市場と位置付けられている。現在、グローバルで認可されている抗体医薬品は30数種類あり、このうち売上規模の大きい上位5つの製品(リウマチ、がん治療薬等)はいずれも年間で6,000億円以上の売上実績を誇るなど、大型医薬品が多いことも特徴となっている。なお、抗体医薬品は開発段階のものも含めると300〜400種類あると言われている。
製薬企業が抗体医薬品の開発に注力している要因として、抗体医薬品が臨床開発を開始して上市に至るまでの確率が22%程度と、低分子医薬品の5%に対して4倍以上の高確率であること、また、ターゲットの特定から臨床開発を開始するまでの年数が最短で3年程度と低分子医薬品に対して短く、臨床までの開発コストも低く抑えることができることも指摘される。
こうした特徴から抗体医薬品の場合、開発企業は前臨床段階までに製薬企業と契約が成立するケースが全体の約8割と多くなっている。通常の医薬品開発においては、臨床開発のフェーズ2※の段階で契約に至るケースが多い。このため、通常の創薬開発企業に対して、同社のような抗体医薬品の創薬開発企業は、研究開発負担が軽くなるほか、早期の資金回収が可能になるといったメリットがある。
※医薬品の開発から上市までのスケジュールは、前臨床段階→臨床試験(フェーズ1、2、3)→製造販売申請→承認→上市、といった流れとなり、臨床試験は3期に分けて目的別に実施されている。フェーズ1では健常人または患者さんへの投与における安全性試験が、フェーズ2では、限定された数の患者さんを対象とした薬の有効性・安全性・薬物動態などを検討する試験が、フェーズ3では、症例数を大幅に増やしたうえで有効性の検証や安全性の検討を実施している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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